オペラ座の空賊(FF12)

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固い寝床に身体が悲鳴を上げ、目覚めつつある意識の中でヴァンは違和感を覚える。
最近の寝床はもっぱら飛空艇のシートで、そうでなければ良くて宿屋か、悪くて野宿だった。
今自分が眠っている所はそのどこでもなさそうだ。
そして、何か大事な事を放り出している、それを思い出して跳ね起きた。
「パンネロ!」
跳ね起きて起きて辺りを見回す。
真っ暗だが、灯り取りの小さな窓から辛うじて月明かりがさしこんでいるので、 目を凝らしてだが、なんとか様子は分かる。
周りは石の壁、目の前には鉄格子、しかも手には枷がはめられている。
(……ここは……)
自分の置かれた状況が分からず、心臓が早鐘を打つ。
落ち着け…と自分に言い聞かせ、大きく息を吸い込む。
(そうだ…その調子だ…)
何度も深呼吸を繰り返す。
次第に心が落ち着き、目覚める前の事が思い出されてくる。
(そうだ…アーシェに見つかって逃げようとして…)
あの時、頭が溶けてしまったのではないか…という程眠くなった。
突然意識を失い、眠りこんでしまったという事は、
(アーシェのヤツ…)
ヴァンはアーシェに魔法をかけられ、捕らえられたのだと勘違いしたのだ。
魔法を防ぐアイテムをパンネロに持たせたのはいいが、 自分が持っていなかったのは失敗だった。
こんな牢くらい、破るのは簡単だとヴァンは誰にでもなく強がり、 そして一番の心配事に思いを巡らせる。
(パンネロは…)
ラーサーが連れ出していた。
「じゃあ…大丈夫……だよな……」
だが、あの騒ぎでは頼まれた事を完遂出来なかったとうい事で。
さすがのヴァンも落ち込み、もう一度仰向けに横になろうとした時、 牢の外で鉄の扉が開く音がした。
兵士が3人入ってきてヴァンを一瞥すると、牢の鍵を開けた。
「出ろ。」
答えるのも億劫で、寝転がったままでいると、
「陛下がお待ちだ。」
言われてヴァンは仕方がなく起き上がった。
通されたのは、こじんまりとしてはいるが、 大きなタペストリーが飾られた豪奢な部屋だった。
広間の隣にある控え室で、密談にもよく使われる部屋なのか、 中央に円卓と、それをぐるりと囲んでオーク材の椅子が並んでいる。
そこに並んで座るラーサーと、能面の様に表情のないアーシェ、 その傍らに心配そうにヴァンを見つめて立つバッシュを見て、 ヴァンは思わずその場を逃げ出そうかと思った。
兵士達は一礼をし、部屋を出て行った。
と、同時にガチャリ、と鍵の閉められ、ヴァンは驚いてドアを振り返り、 そして抗議しようとアーシェを見て、氷の様に冷たい視線に何も言えなくなり、その場に立ち尽くした。
重い重い空気の中、アーシェが口を開いた。
「…説明してもらいましょうか。」
ヴァン、答えない。
「不審者の逮捕に協力してくれた事には感謝します。だからと言って、私やラーサー殿を欺こうとした罪が許されるわけではありません。」
「それぐらい…」
小さく呟いたのをアーシェが聞き逃すはずもなく。
「それぐらい?」
アーシェの声が一段と高くなる。
「あなたは事の重大さが分かっているの?…おまけにパンネロまでさらわれて…」
「パンネロが…?」
「バルフレアが連れ去った。」
「バルフレアが…っ?なんでだよ??」
パンネロならラーサーがあの場から連れ出したはずでは…?
