彼ニット。(FF12/R18)

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昨日の夜とは違って、深くて優しいキスだった。パンネロはうっとりと瞳を閉じた。愛らしい唇からはもう吐息がこぼれている。バルフレアは柔らかなシルクシフォンのキャミソールをそっとまくり上げ、引き抜いた。きゃしゃな体がさっと淡い桜色に染まり、胸元で腕を交差させ、恥ずかしいところを隠そうとする姿がたまらなく可憐だ。

バルフレアは改めてパンネロを見下ろした。瑞々しい肌や少女の健やかさと、ふっくらとした女の柔らかさの両方を併せ持つ美しい体だ。昨夜は冷たい大理石の上で快楽にその身を波打たせて様は得も言われぬ艶やかさだった。だが今夜のパンネロは細い喉や華奢な肩に目がいってしまう。くっきりと浮かび上がった鎖骨などはいとも簡単に折れてしまいそうで、どこか頼りなげだ。そのくせ体を形どるなよやかなラインはバルフレアを慰め、癒やす、優しい空気をまとっている。柔らかなベッドはパンネロを外敵から守る巣のようで、パンネロがいるベッドはバルフレアのシェルターだ。

バルフレアはゆっくりとパンネロの体に自分の体を重ね、首筋に顔を埋めた。バルフレアの吐く息がくすぐったいのか、パンネロは肩をすくめ、それから優しくバルフレアの頭を撫でた。ほっそりとした首筋に唇を寄せ、舌をはわせると、ぴくんと身を反らせる。薄い皮膚の下に感じる脈拍にそって上へ上へと唇を移し、たどり着いた耳たぶに軽く歯を立てると、かわいらしい嬌声が上がる。

「ぁ…ん、……」

バルフレアはあお向けになっても脇に流れず、きれいに膨らみを保ったままの乳房を優しく手のひらで覆い、軽く揺すってやる。きゅっと噛み締めた唇にあらん限りの愛情をこめて口付けると、閉じていた唇がほどかれ、柔らかな舌が差し出された。パンネロから与えられたのがうれしくて、それに応えようと舌を絡めた。昨夜のような激しいキスではない。互いを好きだという気持ちが言葉を使わず行き来するような、優しく心に染み透るような口づけだった。

「ぁ……っ……」

控えめな声が漏れる。乳首はもう固くピンと張り詰めていて、手のひらがそこをさっと掠めたのだ。肌の色に溶けてしまうのではないかと思うほど淡い珊瑚色の小さな突起は、昨夜さんざんいじられたせいか、赤く腫れていた。指でいじると痛いのではないだろうかと、バルフレアはそこをそっと口にふくんだ。

「……や、…ん……」

頭を撫でてくれていたパンネロの手が止まり、髪の中に指を立てた。痛まないよう口の中に唾液を溜め、舌先で転がしてみると、鈴が転がるような愛らしい声がこぼれる。

「……あぁ……」

甘い痺れるような感覚が染み入るようで、パンネロは体を震わせ、感じ入った声を漏らす。バルフレアが気遣ってくれるのがわかって、パンネロはいつも自分を抑制している何かから解き放ったような気持ちにになる。昨夜のように挑発的なものではなく、心が休まるようなリラックスした解放感だ。

パンネロは自分の胸を愛撫するバルフレアの頭をきゅっと抱え、つむじの辺りに唇を寄せた。それを感じ取ったバルフレアの愛撫はますます熱を帯びる。舌で乳房の形をなぞったり、乳首を温かい口腔の中にふくみ、舐め上げる。その度に体の中を、とりわけみぞおちから腰にかけて、気持ちがいいのになぜか切ない、そんな感覚がどんどん溜まっていく。

「あ……ぁ、バルフレア、あ、あのね、……」

パンネロの胸に顔を埋めていたバルフレアがその声に顔を上げる。なんだ?と聞く代わりに顔を寄せ、優しく頭を撫でてくれる。もうぐっしょりと濡れているそこに触れて欲しいのに、言い出すのは恥ずかしい。

