その後の二人。【前編】(DDFF/R18)

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フリオニールの瞳は正しく獲物を貪る獣のそれだった。
「フリオニール…」
ライトニングのかすれた声にフリオニールの瞳にいつもの暖かい光が戻る。
「なんだ?…俺、何かまずかったか?」
オロオロするフリオニールとさっきのまでのフリオニールのギャップにライトニングは言葉を失ってしまう。
「…俺、がっつき過ぎ…たか?」
ますますうろたえるフリオニールに言葉を返せない。
ましてやちょっと怖かった、などとライトニングは口が裂けても言いたくはない。
そんなライトニングの様子にフリオニールはますます慌てる。
「す…すまない…ライトを抱いてると…何かを思い出しそうで…」
「思い出す…?」
「そうだ。なんだかせき立てられてるみたいで、もっと、もっと…そんな感じだ。セシルが言ってただろ?戦えば戦うほど少しずつ記憶がもどって、そん…な…感じ…で」
ここまで言って、フリオニールは自分で自分に驚いて目を見開いた。
「今、セシルと言ったのか?」
フリオニールは眉をひそめ、首を左右に振り、
「…自分でもよく分からない…自然に口について出た…でも、漠然とだが…そんな会話をした覚えがある…」
フリオニールの頭の中に浮かんだ風景は見渡す限り、テーブルのように突き出た岩棚が並ぶ、暗い、寂しい場所だった。
(そこには月が青白く光って…いた…)
そこで物腰の柔らかい青年とそんな話をしたような気がする。でも、相手の声や姿がどうしても思い出せない。
フリオニールはライトニングから首ごと視線を逸らしてしまう。
こんな風に水面にあぶくが浮かんで来るかのように断片的に蘇る記憶は自分を混乱させるだけでなく、ライトニングをもつらい思いをさせてしまう。フリオニールはそんな自分が許せないのだ。唇をぎゅっと結び黙りこんでしまう。
ライトニングはそんなフリオニールの首に腕を回すと、ちゅっと音を立てて唇をついばんだ。
フリオニールが驚いた隙に、くるりと身体を入れ替えて上になると、そのまま小鳥が餌をついばむように可愛らしくキスの雨をフリオニールの顔い降らせる。
「ら、ライト…?」
それはフリオニールへの愛おしさが溢れた優しい愛撫だった。慰めるような、気持ちを浮き立たせるような。
フリオニールの表情が緩み、目を細めてそんなライトニングを見つめていたが、
「…う、わ?」
と、突然おかしな声を上げた。
いつの間にやらライトニングの右手が熱く滾ったフリオニール自身に触れたのだ。
手のひらで優しく下から上へと撫で上げられ、それだけで息が弾んでしまう。驚いてライトニングを見つめると、目尻をほんのりと染め、じっとフリオニールを見つめている。
「ライト…それは…」
触れられたそこは既に先走りの液でドロドロになっていた。むき出しの欲望を目の当たりにされたようでフリオニールはいたたまれない。
「少し、黙ってろ。」
ライトニングが耳元で囁く。フリオニールは慌てて声を飲み込んた。
ライトニングの細い指が茎の部分にからみ、ゆっくりとしごき上げる動きに、閉じ込めた声が吐く息と共に簡単に漏れた。
「あ…くっ…」
既に限界に近かったそれは勢い良く精液を吐き出し、ライトニングの手をしとどに汚した。
驚いて身体を起こすフリオニールに、ライトニングは優しく身体を伸び上がるようにして制し、手の動きを止めようとしない。
「ライト…っ」
「黙ってろと言っただろ?」
一度射精し、勢いをなくしたフリオ自身は見る見る内に固さを取り戻した。吐き出されたものがライトニングの指の動きに合わせてにちゃ、といやらしい音を立てる。それがライトニングにひどい仕打ちをしているように思えていたたまれない。そのくせ、ゾクゾクするような快感がそこから全身に広がり、食いしばった歯から息が漏れるのを止められない。
ふとライトニングの手が止まり、フリオニールはホッとして大きく息をついた。肩で息をしながらライトニングを見ると、一度吐精した自身に手を添え、その唇で先端に口付けようとしている。
「嘘だろ、ライト…っ」
ライトニングはもう黙るな、ともなんとも言わずにその先端からゆっくりと飲み込んでいく。喉の奥まで収めてしまうと、こんどは唇をゆっくりと上下させる。
「う、あ…ライト…」
我慢出来ずに腰が浮いてしまう。
「違う、ライト…」
ライトニングは動きを止め、ゆっくりと唇を離した。拳でぐい、と口元を拭うとフリオニ−ルの瞳を覗きこむ。
「君に…こんなことをさせたいわけじゃない。」
「では何をさせたいのだ?」
「大事に…したいんだ。それは…これとは違う…気がする…」
「違いはしない。」
ライトニングはフリオニールの頬を撫でる。
「おまえは私に触れたくないのか?」
「それは、もちろん…」
「怖がるな。」
ライトニングは優しく諭す。
おそらく、ライトニングを抱くことはフリオニールにとって異世界での記憶を紐解くきっかけになるのだろう。フリオニールはそれを本能的に恐れているのだ。
「こんなことは、当たり前のことだ。何も怖くはない…」
さっきの獣のようなフリオニールを怖がっていたのは自分なのに、とライトニングは自分を少し鼻で笑って、フリオニールの唇に触れる。