ヴァンはテーブルに詰め寄る。
「聞きたいのはこっちですよ。」
と、溜め息まじりにラーサー。
「あのモンスターを退治した後、劇場中を眠らせる魔法がかけられました。その後でみんなを眠らせてパンネロさんを連れ去ったんです。
何が目的なのかは分かりません…」
「劇場中?じゃあ、俺を眠らせた魔法は、アーシェじゃなかったのか…?」
バッシュが頷く。
「私が出会った時、バルフレアはあくまで傍観者に徹するという口ぶりだった。」
「あの時バルフレアが来てるなんて言わなかっただろ!?いつの間に来てたんだよ!」
何故言わなかった、と言わんばかりのヴァンにバッシュは端的に答える。
「君が地下で賊を捕らえた後だ。」
「そんな……」
ヴァンは力なく呟いた。
何故こんな事になったのか…… 肩を落とすヴァンにバッシュがごほん、と咳払いをする。
「バルフレアがパンネロを連れ去ったのを目撃したのは、 アーシェ陛下と、フィガロ王なのだが……」
バッシュはそこで口ごもる。
「なんだよ、バルフレアが連れてったのは間違いないんだろ?」
「いや……その……」
更に口ごもるバッシュに痺れを切らしたアーシェが言葉を受け継ぐ。
「エドガー様によると、二人は駆け落ちをするためにあの様な騒ぎを起こしたそうです。あなたはその事を知っていましたか?」
ヴァンはぱっくりと口を開け、高貴な三人を凝視する。
その顔に、つい吹き出しそうになるバッシュだったが、また一つ咳払いをして堪える。
「やっぱりあなたも知らなかったのね…」
「知ってるも何も…………俺とパンネロはずっと一緒だったんだぞ!?」
それがいつ駆け落ちの相談なんて出来るのか。
「片時も離れず、にですか?」
ラーサーが尋ねる。もちろん、その言葉には小さな針が仕込まれているのだが、 今のヴァンがそれに気付くはずもなく。
「そうだよ!いつだって!ずっと…………」
言いかけて、気付く。
(そうじゃない………)
舞台の前夜、そして当日と、パンネロをずっと一人にしていた。
「………舞台の前の夜………パンネロはずっと……一人だった……」
ヴァンは俯き、力なく呟く。
目の先にある手枷がずっしりと重く感じた。
「ヴァン…ショックかもしれないが、我々も状況がさっぱり分からない。いきなり舞台でパンネロが歌い出す。お二人を狙う輩は忍び込む。バッガモナン達もだ。それにあの”オルトロス”とかいうモンスター、そして最後にバルフレアとパンネロの駆け落ちだ。君なら、我々よりも状況が分かっていると思う。話してもらえないだろうか。」
バッシュの落ち着いた声がしん、とした部屋に響く。
だが、ヴァンは俯いたままだ。
ラーサーとバッシュは困ってしまい、思わず顔を見合わせる。
と、不意にアーシェが立ち上がり、ヴァンに歩み寄る。
そして、その肩を優しく抱くようにして、 壁際に置かれていた一人掛けのソファにヴァンを座らせた。
「ねぇ…ヴァン?」
アーシェは俯いてしまったヴァンの傍らに跪き、その瞳を優しく見上げる。
「確かに…私達は同じ道を歩む事は出来ないけど…でも、あの旅で同じ物を見て、大切な何かを一緒に取り戻したわ…そうでしょ?」
「…………うん。」
「その私にも言えない事…?」
「アーシェ………」
「どうしてパンネロが舞台に立っていたの?何が目的であんな事を?」
強ばっていたヴァンの表情が泣き出しそうに緩む。
が、口を固く閉じると、また俯いてしまう。
怒ってもだめ、宥めてもだめ。
「陛下…おそらく…ヴァンはパンネロを大きな舞台に 出させてやりたかったのではないでしょうか?」
「そうなの?ヴァン?」
