その後の二人。【前編】(DDFF/R18)

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目を覚ましたフリオニールが真っ先に見つけたのは頭から足先まですっぽりとシーツに包まったライトニングだった。
肌寒さに目を覚ましたのだが、昨日の激しい行為のあとそのまま眠ってしまったので、当然一糸まとわずの全裸だ。
フリオニールは首を傾げた。昨夜はライトニングをしっかりと抱きしめて眠ったはずなのに。自分は寝ている間に暑くてなって、ライトニングを押しやり、それで離れて寝てしまったのだろうか?それとも、ライトニングが寝ている間に寒くなって、無意識にフリオニールからシーツを奪い、あんな風にしっかり巻きつけて眠ってしまったのだろうか?
「…ライト?」
声をかけても返事がない。
眠りに落ちる前はあの世界での自分に嫉妬し、落ち込んだりもしたが、それと同じくらい昨夜のライトニングが素晴らしくいやらしくて可愛いかったのを思い出した。ふざけたり、ちょっぴり意地悪をしたりして、お互いに心安い時間を過ごせたと思うし、いつもより深い快楽の果てを味わって。そんな一つ一つの行為は二人の間だけに許されたもので、そのことがフリオニールにはかけがえのない物に思え、二人の絆が深まったと確信できた。なので、この朝はどんな甘い雰囲気を味わえるかとちょっぴり期待していたのだが。
(よっぽど疲れているんだろうな…)
名残惜しいし、一体何がライトニングをシーツのみの虫にしてしまったのか気にはなるが、眠るライトニングのシーツを引っ剥がすわけにはいかないし、かと言って一人で全裸のままというのも気まずい。そこでフリオニールは昨日の行為の残滓が身体に残っているのでシャワーを浴びることにした。
その前に、シーツのみの虫の、頭の辺りにシーツ越しにキスをして、それから床に散らばっている服や装備の中からバスローブを拾いってバスルームへ向かう。
バスルームのドアを開いた時に、シーツの塊が一瞬モソモソと動いたのがちらりと目に入ったが、とりあえずはシャワーを浴びてしまおう、とそのまま扉を閉めた。
シャワーを浴びながらフリオニールは昨夜のことを何度も思い返した。昨夜ライトニングが背中に建てた爪の引っかき傷にシャワーの湯がしみたが、それすらも嬉しいような、誇らしいような。
(でも…結局ライトにリードされてるんだな…)
先にいってしまったり、ライトニングに子供っぽい態度を取ってしまったりと、そこの辺りがフリオニールにはライトニングの方が余裕があるように思えてしまうのだ。
(俺のほうが年下だからかな…)
今度はもっとしっかりとライトニングをリードして、などと、どうでも良いことを悶々と考えながらシャワーのコックと捻って湯を止めた。
髪と身体を拭きながら今日はライトニングにはゆっくりと休んでもらって、その間に自分は武器の手入れでもしようと今日の予定を決めた。その時にライトニングの他愛のない話をまた、たくさん聞けたらな、と奥ゆかしい期待を抱いてバスルームから出る。
すると、シーツの隙間からライトニングが少しだけ顔を出していた。ライトニングは目を覚ましていたようだ。自分がシャワーを浴びる音でライトニングを起こしたのかとフリオニールは心配になり、声をかけようとしたところで、ライトニングはすぐに顔をシーツの中に引っ込めてしまった。
「?????…ライト?」
明らかにフリオニールがバスルームから出たのに気付いて顔を引っ込めていた。そうして、シーツの中で身体がもぞもぞと動き、繭の様にしっかりとシーツで自分を包んでしまう。フリオニールはライトニングが何をしているのか分からず、呆然とベッドのシーツにしっかりと身を包んでいるライトニングを眺めた。
(………怒って……いるのか……?)
どうも自分は拒絶されているらしい。昨夜、深く愛しあったと思っていたのは自分だけだったのだろうか?