(でも……昨日みたいな私も、好きって言ってくれた……)

「あの、ね……触って、欲しいの……もう、我慢できないの。」

からかったり、笑ったりしない、そう信じていてもやはり恥ずかしくて目を伏せると、優しく唇が塞がれた。ぴったりとくっついた体と体の間をバルフレアの腕がくぐり抜け、太ももの間にそっと手を差し入れてくる。パンネロはすぐさま足を開き、その手を受け入れた。柔らかく湿ったそこを、バルフレアが手を滑らせる。昨夜、大理石のカウンターに滴り落ちるほどあふれていた愛液は枯れることのない泉のようにあふれ、何度か手が行き来しただけで、バルフレアの長い指をぐっしょりと濡らした。

中指をゆっくりとその先端の、まるで土の中から顔を出したばかりの芽のようなクリトリスにそっとあてがう。

「ん……っ!」

パンネロが小さく叫んで腰を引いた。感じているときの反応と少し違うように思えてバルフレアは思わずパンネロの顔を覗き込んだ。

「あ……、大丈夫、なんでもないの。」

さっき胸を愛撫したとき、乳首が少し腫れていたことを思い出した。つい興が乗って何度もパンネロに自分でそこを慰めさせたのだが、加減を知らず、強くいじり過ぎたのかもしれない。

「痛いか?」
「……少しだけ。」

と、言うことは、結構な痛みなのだろう。バルフレアはパンネロの形の良い耳たぶに唇を寄せた。

「パンネロ。」

くすぐったいのか、パンネロが首をすくめた。バルフレアは柔らかい毛の奥にある肉芽に触れるか触れないかの力加減で指を置くと、

「お前の、ここに、キスをしたい。」

いつもならそこを唇で愛撫されるのは恥ずかしがるのだが、パンネロをいたわるが故とわかったのか、小さく頷いた。バルフレアはまずは安心させるためにパンネロの額にキスをし、かわいらしいひざ小僧に両手を置き、ゆっくりと左右に開いた。パンネロの体が緊張に強張るのを感じた。バルフレアはまずは薄暗い寝室でもほんのりと光を放ってる内ももに口づけた。驚いたのか、足が少し跳ねた。そのまま跡を残しながら唇を足の付け根に向かって少しずつ移動させる。ふっくらとした左右一対の柔らかい肉がぴったりと閉じた場所にたどり着くと、バルフレアはそこを指を使って優しく開いた。

「あ……」

パンネロがシーツに顔を押し付けたのがわかった。少しでも恥ずかしい気持ちを鎮めることができるならと、バルフレアは腕を伸ばし、パンネロの手を引き寄せて折り曲げられたひざの上に置き、その上に自分の手を重ねた。すぐにパンネロが手のひらをくるりと返し、強く握りしめてきた。そんな仕草がかわいくて仕方がなくて、バルフレアは口元を緩めた。

あたたかく湿った柔肉に口を寄せ、幾重にも折り重なったひだの上からそっとキスをしてみた。

「や……ん……」

痛がる様子はないが、まだ油断はできないと、バルフレアはそこを皮の上から優しく吸い上げる。音を立てるとパンネロが嫌がるので静かにだ。胸が大きく上下し、パンネロが感じ入った吐息を漏らし始めたので、周りをゆっくりとした速度でなめてやる。

「あぁ…………」

もう頃合いだろうと、空いた方の手で包皮を剥き、クリトリスを露出させる。思ったとおり、そこも腫れて痛々しい。だが、唇と舌で愛撫をすると痛みはないようだ。舌先でつついて、舌全体で包みこみ、上下に動かすと時に混じって声が漏れ始めた。