ヴァンは黙っている。
アーシェは眉を寄せ、荒々しく立ち上がると、ヴァンの頬を思い切り張った。
「いってぇな!いきなり!何すんだよ!」
「陛下…落ち付いて下さい!」
「充分、落ち着いています!」
一喝され、ヴァンもバッシュも一斉に黙る。
「舞台に立たせてやりたいですって…?パンネロをあんな危ない目に遭わせて?そもそもパンネロは舞台に上がる事を心から望んでいたの?望んでいたとしても、それをこんな形で叶えるのがパンネロの為になるとでも?」
一気にまくしたて、ふぅっと息を吐いてから呼吸を整えるとアーシェは更に続ける。
「大体、こんな独りよがりな贈り物を送りつけるなんて女性に対して失礼です!」
「陛下…それはあまりに…」
ヴァンの頑張りぶりをつぶさに見守って来たバッシュが助け舟を出すが、
「お黙りなさい!バッシュ、あなたはヴァンに甘過ぎます。それに、ヴァンの目的はパンネロを舞台に立たせる事ではありません。」
「ちげーよ!俺は…!」
「白状なさい、ヴァン。でないと私がラーサー殿とバッシュに話します。」
「…分かるもんか。」
「言ったわね。」
ハラハラしながら二人の様子を見守っていたラーサー、
「陛下…では一体…」
「この子はね、自分が観たかっただけなのよ。」
バッシュとラーサー、目が点になる。
「ちげーってば!」
「お黙りなさいってば!ここで慌てるのが何よりの証拠よ。」
「勝手な事言うなよ!」
ヴァンは顔を真っ赤にして、違うと叫び続け、 アーシェはそれを”はいはい”とあしらう。
傍で見ていたラーサーは言葉を挟むのも忘れ、二人の様子を眺めていた。
(なんだか姉弟喧嘩のようですね…)
「じゃあちゃんと理由を言ってみなさいよ!」
「俺はミゲロさんとダンチョーさんに……あっ…」
ヴァンが気付いた時には既に遅かった。
アーシェはおそろしく冷静な声で、
「バッシュ、この二人を連行するように。」
「やめろってば!」
叫ぶヴァンをアーシェはジロリ、と睨む。
「おっかねぇ。」
「なんてすって?」
ヴァンは首を竦めて黙る。
「賊を捕らえてくれたお礼として、二人を罪に問う事はしません。でも、両国の大事な行事に対してあまりにも思慮が足りません。釘だけは差させてもらいます。」
罪に問われないと聞いて安心したが、結局、依頼を完遂する事が出来なかった。
落ち込むヴァンにアーシェは容赦がない。
「ヴァン、あなたも暫くここに居て貰います。」
「なんでだよ、俺はパンネロを…!」
「ナルビアに行きたい?」
“どこに閉じ込められたって、俺は行くからな。”そう言うつもりだったが、 アーシェの冷たい視線があまりにも恐ろしくて。
「……分かったよ。」
怖いもの知らずのヴァンだったが、ここで初めて この世で最も恐ろしいものは何なのかを知る。
「モンスターとかお化けとそんなのよりさ、怒ったアーシェが一番おっかないんだな。パンネロも怒ると怖いけど、アーシェはもっと怖いよ。おフクロより怖い。」
ラーサーは天井を仰ぎ見、バッシュが何かを言おうとするその前に
パチーン、と小気味の良い音が部屋に響き渡った。
**************
一方、バルフレアはパンネロを連れて劇場の地下からラムサイズ水路へ抜け、小舟で市街地外れまで移動する。
深夜の人気がなくなる時間を待ち、ダウンタウンを抜けてラバナスタの街への階段を上る。
ドレス姿では目立つので、パンネロはすっぽりとマントを被らされている。
闇に紛れ、二人は誰にも見咎められることなく広場に辿り着いた。
パンネロは、足を引きずる様にして歩いている。
