風呂場のガールズトーク(DDFF)

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登場人物:ティファ、ライトニング、ユウナ、ティナ

DFF012の女性陣が温泉に入ってガールズトークを繰り広げるというお話。ガールズトークなので、セリフが多いです。あと、入浴シーンがあります。
内容はトレーラーを見た投稿人の勝手な妄想です。完全なるフライング小話です。ゲーム本作の内容とは異なります。発売前のフライングで書きましたが、違和感なく読んでいただけると思います。


決して陽のさす事のない月の渓谷に突然巨大な火柱が上がり、噴煙はあっという間に月を覆ってしまった。
敵とは違う自然の脅威にコスモスに召還された戦士達は息を詰めてその様を見守っていた。
噴火がおさまった所で、ヴァンとスコールが偵察に向かった。
「温泉?」
戻って来た二人の報告を聞いて、ウォーリア オブ ライトは首を傾げた。
「なんだ、知らないのか?」
言いにくい相手に言いにくい事をずけずけと言ってのけるヴァンに、スコールが眉を顰める。
「地下からお湯が沸き出すんです。」
召還士の少女、ユウナがうれしそうに口を挟んだ。
「泉のようにか?」
「はい。沸き出したお湯には薬湯の効果もあって、私達の世界ではその湯に浸かって、病気を治したり疲れを癒したりするんです。」
「疲れを癒す」というユウナの言葉に、では早速入りに行こう!とジタンとバッツが盛り上がり、ジェクトとラグナがおもしろがって、それを諌めようとしたウォーリア オブ ライトだが、セシルの
「明日からの戦いに備えるためにも、たまにはいいんじゃないかな?」という一言で、漸く首をたてに振ったのだった。
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温泉の湧く岩場で、ユウナはうれしそうに手の先を湯に浸す。
湯の中からは小さな気泡がぷくぷくと沸き上がり、炭酸が含まれた温泉のようだ。
「丁度良い湯加減ですよ。」
レディファースト、という事で男性陣は見張りで場を外している。
「ユウナの世界では外でお風呂に入る習慣があるのね。」
横からティファが覗き込む。
「だが、水着がない。」
憮然とライトニングが言い放つ。
「ライトニングさん。水着なんか着ませんよ。」
ユウナ以外の女性陣が凍り付いた。
「そもそも水着、持って来てないでしょ?」
「じゃあ……裸で?」
驚くティナに微笑みかけると、ユウナは刈安色の帯をするすると解き始めた。
「で…っ、でも!誰が見ているか…」
「皆さんが見張っててくれてるじゃないですか。それに、この世界には私達しか居ないんでしょう?」
袴がストン、と地面に落ちた。
ユウナは着ていた物を脱いだ順番に丁寧に畳み、最後に靴を脱ぐと、爪先からゆっくりと湯には入る。
腰を屈め、肩まで浸かった所で、ほう…と大きく息を吐いた。
そして、呆然としている三人を見て首を傾げる。
「皆さん、入られないんですか?とっても良いお湯ですよ。」
ユウナはリラックスして、う~ん、と腕を伸ばす。
本当に気持ち良さそうだ。
いつ敵が現れるか分からず、元の世界へ帰る術も記憶すらあやふやな状態で戦いに明け暮れる毎日。
そんな中で目の前の温泉は魅力的過ぎた。
「…よし!」
ティファは決心すると、思い切ってタンクトップを脱ぎ捨てた。
「入るのか?」
ライトニングが呆れ返る。
「いつ敵が来るか分からないのに。」
「そこは男性陣を信用しましょ?」
「ライトニングさんもティナも入りましょう?本っ当に良い気持ち…」
恥ずかしがると却って気まずいと、ティファは潔く着ている物を脱ぎ捨てると、 ユウナに続いて湯に浸かる。
「わぁ…本当!」
温かい湯に浸かると、一瞬で身体の力が抜けた。
湯はまろやかな感触で淡いエメラルド色をしている。
