その後の二人。【前編】(DDFF/R18)

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だが、休む暇もなくフリオニールはライトニングを抱き起こし、自分の膝の上にまたがせる様にしてライトニングを座らせた。まだ達したばかりで感じやすくなっているそこに自らの体重を全てかけられた状態で最奥を貫かれ、ライトニングは大きく髪を振り乱し、身体を仰け反らせた。悲鳴を上げてフリオニールの上から崩れ落ちそうになるのを逞しい腕でがっちりと掴まれ、そのまま腰を跳ねさせるようにして強く抜き差しをされる。
「やぁっ…!あ、あぁっ!あぁっ!あぁっ!!」
いくらフリオニールの為に堪えようと思っても、身体を真っ二つに裂かれる程の勢いで貫かれ、ライトニングは悲鳴を上げ、なんとかフリオニールから身体を離そうともがく。
「あっ、あっ、フ…リオ、…無、理…だ、もっ、…ああぁ!」
振り乱した髪から汗が散り、喉元まで埋められるような深い挿入にライトニングは狂ったように悲鳴を上げる。それすらも封じようとするかのように、フリオニールは更にライトニングをきつく抱きしめた。
「……ライト…」
耳元でフリオニールが小さく小さく名前を呼んだ。苦痛と快楽で泣き叫んでいたライトニングにその声だけはやけに明瞭に耳に届いた。それはミキサーに放り込まれて心も身体もバラバラにされていたライトニングのピースを一瞬にして残さずかき集め、一つにする程の威力を保っていた。
ライトニングは首を伸ばし、フリオニールの唇に自らのを合わせようとした。激しい律動の中にあって、それはなかなか上手く行かなかったが、唇がぎりぎりの距離ですれ違った時にフリオニールがそれに気付き、ライトニングの口を塞いだ。フリオニールはライトニングを求める激しさのそのままに口中をも犯す。
息苦しさと激しい交歓にライトニングは失神しそうだった。実際に何度も意識が飛び、その度にまた覚まされた。フリオニールの悲しみを少しでも慰撫できるならこの身体がどうなっても良いとすら思った。
「…フリオ……」
全てを受け入れる、それを伝えるために想いを込めて名前を呼ぶ。フリオニールが行為の最中にだけそう呼んで欲しいと懇願したその呼び方で。フリオニールは泣き出しそうにぎゅっと眉を顰めると、抱えていたライトニングを横たえ、膝を折りたたむようにしてぐっと腰を押し込む。
「あぁっ!フリオ…っ!」
呼ばれて応えるように口付ける。それは、どうしてどうして、と問いかけているようで。いじらしさにライトニングは思わず腕を伸ばし、フリオニールを引き寄せようとする。するとその仕草はますます2人の繋がりをますます深くすることになり、ライトニングは思わず声をはりあげた。深すぎる結合を少しでも和らげようとライトニングは飲み込んだフリオニールを無意識に強く締めあげた。
「〜っ!…ぅ、あ、ライト……っ!」
それが結果的にフリオニールの射精を促してしまった。フリオニールは身体を大きく震わせ、ライトニングの膣内に堰をきったかのように長く吐精した。背中から脳髄にかけて痺れるような感覚が駆け抜け、フリオニールはライトニングの上に崩れ落ちた。
ライトニングはしばらくフリオニールを抱き締め、優しく背中を撫でてやった。やがてフリオニールの呼吸が落ち着いてくると、フリオニールを横向きにし、そっと腰を引く。力を失い、ぐったりと萎えたフリオニール自身と、放たれた精液が繋がったところから溢れ落ちた。
ライトニングは身体を下へとずらし、精を放ったばかりでまだひくひくと震えているフリオニール自身をそっと手に取り、そうして唇がフリオニールの腹に触れるほど深く一気にそれを飲み込んだ。舌で清め、残った残滓を吸い上げた。
「……う……」
達したあと、敏感になるのはライトニングだけではない。フリオニールも残った精液を吸い上げるような動きにたまらず声を漏らした。愛おしむように丁寧な舌づかいにフリオニールの雄はたちまち硬さを取り戻し、ライトニングの口の中いっぱいに膨らんだ。