履いている靴が窮屈で、おまけに靴擦れまで出来てしまい、どうしても遅れがちになる。 。
「どうした?」
バルフレアが振り返る。
「ごめんなさい……靴が……」
やっと追いついて来たパンネロにバルフレアは眉を寄せる。
「見せてみろ。」
パンネロは少しだけドレスの裾を持ち上げる。
見ると、靴のストラップの部分が合わないのか、足の甲の白い靴下に血が滲んでいる。
「すまん、気付かなかったな。」
「これくらい平気。」
バルフレアは強がるパンネロの頭にぽん、と手を置く。
「そいつを脱ぐんだ。それじゃあ裸足の方がまだマシだ。」
「うん。」
パンネロは周りを見渡し、広場の中央の噴水の縁に腰掛けると、靴を脱いだ。
押し込められていた足はじんじんと痛み、靴擦れは至る所に出来ていて、 靴下を赤く染めていた。
だが、靴を脱いだだけで随分と楽になる。
(もっと早く脱いじゃえばよかったんだわ。)
ひんやりとした石畳が気持ち良い。
脱いだ靴を手に持って立とうとして、パンネロは思わず悲鳴を上げた。
いつの間にか目の前にバルフレアの背中があって、 長い腕がパンネロの背中に回ったかと思うと、 そのまま背中に乗せられてしまったのだ。
「きゃあ!バルフレアさん!」
パンネロは思わずバルフレアの首にしがみつく。
「婚約者を裸足で歩かせるわけにはいかないんでね。…と、失礼。」
(まだ言ってる……)
どうせ”婚約者”なんて時代がかかった言い回しがおもしろくて使っているだけなのだろう。
だが、いつもの冗談だと分かっていても、パンネロはなんだかくすぐったい気持ちになる。
バルフレアはドレス越しにパンネロの腿の下に手をいれ、落ちないように固定する。
いつも見ていた女性に対するきどった態度ではなく、バルフレアらしくないぶっきらぼうな優しさだ。
だがそれが却ってうれしい。
「婚約者なら、おんぶなんかしないで腕に抱えるんじゃない?」
肩越しにパンネロがからかうと、
「生憎とそこまで頑丈じゃない。お嬢ちゃんがもっと軽けりゃいいんだが。」
(照れてるのかしら?)
バルフレアにとってパンネロは、気安い間柄ではあるものの、一応女性だし、 でも年下だし…で、どう扱って良いのか分からないようだ。
(二人っきりになったことって、ないもんね…)
「私、そんなに重くないよ?」
ちょっと拗ねてみせたのは、その方がバルフレアが話し易いと思ったからだ。
「あぁ、羽の様に軽いさ。さ、行くぞ。しっかり捕まってろ。」
パンネロは慌ててしがみつく。
昼間の喧噪とはうって変わってがらん、としたバザーを通り抜けると バルフレアは路地裏にある一軒の家の前で立ち止まり、扉をノックした。
すぐに扉が開き、フランが顔を出すとバルフレアを招き入れた。
バルフレアは中に入るとパンネロを下ろしてやる。
「フラン、お望み通り、ラバナスタ一の歌姫を盗んで来てやったぜ。」
フランはおどけるバルフレアを無視してパンネロはマントを外してやる。
「よく来たわね、パンネロ。」
「フラン、どうして…?」
「話は後でゆっくりね。まずは、その窮屈なドレスを脱ぎなさい。」
フランは隣の寝室にパンネロを連れて行くと背中のボタンを外してやる。
幾重にも重ねられたスカートのウエストのボタンも外側から順番に外しすと、 スカートはストンと床に落ちる。
床でくしゃくしゃの布の輪になったドレスから抜け出すと、 パンネロはフランに背中を向ける。
フランがぎっちりと締め上げられたコルセットの紐を解いてやると、 パンネロは、ほぅ…っと大きく息を吐いた。
「ああ…苦しかった!私、こんなドレスはやっぱり無理!