「……ぁ、……っ……あん……」

しんわりと痺れるよな感覚がそこから広がり、パンネロの肌を薄紅色に染め上げる。

「あ、……バルフレア……」
「……痛いか?」

ううん、とパンネロは首を横に振る。決して強くはない刺激だが、こみ上げる愉悦はゆっくりと、優しくにパンネロを高みに押し上げるのだ。そのゆったりとした快感は心地よく、昨夜のアルコールのように、パンネロに我を忘れさせた。

「痛く……ないの……」

繋いだ手に、パンネロはキュッと力を込めた。気持ちがいいだけではなく、とても幸せな気分なのだ。それを伝えたい。

「まるで……雲の上に浮かんでるみたい……すごく…すごく……」

そこからは言葉にならないようだった。舌先でつついていた肉芽がどんどん硬く、ぴんと尖っていくのがわかる。パンネロはうわ言のようにバルフレアの名を呼び、体をゆったりとくねらせる。いつもの鋭い快感とは違うのだ。どこかぼんやりして、穏やかで。パンネロ自身が雲の上のよう、と言ったようにどこか頼りない恍惚感だ。

その絶頂はいつもより時間がかかった。口を半分ほど開き、息を大きく吸い込む。肋骨が胸を大きく押し上げているのがわかるほどゆっくりと。すると、吸い込んだ酸素が体中の血管に行き渡るように、体のすみずみまで快感がゆっくり、ゆっくりと広がる。

バルフレアが恥ずかしい所に顔を埋めているのも忘れ、パンネロは夢中になって息を吸い、吐いた。体の輪郭が溶け、やがて芯が溶け、温くて柔らかい何かに包まれているかのように幸せな気分になった。何も考えられなくなって、パンネロはその快楽の中を漂っていた。それが、ある境界を越えた途端、下半身で風船のように何かが膨らんで、ぱちん、と弾けた。パンネロは「ああ。」と小さな声を漏らし、何度も体を強張らせて達した。

バルフレアが手の甲で口を拭い、顔を上げると、パンネロはうっとりとした笑みを浮かべ、バルフレアに両腕を差し伸べた。

「ね……すごいの……溶けちゃうかと思った……」
「体が?」

パンネロは少し考えて、

「体も、心も、魂も。」

バルフレアを抱きしめ、頭を優しく撫でながら、歌うように答えると、パンネロは確かめるように、バルフレア自身に手を伸ばし、両手で包み込んだ。

「俺は、いい……」
「バルフレアも、痛い?」

バルフレアは曖昧に笑って答えない。パンネロは少し考えて、体を起こし、バルフレアをベッドヘッドにもたれさせると、胸元に口付けた。そのままゆっくりと唇を下へ下へを移動させると、太い芯が通ったかのようにぐっと持ち上がったバルフレアの性器へと辿り着いた。

昨夜の口淫はまるで見せつけるようだったが、今夜は気負うこともなく、かと言っていつものように恥じらうこともなく、勃ち上がった茎の根本からゆっくりと舌をつぅ…っと這わせ、先端から溢れている半透明の液体まで舐め取った。

「う………」

バルフレアが小さく呻いた。昨夜の激しい性交の余韻で、性器が敏感になっているのはパンネロだけではない。すぐそれに気付いたパンネロは舌の上にたっぷりと唾液をのせ、それをまぶすようにしてバルフレア自身にたんねんに舌を這わせた。口にふくんで動かすと痛むだろうと、チュッチュと音を立てて唇を押し付け、ぴちゃぴちゃといやらしい水音を立てて舐め上げる。

バルフレアも昨夜のように無理にパンネロの喉元まで己を突き立てようとはせず、赤黒く怒張した自身と、パンネロの紅潮した頬をじっと眺める。視覚と感覚で存分にパンネロの舌技を味わうと、ゆっくりと腰を引いた。

パンネロはすぐにバルフレアにしがみつくと、くるりと体を入れ替えてベッドに横たわった。そのままゆっくりと足を開き、バルフレアを招き入れる。さっきからパンネロの仕草がとても自然だ。蠱惑的でもなく、羞恥でためらいがちになるでもなく、まるで食事をしているところに塩を差し出すような、いつも通りのパンネロなのだ。