フリオニールは腰を引いてライトニングの唇から離れると、フリオニールはライトニングを引き上げるようにし、横向けにしたまま太ももを自分の腰に引っ掛けるようにして秘部を開かせると、今度はゆっくりと、そしてそれが当然のように猛った自身を突き刺した。先ほどの激しい挿入と違い、恍惚とした陶酔感にライトニングはうっとりと目を閉じた。
「…ああ…」
漏れた声も艷やかで、ライトニングの蜜壺はまるで穏やかな海の様にフリオニール自身を柔らかく受け入れ、穏やかな波のように優しく扇動している。フリオニールもあまりもの心地よさに喉の奥から低い声を漏らした。
「…は…ぁ、ライト…」
2人はそのまま言葉もなく抱き合っていた。頭の芯から甘く蕩けそうなのに、それでいて避けようのない別離が暗い雲の様に胸の中に広がっていって。
さすがにフリオニールにはもう分かっていた。異世界での記憶はこれ以上戻らない、ライトニングと出会ったこと、交わした約束、全て思い出せない。無駄なことだと。
(…それでも…)
フリオニールはゆっくりと腰を押し付けた。はぁ、とライトニングが息を漏らす。今度身体を離してしまったら、その時が本当に別れの時だ、そう思うと行為を止めることができなかった。フリオニールは今度は時間をかけてライトニングを愛した。
腰を打ち据えられる毎にずん、と頭に響く様な鈍い快感が一気に身体全体に広がる。それは広がっては下半身に戻り、を何度も繰り返す。繰り返す内にどんどんそれが蓄積されて膨らんでいき、ふぅと肌にかかる吐息ですら鳥肌が立つほどの快感が走った。
ライトニングはひたすら泣きじゃくる子供を宥めるようにフリオニールを抱き締め、彼のどんなわがままにも応えた。今度の情交は長く、フリオニールが漸く精を放ったあとも、ライトニングはすぐにその熱を取り戻すべくフリオニールの男根を指と舌と唇で愛撫した。終わりを恐れているのはライトニングも同じだ。身体はとっくに限界を越え悲鳴を上げていたが、それでもずっとこうして交わっていたいと願わずにはいられなかった。
その夜フリオニールの欲望は留まることを知らず、2人の悲しい交わりは最後にはライトニングの嬌声がすすり泣きに変わり、ぐったりとフリオニールに身体を貪られるだけになるまで続けられた。
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どれだけ時間が経ったのか分からないが、ライトニングはふっと目を覚ました。疲労と無力感が身体を満たしていた。身体中が痛み、声を張り上げ過ぎたせいか喉までもが痛かった。
自分を抱きしめているフリオニールを見てみる。目を閉じてはいるが眠っていない、ライトニングは本能的にそう悟った。試しに起き上がってみると、
「…ライト?」
予想通り、フリオニールはすぐに目を覚ましてライトニングを呼んだ。
「…汗を…流してくるだけだ…」
ベッドから出てバスルームに向かうライトニングをフリオニールはベッドの中からじっと見据えていて、ライトニングはその視線から逃れるようにバスルームの扉を閉めた。
シャワーのコックを捻り、冷たい水のシャワーの下に思い切って身体を投げ出す。冷たい水に身震いをし、徐々にその水温に身体が慣れてくると、手のひらで汗や体液を流す。
さっきこちらを見ていたフリオニールの顔が疲れ切っていたのを思い出し、胸がキリキリと傷んだ。思い出してみると、皇帝の襲来とユウナの再会以来、いやそれよりも以前、前に長逗留をしていたあの宿を出て以来、フリオニールがほとんどまともに眠っていないことを思い出した。
(…気力で…保っているようなものだ…)
最初はライトニングを守るため、そうして次は行かせないため。ライトニングは膝から崩れ落ちた。
「…ごめん。」
ライトニングは声を詰まらせて泣いた。シャワーの水が涙を流してくれたから、だから泣くことが出来る。ここなら泣いてる顔も泣いている声もフリオニールは聞こえない。
「ごめん…ごめんね………」
ライトニングは嗚咽した。あの時、部屋を出る時の失態が悔やまれてならない。
眠る隙を狙って黙って出て行こうとしているのはフリオニールにはもう悟られてしまっている。同じ手は使えない。
そう言えば…フリオニールは何故あんな小さな音でフリオニールは目を覚ましたのだろう?