(だとしても変だ…ライトとは思えないほど……)
上手く表現する言葉が浮かばず、フリオニールは暫し考えて、
(そうだ…子供っぽい。)
言葉が見つかると、ライトニングの行動の謎はいとも容易く分かってしまった。
フリオニールはベッドの上のライトニングの傍らに座る。ライトニングが内側からシーツをぎゅっと掴んだのが分かり、自分の解答に確信を得た。
「何を拗ねているんだ、ライト?」
ライトニング、返事をしない。
「それとも…照れてるのか?」
「…うるさい。」
フリオニールは顔が笑ってしまうのを止める事が出来ない。とりあえず言い返して来たのを鑑みるに、そんなに深刻な事態ではなさそうだ。
「そんなに恥ずかしがらなくったっていいじゃないか。俺なんか、昨日、カッコ悪かったし。それに比べたら、ライトは可愛くて色っぽくてきれいでいやらしくて…」
フリオニールは昨夜のライトニングがいかに素晴らしかったかをもっと伝えたくて言葉を探すのだが、
「う〜ん、これ以上言葉を知らないな…思いつかない。でも、言葉に出来ないくらい…そうだ!俺達が今いる世界以外にも、たくさんの世界が存在するんだろう?俺は、昨日のライトはその全ての世界の女性の誰よりも一番きれいと思っ……」
言い終わらない内にライトニングがガバっと跳ね起きた。口唇をぎゅっと結び、頬を、いや耳まで真っ赤にしてフリオニールを黙らせようと掴みかかって来る。フリオニールはそんなライトニングの動きは当然予想していたので、手首ををやすやすと捕らえてしまう。
「…おはよう、ライト。」
手を振りほどこうとじたばたしていたライトニングだが、満面の笑みに気が削がれて大人しくなる。それでも、しぶしぶ、といった感じではあるが。
「ひどいな、ライト。俺は寒くて目が覚めたんだぞ?」
「…え?」
ライトニングを責めるつもりではもちろんない。こういう風に言うと、ライトニングからはいつもポンポンと厳しい言葉が飛び出して来たので、その方がライトニングが話しやすいだろうとフリオニールは思ったのだ。
だが、意外なことに、その言葉に上目遣いにフリオニールを睨んでいたライトニングの釣り上がっていた眉がふにゅっと垂れて、固く結ばれていた口唇は何か言いたげにうっすらと開き、瞳に明らかに動揺の色が浮かんだ。
大げさなようだが、そんなライトニングの表情の変化にフリオニールは魂が震えるほど感動してしまう。
「……ライト……」
感動がすぐに顔に出てしまうフリオニールが目を見開いて自分を見るのに、ライトニングは漸く我に返り、再び手を振りほどこうとしたが、遅かった。
「……んっ……」
逃げられない様に手首をしっかりと掴まれたままフリオニールがいきなり口づけてきた。それは朝の挨拶のキスとは思えないほど濃厚な物で。隙をつかれ、ライトニングはあっさりとフリオニールの舌の侵入を許してしまう。
「ふっ……あ、……」
昨夜の余韻のせいだろうか、ライトニングはすぐに鼻にかかった甘い声を漏らした。フリオニールの舌が歯列をなぞり、口蓋を舌先でくすぐったり、逃げる舌を絡められ、きつく吸い上げられてくったりと力が抜けてしまう。
力が抜けてしまったのをいいことに、フリオニールはライトニングを抱きしめ、そのまま自分の身体ごとベッドに押し倒した。
(…あんなに…したのに…)
ライトニングはひたすら戸惑う。身体はもう火照って、秘められた所がきゅん甘く痺れたように疼く。が、視界の端に窓が見えて、陽がもうだいぶ高いことを知って、はっと自分を取り戻した。
「フリオ……っ…だめだ…んんっ…」
またすぐに口唇を塞がれた。昨夜と違ってフリオニールは性急で、手はもうライトニングの胸をまさぐっている。昨夜数えきれないほど指と舌でいたぶられたそこはすぐにじんわりとした感覚がよみがえってきて、ライトニングの身体の自由を奪った。
抵抗の力が抜けたのを知ると、フリオニールは両手でライトニングの両の胸をぐっと寄せ、その半球の頂きにある昨夜の執拗なほどの愛撫のお陰で未だ赤く熟れきった乳首を代わる代わる口に含み、ぴちゃ、と音を立ててなぶる。
「…あんっ……あ、…あっ……!」
ライトニングはすぐに喉を反らせ、ぎゅっと目を閉じた。フリオニールの端正な顔がライトニングの胸を寄せたその間からじっと自分を見つめていたのが、明るい部屋の中でたまらなくいやらしく思えて。
この世界に来て初めて泊まった宿でも、朝も夜も構わずに情事に耽ってはいたが、あの時は吹雪で部屋が暗かったのに、今はさんさんと太陽の灯りが部屋に降り注いでこんなにも明るいのだ。
「お…まえ……、朝…っ…から、何を……」
「もう昼前だ。」