「お前が…私を思い出してくれるのなら、私は…どんなお前でも受け入れよう。」
ライトニングが囁くと、そうだ、とフリオニールは思い出す。
ライトニングは何度もためらう自分を根気よくなだめ、求め続けてくれていたのだ。
フリオニールは箍が外れたかのようにライトニングを組み伏せ、ふくよかな唇を乱暴に塞いだ。
ライトニングもそれを受け止める。
フリオニールの浅黒い肌と、ライトニングの白い身体が上に下にと絡み合う。
口付ける音と、ベッドの上で睦み合う音だけが部屋に響く。
ふとフリオニールの目にライトニングのすらりとした足が目に飛び込んできた。
フリオニールはライトニングの片方の足首を掴むと、乱暴にそれを開いた。
それがライトニングにとって恥ずかしくないわけがない。が、全て受け入れると言った言葉通り、きゅっと唇を噛み締め、フリオニールにされるがままでいる。
フリオニールはそのみずみずしい太ももの内側に思わず歯を立てた。
「あっ…!」
ライトニングはさすがに悲鳴を上げた。
フリオニールは今度は膝から足の付け根に向けて舌を這わせる。くすぐったさと、ぞくぞくとした感覚にライトニングは身体をくねらせた。
フリオニールは何度も下を往復させ、時にはそこに吸い付き、鮮やかな赤い跡を白い内ももにいくつも残していく。
フリオニールは執拗にライトニングの足をなぶった。跳ねる足を持ち上げたまま足首をがっちりと掴んで固定し、太ももの次は足の甲に口付け、指をねぶる。
「フリオ…くすぐった……あんっ…!」
ライトニングの身体からは甘い花の香りが漂うようで、その香りの源を探るかのようにフリオニールはもう片方の足首を掴むと左右に押し開き、足の付け根にある淡い茂みに唇を寄せた。
そこはもう愛液が幾筋も流れ、柔らかそうな陰毛に絡みついている。
フリオニールは顔をそこに顔を突っ込むようにして、乱暴に秘裂を舌でねぶる。
「うう…ん、あぁっ!」
フリオニールの唾液と、ライトニングの愛液が混ざり合いシーツに落ちて小さなしみを作る。下腹部から聞こえてくるぴちゃぴちゃという音と、そこにふれる熱い息、湧き上がるからだの芯からとろけるような感覚にライトニングは喜悦の声を上げ続ける。
「あっ、フリオ…」
さっきは恐ろしかったフリオニールの熱情に今はうっとりと身を任せる。
「もっ…と……」
いつの間にか、フリオニールを離すまいとするかのように太ももでフリオニールを挟み、青みのかかった銀色の髪を指でくしゃくしゃにかきまわす。
「あっ…あぁつ…」
フリオニールの舌がライトニングの最も敏感な陰核を捉えた。ライトニングの身体がますます大きくうねる。
「あっ…いい…フ…リオっ……」
情欲に任せた乱暴な愛撫中でそこに触れる舌先の動きだけは精密で、ライトニングは忘我の体で切なげな声を上げる。
その声に誘われてフリオニールが愛液を流し続ける蜜壺に指を差し入れる。
ライトニングはシーツに爪を立て、かきむしって快感に耐える。
身体中に溜まった熱で血液が沸騰するのではないかと思えるほどだ。その熱に耐え切れなくてライトニングは声を絞り出した。
「フリオ……あ、頼…む…もうっ…」
フリオニールはそれに応えるかのように、クリトリスを乱暴に舌先で弾いた。
「は、ぁ…あぁっ…フリオニール…!フリオニール!」
めくるめく波に飲み込まれ、ライトニングの身体が一瞬硬直する。フリオニールが愛撫しているそこからの痺れるような感覚にうっとりと目を細め、唇が小刻みに震えている。フリオニールはライトニングの絶頂に合わせ、少しずつ愛撫のスピードを落とし、ライトニングの身体が弛緩し、ベッドにぐったりと身体を沈めると漸く顔をそこから離した。
「あ…フリオ…」
ライトニングは弱々しくフリオニールに腕を伸ばした。
「早く…」
フリオニールはライトニングの左の太ももを折り曲げるようにして持ち上げると、その間に身体を割り入れる。濡れた蜜壺の位置を何度か指で探っ後で、いきり立ったそれをぐい、と押し入れた。
「あ、あっ…!」
ライトニングの腕がぎゅっとひときわ強くフリオニールにしがみく。
じわじわと胎内に押し入ってくるその質量と熱に、ライトニングは甘く、甲高い声を漏らした。
全てを収めてしまうと、自身を柔らかく包み込む柔らかい膣壁にフリオニールは大きく息を吐きいた。と、また何かを思い出す時のもどかしい、あの感じがこみ上げて。
フリオニールはそれを振り払うかの様に頭を左右に振り、ゆっくりと抽送を始めた。
ライトニングの胎内は熱く、蕩けそうな程柔らかく、そのくせフリオの男根をきゅっと締め付けてくる。
「ライトニング…」
フリオニールは熱に浮かされたかのように、鼻をライトニングの鼻にこすりつける。
「すごい……ライトの……」
まるで仔犬が甘えるかの様な仕草がライトニングには涙が出るほど愛おしく思える。ライトニングは腰を揺らめかせ、フリオニールをより奥へと導く。一度射精しているためか結合は長く、様々な体位で交わり続けた。だがどんな時でも二人ぴたりと身体を密着させお互いの瞳を見つめ合い、何度も名前を呼び合い、それは夜が明けるまで続いたのだった。

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