小さな気泡が身体にまとわりついては弾ける。
「でしょ?」
ユウナはティファの長い髪をまとめてやりながら、 未だにモジモジとしているティナと呆気に取られているライトニングに声を掛ける。
「服を脱ぐのが恥ずかしいなら、あっちを向いてますから!是非!」
「女同士なら平気よ!」
すると、ティナがおずおずと温泉に歩み寄り、
「本当に…あっちを向いててもらえる?」
「ええ、いいわよ。」
ティファは鷹揚に応えると、ユウナと二人してティナに背を向けた。
ティナは何か言いたげにライトニングを見る。
「分かった!あっちを向いていれば良いのだろう!」
ライトニングが背を向けると、背後で衣擦れの音がする。
「まったく…何を考えているんだ。」
ブツブツ言っている間に衣擦れの音が止み、ティナが湯に入る音がした。
「……わぁ……」
ティナは両手に湯を掬って、落とした。
「いい匂い…」
「ティナ!もうそっちを向いても良い?」
「ええ!……本当に……気持ち良い……」
ライトニングも振り返ると、三人が頬をピンクにして楽しそうに湯に浸かっている。
(これでは…入らない私がなんだか…)
急に居心地の悪さを感じたが、だからと言って一緒に入るのもなんだか悔しい。
そんなライトニングの心中を察したのか、ティファがおずおずと声を掛ける。
「ねぇ、ライトニング…?」
ユウナもティナも、お願いする瞳でライトニングをじっと見つめる。
決してブレない光の戦士、ウォーリア オブ ライトとサシで渡り合い、 男どもを怒鳴りつけるライトニングだが、年下の女の子には弱い。
「分かった!入れば良いのだろう、入れば!」
半ば自棄になってそう言い捨てると妹分二人は歓声を上げ、 ティファもうれしそうに微笑んだ。
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湯に浸かったライトニングは、肩どころか顎のラインすれすれまで身体を縮めている。
「鉄壁ね。」
ティファが呆れる。
「…どうせ私の身体なんか誰も見たがらないだろうが。」
「あら、ライトニングは素敵よ。」
ティファにストレートに褒められ、ライトニングは面食らう。
「私もそう思います。私の居た世界に足の速い、とても美しい動物が居るんです。 ライトニングさんが敵の攻撃をくぐり抜けて走っているのを見ていたら、 いつもその動物の事を思い出すんです。」
「そうよね、ライトニングの足はカッコいいな。すらっとして。」
ライトニングはやれやれと肩をすくめ、隣に座るティファの膝を軽く叩く。
「ティファに言われるとは、光栄な事だな。」
「そう!ティファさんの胸!」
「私もいつも羨ましくて…」
ティファは困ったように首を傾げ、
「う~ん…これはこれで大変なんだけどな。」
「でも胸がそんなに大きくて、でもウエストはすごく細いし…」
「全くだ。」
「あら、胸ならライトニングだって。E(カップ)あるんでしょ?」
「…かもしれんが、どうも私の身体は鍛えてるせいか女性らしさに欠ける。 ユウナのようなまろやかな肩と背中とか、抱きしめたら折れそうな華奢なティナとか… 羨ましい限りだ。」
話をしているうちにしっかりとガードしていたライトニングも足を伸ばし、くつろいだ座り方になる。
「そうかな…」
「ライトニングさんに言われると、自信、持ってもいいのかなって思っちゃうね。」
ティナとユウナが顔を見合わせて笑う。
おや?とティファは興味深げにライトニングを眺めた。
(今のって、ティナとユウナをフォローしてあげてたんだよね…)
キツい物言いをするが、
(本当は優しいんだな…)
「それより、この世界に私達しか居ないとしても、そこで見張っている奴らは大丈夫なのか?」
「鎧を着ている騎士さん達は、そんな事しないでしょ?」
裸での入浴にすっかり慣れたのか、ティファが大きく伸びをする。
「騎士の誇りにかけて?」