「あ……やん……」

とろとろと愛液を滴らせる蜜壺に中指を入れると、甘ったるい声が漏れる。充分に潤い、蕩けていることを確認すると、バルフレアはゆっくりと先端を差し入れた。ぐっしょりと濡れそぼったそこは、まるで生きているかのようにぴちゃっと音を立てて吸い付いてくる。そのままじわじわと腰をすすめると、パンネロの内壁はバルフレアをみっちりと包み込み、奥へ奥へと飲み込んで行く。

頭がおかしくなるほどの愉悦でいっぱいになって、同時に心でも強く相手を求めた。繋がったところから湧き上がる快感に我を忘れないよう、互いに注意深くことを進めて行く。

「動いちゃ……ダメ……。」

すべてを胎内に収めきると、パンネロが小さく呟いた。体が握りつぶされてしまうのではないかと思うほど強く抱きしめられ、飲み込んだバルフレアの男根はパンネロの胎内でびくびくと痙攣している。耳元の切羽詰まったバルフレアの呼吸に体がゾクゾクした。この瞬間の、もっとも満ち足りた時間をもう少しだけ味わいたい。

バルフレアも返事をしたいが、とてもできそうにない。根本をぎゅっと締め付けられ、全体を襞がみちみちと締め付け、気持ちよすぎて声が出せないのだ。代わりにそれに応えるように、パンネロの顔中にキスをし、そのちょっとした刺激にこらえ切れず、体を支えきれずがっくりと崩れ落ち、パンネロの首元に顔を埋めた。パンネロは優しくその頭を撫でてやる。

「……あのね……」
「うん……?」
「さっきね、いっぱい…濡らしてあげたかったから、すっぱい物を思い出したの。」

つい今しがたの、口でした時のことを言っているようだ。バルフレアはフッと笑うと、パンネロの形の良い耳たぶにキスをした。ゆっくりと動き、先端が当たっている奥を優しくノックするようにして刺激する。

「あっ……!あぁ……っ!」

パンネロが体をブルッと震わせた。腹筋が引きつり、内壁がきゅうっとすぼまる。

「バルフレア……あ、…私……っ……」

挿れた瞬間から達していたのはすぐに分かった。パンネロが全てをゆだね、そして行為に満足しているのがわかった。

「……止まらない……の……さっきから……ずっと……」

アルコールの力を借りるのではなく、パンネロが自然にそう思ってくれるのがうれしくてたまらない。

「……気持ちよくって……あ、また……」

びくびくと体を跳ねさせるパンネロに、繋がりながら深く口付け、舌を絡め、唾液を互いの口に行き来させる。まるで媚薬の実を口でやり取りしているみたいだとバルフレアは思う。やがて、体中の痺れるような官能が一点に集まり、凝縮され、腰を押し付けた瞬間に強い光がまぶたの裏でチカチカと瞬いた。魂まで溶けてしまうような甘美な吐精に、バルフレアはこらえ切れず、パンネロの体の上に崩れ落ちた。パンネロも唇をうっすらと開き、震わせながらそれを受け止めた。

余韻に浸りながら、何度も唇を重ねた。胸が震え、感動的ですらあった。バルフレアは後にこの時の幸福感を何度も思い出した。なぜなら、涙ぐむほどお互いを愛おしいと感じたこの素晴らしい体験を、バルフレアは自らぶち壊してしまったからだ。

どうしてここで終わらせなかったのだと何度も自問した。もう二度とかわいいパンネロを置いて家を空けるものか、とか、酒を飲んで羽目を外さなくったって深い愉悦を味わえるのだ、とか、愛情と性愛のすべてを理解したとさえ思った。だが、そんな風に思い上がった時に限って、事件とは起こるものなのだ。

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