(…野営の時ならいざ知らず、宿の中であんなに過敏になっているのは…)
野営という言葉でピンと来た。フリオニールが眠らせれない為に使っていたアイテム、
(あれだ…)
だが、さっきまで裸のままで愛し合い抱き合っていて、フリオニールがそれを身につけていればすぐに分かったはずだ。
(だとしたら…髪の…中か…)
あれを着けている限りフリオニールは眠らない。ならばフリオニールを眠らせなければ、と何故かライトニングは思った。
ちゃんと言い聞かせるのでもなく、説得して理解してもらうのでもなく、フリオニールを眠らせこの場からいなくなれば全てが解決するなどと思い込んでいたのは、ライトニングも追い詰められていたのかもしれない。
もうこれ以上フリオニールを苦しませないためだと自らに言い聞かせ、ライトニングは立上ってシャワーの水を止めた。身体を拭き、バスタオルを身体に巻き付けてドアを開けると、フリオニールは身体を起こしてベッドの端に寄ってライトニングを招き入れた。
ライトニングはフリオニールに身体を預け、フリオニールもライトニングを抱きしめる。冷えきった肌がまだ暖かく湿っているフリオニールの肌に触れて心地よい。フリオニールもライトニングの冷えた身体を温めるように身体をぴたりと密着させる。
フリオニールがライトニングのちょうど頭頂部の辺りに頬ずりをしたので、ライトニングはちょうど良い、とばかりにフリオニールの後頭部に手を回し、髪を撫でるふりをしてさり気なく指先で髪の中を探る。
「そこじゃない。」
不意の言葉にライトニングはびくり、と手を止めた。フリオニールは驚いて見つめるライトニングに寂しげに笑いかけると、手のひらを後ろで髪を一本にまとめている辺りに回し、指をその隙間に滑り込ませ、柔らかく光る赤い薄地の細長い布をつまみ出した。
「きっと…君の方が似合う…」
そう言って、ライトニングに手渡した。
「…あげるよ。きっと…役に立つ。」
ライトニングは言葉を失い、ただフリオニールを見つめるしか出来ない。フリオニールは大きく、そして長く、息を吐いた。
「…ずっと…寝てなくて………疲れた…な…。」
ライトニングの顔が見る見る歪み瞬く間に涙が溢れ、それ最初は鼻筋を伝い、次にはライトニングの頬を濡らした。
「…お前……知ってて…」
「…一つ…頼みが…ある…」
もうほとんど眠りに落ちかけてるのだろう、声は囁くような小さな小さな声だった。
「俺が…眠るまで…眠るまででいいんだ…そばに居てくれないか…?」
フリオニールの大きな手のひらが、泣かないでくれと言わんばかりに優しく頬を撫でてくれる。フリオニールの言わんとすることを察し、ライトニングは何度も何度も頷いた。
「…泣かない…で、くれ…」
ライトニングが嗚咽するのに、フリオニールはその涙を指先で拭ってやる。
「そん…なに…泣…いたら…きれいな顔が…台なし……」
その言葉を最後にフリオニールの手が止まった。腕がぱたり、と音を立ててシーツの上に落ちた。ライトニングは口が曲がる程奥歯を噛み締め、その瞬間を耐えるしか出来なかった。
「お前は……そうやって…きれいだとか…そんなことばっかり…」
まるで雨だれのように涙が止まらない。しゃくりを上げながらライトニングはフリオニールの頬を撫でた。まるで冬眠しているかのように、フリオニールは深く、こんこんと眠り続けている。
ライトニングはしばらくその寝顔を見続け、やがて頬と唇にキスをするとベッドから出た。しゃくりを上げて目を擦り、鼻を啜りながらなんとか衣服と装備を身に付けた。
最後にフリオニールが摘んでくれがバラの花を手に取ると、あとはもう振り返らずに扉を閉め、部屋を後にした。
前編おわり。

その後の二人。【後編】につづきます。【後編】はこちらをクリック。


 

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