一番最初に入ったので、少しのぼせ気味なユウナが岩に腰掛けながら尋ねる。
「そう!特に眩しいあのお方なら、ね?」
ティファの冗談にティナとユウナがわぁ、と声を立てて笑い、 ライトニングも笑いを堪えているような表情をする。
「怪しいのは…」
「バッツ?ジタン?」
「大丈夫だよ。彼、女の子を大事にするから。」
「バッツはつかみ所がないから分からんな…」
「以外とスコールとか!」
「かもな。まだ17らしいし。」
「お年頃ね。」
「でも、そんな風には見えないな。クールで真面目だし、興味なさそうだよね。」
「そういう奴程ムッツリだったりするからな。」
「ジェクトさんとラグナさんは…大人だからない…かな?」
「あと、セシルな。ああ見えてどうやら妻帯者らしい。」
「ええええ?いつ聞いたの?」
三人は色めき立って、ライトニングに詰め寄る。
その釣られようと三人の盛り上がりにライトニングは驚きつつ、
「本人に聞いたわけじゃない。指輪をしているのを偶然見ただけだ。」
「そっかぁ。ライトニングさん、いつの間にセシルさんとそんなお話をしたのかと思っちゃいました。」
(…驚いたのはそこなのか。)
「きっと優しい旦那様なんだろうね。」
「いいなぁ、セシルさんの奥様。」
「カインは?」
「プライドの高い男だからな。」
それはないだろう、と行動を一緒にしていたライトニングが太鼓判を押す。
「たまねぎ君は?」
「あの子は小さくても騎士だよ。」
そこはティナがすかさずフォローする。 本当に男性陣が覗きに来るなんて、誰も思ってはいない。
ただ、コスモスの戦士と言えども、やはり女性だ。
こんな他愛もない話が楽しくて、きゃっきゃとお喋りに花が咲く。
「ねえ?誰か気になる人とか、居ますか?」
こういう場ならお約束でしょう、とユウナが口火を切る。
「私は…」
言いかけてティファはすぐに黙ってしまう。
「カオスの、あの人が気になるんだね…」
「うん…前に会った事があるような気がして…彼の事を考えると、急き立てられるみたいな…記憶はないのに…不思議ね。」
「不思議じゃないよ。私…大事な人の事を覚えていたよ。だからあの人はきっとティファの大切な人だと思う。 それは記憶をなくしても忘れない気持ちなんじゃないかな。」
「だが、ティファには奴みたいなタイプはどうかと思うな。」
「どうして?」
不思議そうにユウナが尋ねる。
悪い奴ではない。きっと光に惹かれる者だろうが…とライトニングは前置きをして、
「何度か手合わせしたが…いつも何か言いたげだ。言いたい事があるならはっきり言え!思う。」
「はっきり言うなぁ…」
ティファが苦笑いをする。
「じゃあ、ライトニングさんは誰がタイプなの?」
「わ…私は…別に…っ…」
唐突なユウナの質問にライトニングはまごついた。
温泉でリラックスし過ぎて、普段はまともに取り合わない様な他愛もない会話が思いがけず楽しく、 興が乗って話をしていたが、まさか自分にその手の話題を振られるとは思ってもいなかったからだ。
また軍属のため年頃の同性との付き合いも少なく、どう流して良いのか分からず口ごもる。
「あ~怪しいな?意外と、眩しいあのお方だったりしてね?」
「喧嘩する程仲が良いって言いますしね。」
ティファとユウナがからかう。
「ち…っ違う!少なくとも、アイツはっないっ!」
(…そんなに思いっきり言わなくても…)
「少なくとも…って事は、他に誰か居るのね?」
同じ年の気安さか、ティファは年下二人が聞きにくい事をずばりと聞いてみる。
「………フリオニール…かな。」
いつもなら決してに口を滑らしたりしないのだが、女同士の気安さからかライトニングばぽろり、 と本音を漏らしてしまう。
たちまち、ティナとユウナが歓声を上げる。
「そういう意味ではない!私がいた世界は文明は進んだが、人が人を信じられなかったり、 心が荒んでいる者がたくさんいた。だけどあいつは…なんと言うか、人間の…原種とでも言うか… 純粋培養とでも言うか…」