走れないし、踊るのだって大変だったの。」
「とても似合ってるけど、あなたには暗い舞台より空の上の方がお似合いね。」
「私もそう思う。」
パンネロはフランに笑いかけると、ドロワーズと靴下を脱ぎ、シンプルなスリップ姿になる。
きっちりと結い上げられていた髪はあの騒動ですっかり崩れてしまっている。
フランは鏡台の前にパンネロを座らせると、頭に残ったピンを一つずつ丁寧に外し、 くしゃくしゃになった髪を櫛で丁寧に解きほぐし、薄いドレスを頭から被せてやる。
「これは?」
パンネロは袖を通すと鏡を見て歓声を上げた。
「わぁ…かわいい。」
着せられたドレスはハイウエストの白い綿モスリンのドレスだった。
白い糸で小さな花が一面に刺繍されている。
袖はふんわりとしたパフスリーブで、 幾重にも重ねられた柔らかい生地が肌に気持ち良い。
「バルフレアが選んで来たのよ。窮屈でないのをね。」
「本当?」
「ええ。」
「うれしい…後でお礼を言わなくちゃ。」
ウエストの部分に淡いピンクの絹のサッシュベルトを緩く結び、 最後に湯を張った桶に足を浸し、きれいに洗ったあとで靴ずれの手当もしてもらった。
「やっと楽になったわ。」
パンネロは鏡に映った自分の姿をぼんやりと見つめた。
さっきのドレスもそうだが、なんだか自分ではないように見える。
「ねぇ…フラン…私…暫くここに居た方がいいのね。
そう思ってバルフレアさんに私を連れて来させたんでしょう?」
「そうね。」
「昨日からずっとヘンだったもの……私も、ヴァンも。」
パンネロは、すん、と鼻を鳴らした。
唇をぎゅっと噛み締め、涙を零すまいとしている。
「泣いてもいいのよ。」
フランに言われても、パンネロは頭を振る。
が、涙はぽろぽろと溢れ、新しいドレスにどんどんシミを作る。
「フラン……わっ…わた…し……」
堪えきれず、パンネロは両手で顔を覆って泣き出してしまう。
フランは優しくパンネロを抱き寄せた。
「よく頑張ったわ。えらかったわね。」
緊張の糸が切れたのか、パンネロの泣き声が一際大きくなる。
それが落ち着くまで、フランはずっとパンネロの髪を撫でてやった。
隣で待機中のバルフレアの所にフランがやって来たのは30分程してからだった。
壁越しにパンネロの泣き声が聞こえて、一体どうしたのかと落ち着かなかったのだ。
「どうしてる?」
「眠ったわ。」
フランはバルフレアの飲みかけの酒を煽ると、乱暴にグラスを置いた。
「怒ってるのか…?」
「そうかもね。」
「怖いねぇ。」
言いながらバルフレアは二杯目を注いでやる。
フランはそれを手に取ると、琥珀色の液体をじっと見つめながら語り出した。
「あの二人…ね。私には時々、あの二人が二人にしか分からない言葉で 話している様に見えたわ。」
「仲が良くて結構なことじゃないのか?」
「お互いを支え合ってる様に見えるけど、私にはよりかかって、 それでやっと立ってる様に見えた……」
「どっちかが倒れたら、お終いってことか。」
あっという間に空になったグラスにバルフレアは更に酒を注ぐ。
「それで”お母さん”は放っておけなくなったって訳だな。」
「そんな所ね。」
バルフレアも口ではいつもの軽口ばかりだが、 昨日からどこか痛々しいパンネロを見ていて、 おもしろくない気分になっているのは確かだ。
そして、ヴァンがパンネロに無茶をさせる事を腹立たしく思うと同時に、 ヴァンもどこかおかしくないのではないか心配になる。
だが、それが素直に言葉にすることはない。
「お子様達のお陰で、とんだとばっちりだな。」
「アーシェに見られたの?」
バルフレア、不機嫌になる。
「あなたって本当に顔に出るのね。」
むっとして黙り込むバルフレアに、フランが笑った。

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