フリオニールがしれっと答える。
「だったら…なおさら…、あっ……!」
小さな悲鳴を上げ、ライトニングの身体が跳ね上がる。フリオニールの手がもう柔らかな茂みに届き、それをかき分けてその奥に届いたからだ。そこはもうしっとりとしていて、フリオニールの指がそれを絡めるようにして秘裂を辿る。
ライトニングは全力でフリオニールを押しのけようと、遮二無二腕でフリオニールの胸を押し返した。
「…だめだっ!そこは…!」
「…ライト?」
フリオニールはライトニングの抵抗がいつもと違うのに驚いて手を止めた。
今そこに触れて欲しくない理由をフリオニールに告げることはライトニングにはとても恥ずかしいことだった。だが、告げないと、このまま行為を続けられてしまう。それだけはなんとしても避けたかった。
「……そこは……汚れている……」
小さな小さな声で告げられ、フリオニールはライトニングが何を言ってるのか分からず、ぽかん、とその顔を見つめている。フリオニールが理解していないのが余計に身の置きどころがなくて、ライトニングはもう消えてしまいたい、と両手で顔を覆ってしまう。ライトニングの恥じらう様子に、フリオニールは彼女が何を言っているのかやっと理解した。
「なんだ、そんな事か。」
フリオニールが心からホッとして言うのに、ライトニングは目眩を覚える。とにかく阻止せねばと、未だライトニングの下肢に触れたままのフリオニールの手を必死で離そうと引っ張る。
「そんな…事ではない!」
「…そっか、ごめん。」
フリオニールは素直に認めると、名残惜しげではあるが、やっとそこから手を離した。
「俺だけシャワーを浴びて、それはないよな。」
だから、ライトニングにとって恥ずかしくていたたまれない事を素顔で真面目に言わないで欲しい。
それでもフリオニールが諦めたことにライトニングはホッとしてフリオニールの手を離した。
「でも、俺は気にしない。」
言うが早いか、フリオニールはライトニングを身体でライトニングを押さえ込み、強引に足を割り、再びライトニングの陰裂を手で覆う様にし、その割れ目にそって指を滑らす。
「っ…!や、フリオ……!」
感じるどころではない。ライトニングは必死で暴れてフリオニールの身体をどかせようとするが、フリオニールはがっちりとライトニングの身体を押さえこんでいてびくともしない。
おそらく、ライトニングの陰部には昨日フリオニールが放った精液と、自分が流した愛液が今なお残っているだろう。そんな汚れてしまった所をフリオニールに弄られるなどと考えたくもない。
そのくせ、フリオニールが蜜壺の入り口辺りをやわやわと撫でると、身体が震えてしまい、吐息が淫らに早くなってしまうのだ。
「ライト…、どうする?」
フリオニールが手を止めて聞いてくる。
「……何のことだ…」
フリオニールはイタズラをする少年の顔で聞いてくる。
「このままするのと、洗いながらするのと、どっちがいい?」
洗いながら、という言葉にライトニングは思わず、
「…それは、バスルーム…ということか?」
と、聞き返してしまった。フリオニールは嬉しそうに頷く。
「どっちにしろ、俺は止めない。止められないさ、あんな可愛いライトを見たら。さっきのライトはこの世界だけじゃなくって、全部の世界のどの女性よりも可愛くって…そんなライトを見たら、俺はもう堪らないよ。」
「……昨日、あれだけしただろう?」
「う〜ん…そうなんだが、それでも、もっとしたくなるくらい可愛かった。言ったろ?この世界だけじゃなくって、全部の世界のどの女性よりも可愛いかったって。」
「その言い回しは止めろ!」
ライトニングは口では怒ってはいるが、実はまんざらではなく、とてもうれしいのだとフリオニールはよく分かっている。
「俺はこのままで構わない。汚いなんて思わない。だって…」
「それ以上言うと口を縫い付けるぞ。」
「でも、ライトはこのままだと嫌なんだろ?だから。」
それで風呂場か、とライトニングは呆れてしまう。
「このまま何もしないという選択肢もあるだろう?」
「俺が無理だ。」
そう言って見せる笑顔はとても眩しくて、こんな状況なのにライトニングは胸が高鳴る。
(…誰だ、こいつが笑うのが苦手だなんて言ったのは…)
と、心の中でこの場に居ない昔馴染みに怨み言を言う。
「どうする?」
フリオニールの笑顔は無邪気なようでいて、ぞくっとするほど艶っぽかった。
結局、抗えないことを悟り、ライトニングはどちらにするかを考えに考え抜いた挙句決めたのだった。

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