「原種…」
あまりもの言い方にティナが目を丸くする。
しかし、ひどい言い方はライトニング独特の照れ隠しと、 慣れない会話に動揺しているからだと女性陣はとっくに理解している。
「一応褒めているのね。でも、もう少し素直になっても良いんじゃない?」
「確かに…言い過ぎた。」
ティファが嗜めると、ライトニングは素直に認め、顔を赤くして膝を抱えてしまう。
「良い人ですよね、フリオニールさん。」
「そうね……ね、ティナはどうなの?」
あまり追い詰めては気の毒、とティファはティナに話を振ってみる。
「私…まだ、そいうい気持ちが良く分からなくて…」
「ヴァンはどうなの?ティナを私達の所に連れて来てくれたでしょ?」
と、ティファ。
横ですっかり姉性(?)愛に目覚めてしまったライトニングが、「アイツは単純だから繊細なティナには…」などとブツブツ言っている。
「ずっと一緒だったんだよね?」
「…私の事を守るって言ってくれて、頑張ってくれたのを見ていたら胸が温かくなったけど… でも…まだよく分からないの。それが好きとか、愛なのか…」
「それは分かりかけているんだよ。焦らなくて良いよ。」
寂しそうに目を伏せてしまったティナに、ユウナが優しく声を掛ける。
「心配しなくても良い。」
不意にライトニングが凛と言い放つ。
「ティナは分からないんじゃない。今は忘れているだけだ。」
三人は驚いてライトニングを見上げる。
「みんな記憶を失っているんだ。でも、元の世界に戻れば思い出せる。ティナは…」
ライトニングはどう言葉を続けるか少し考え、
「私達よりも、少し多めに忘れているだけだ。」
「ライトニングさん…」
ティナはラベンダー色の瞳をすぅっと細め、笑顔を見せた。
「私…うれしい…ありがとう。」
「ライトニングにしては、かわいらしい言い方ね。」
「私だって、一応女だからな。」
ツンと横を向いてしまったライトニングが微笑ましくて、三人は顔を見合わせて笑う。
「お風呂…って、いいですよね。」
ふと呟いたティナの言葉に全員が頷いた。
裸の付き合いという言葉があるが、お互いの事が少しだけだが分かった気がして、 距離が縮まったような気がするのだ。
(私達…仲間だものね…)
神々に選ばれた戦士であり、人間だ。単なるゲームの駒ではない。
この仲間となら最後まで戦えるとティファは思った。
「そろそろ上がりましょうか?」
「男性陣が首を長くして待ってますよね。」
「鼻の下じゃないのか?」
「もう…ライトニングさんたら…」
女性陣は湯から上がると身支度を整えた。
ユウナが起用に帯を結ぶのに残りの三人が感嘆の声を上げたり、ティナの髪を結うのを手伝ったり。
ライトニングの襟足から伸びる巻き髪は「デジタルパーマ」という技術だそうで、
「こうやって指で巻いてやるだけできれいな巻きが出来るんだ。」
というライトニングの説明に驚いたり。
その楽しそうな声が遠くに聞こえてきて、なんだかあれこれ想像してしまっていた男性陣。
何故かお互いの目を合わせないようにして、すっかり無口になってしまったのだった。
おわり。
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Xは「アジアっぽい世界観」とどこかで読んだので、ユウナは裸でお風呂に入ると主張させましたが、間違っていたらごめんなさい。
ユウナの喋り方は本当にごめんなさい。
動画見て勉強しようかと思ったのですが、今すごく10をプレイしたいので、ネタバレは避けたかったんです。
「(キャラクター名)はそんなこと(覗きとか)しない!」とかそういう話ならパスだ、の方向でどうぞお願いします。
投稿人はFFキャラクター全員好き過ぎて生きているのが辛いです。悪意ではなく愛で書きましたが、もし不快に感じられたらごめんなさい。