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「今日はいっぱいしてあげたいの。」
という言葉の通り、自分が知る限りの方法でバルフレアの ことを愛したいのだ。バルフレアはいつも優しい、時にはいや らしい言葉を耳元で甘く囁いて、気持ちのいいところをいっぱい触れてくれるのだ。同じように してあげたいのに、経験の差なのか、いつもしてやられてばかりなのだ。仮に出来たとしても、到底バルフレアが 自分にしてくれるような効果は期待できそうにない。ならばと、パンネロは唇と舌と指で、あら ん限りの手並みを用いてバルフレアの性器を愛撫する。
(でも、足りないの…)
時折、バルフレア の腹筋がブルッと震えたり、切なげな吐息をもらすことはある。だが、パンネ ロ自身がバルフレア の体の下で悶え、体を跳ねさせるのと比べると、及第点にはまだまだ届いて いないような気がする。
そんな風に試行錯誤をしている内に、転機は突然やってきた。
それは、パンネロがバルフレアの肉棒を舌で愛撫しているときのことだった。
小さな舌に唾液をのせ、まるでそれ自体が生きているかのようにびくびくと跳ねる亀頭に塗りつ けた。濡らして滑りを良くし、軽く握って茎の部分を優しく扱き上げる。そのまま先端の鈴口に 舌の先を差し入れ、小さな孔にたまった先走りの液をすくい上げようとし────そして、そこ がとても敏感であることを思い出したのだ。
うっかり強くし過ぎてはいけないと、暴れまわる肉茎の根本をきゅっと強く握って固定してか ら、舌で先端をねっとりと覆い、何度かそれから少し苦味のある液を、舌の先を尖らせてすくい 取った。
その時だった。茎が下腹部から生えているその辺りを強く握っていた手の下で、上ってきたもの がせき止められ、同時に男根がどくん、と大きく脈打った。同時にバルフレアはうめき声を上げ て顎を仰け反らせた。
（…..え?）
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
バルフレアは激しく上半身をひねり、枕に顔を押し付けるようにし、肩が大きく上下している。 「バルフレア…?」
おずおずと声をかけてみる。さっき強く握りすぎて、痛くしてしまったのだろうか。 呼ばれて肩越しに顔を上げ、パンネロを見上げたその表情を見てパンネロはすべて理解した。
(だって…だって……)
パンネロは握っていた茎の根本を、さらに強く握りしめた。バルフレアは喉を鳴らし、唇を噛み締めた。
「パン…ネロ……」
自分を呼ぶ声はとぎれとぎれ、まるで全力で走ったあとみたいに息が整っていない。切なげに眉 を寄せ、時おり見せる意地悪な光はすっかり鳴りを潜め、哀願するかのようだ。どれも、めったにお目にかかれないバルフレアだった。なぜこんな風になって しまってたのか。パンネロはその秘密を知ってしまったのだ。
「バルフレア……」
胸がきゅうっと締め付けられるようだ。すぐに心が弾んで、激しいステップを踏んだときみたいになる?
「バルフレアっ……カワイイ……!」
新しいいたずらを発見したみたいに瞳をキラキラさせているパンネロとその発言に、バルフレア はギョッとして思わずパンネロを見て、すぐに何を考えているかを察した。体を捻って逃げようと するも、大切なところをパンネロにしっかりと握られているのを思い出した。
「ダメ。」
その笑顔は子どもが今から小さな生き物をいじめるかのような屈託のなさで、バルフレアはそれ が何を意味するかよく知っていた。寝室でのみだらな主導権のとり方を知られてしまったことを 知り、背筋が寒くなった。
本来なら小さな手のひらで握られているソレも、情けなく萎んでしまったかもしれない。だが、 パンネロの真心と愛情のこもった丹念な愛撫のおかげで、今まさに解き放たれようとしていたの を寸前でせき止められている状態だ。
「パンネロ……」
バルフレアはおずおずと手を伸ばし、その頬に触れようとした。どうにかして、主導権を取り返 さねばならない。手練手管に翻弄されて、ベッドの中で体を跳ねさせてイカせてと哀願するのは 自分ではなくてパンネロでなくてはならないのだ。なんとか説得しなくては。まずはその手を離 してもらうことからだ。
だが、パンネロは差し出した手をそっと横にはらった。ごめんね、そんな声が聞こえてきそうな 優しい拒絶だった。
パンネロはパンパンに張り詰めたその先端に優しくキスをし、ちゅう、と小さな音を立てて吸い 上げた。たったそれだけのことなのに、下腹を殴られたかのような鈍い衝撃があり、だがそれは 解放されることはなく…それによって起こったズキズキするような快感はいつまでも引くことは なく、十重二重に重なっていく。
「パンネロ…っ、…やめ…っ…」
「あぁん、バルフレア 、暴れないで?」
暴れるなと言う方が無理だ。とにかく、苦しいのだ。快感は蓄積されていき、バルフレア の呼 吸と思考を奪う。今、激しくされたら、情けなくもパンネロにイカせてくれと懇願してしま いそうだ。
（いや、狙いはそれか……）
バルフレア のプライドを慮ってか、それともじわじわと嬲っているのか、パンネロの愛撫は羽毛のようにソフ トなもので、バルフレア はかろうじてパンネロの反撃にこらえることができた。だが、それも長 く保ちそうにない。
パンネロはゆっくりと血管の浮き出た肉茎を飲みこんでいく。たまりかねて、バルフレア は体を よじり、横向けになってパンネロから逃れようとする。が、アッサリと腰を押さえられ、元の仰 向きに戻されてしまう。唇で優しくしごかれ、ちゅぽん、とかわいらしい音を立てて引き抜かれ た時には「アッ」と声が漏れてしまったほどだ。
「ね、バルフレア …」
ザワザワした感覚と、急きたてられるよくな射精感に苛まれ、パンネロの声がよく聞こえない。無意識に自身の拘束を外そうと手を伸ばすと、パンネロは体でガードしてくる。
「すごいの、ね……ぬるぬる…！でね、すごくビクビクしてるの。」
いつもなら恥ずかしがって正視できないのに、今日に限ってウットリと自身の情けない欲望を見 つめるパンネロが、こんな時なのにかわいい。かわいくていやらしい。はち切れそうな欲望で 思う存分貪りたいのに、操縦桿を、文字通り握られているわけで。
「パン…ネロ…」
はーはーと苦しい息の下でバルフレア はなんとか声を絞り出す。
「頼む……手を…」
「バルフレア 、ダメ。」
うふふっと、うれしそうに意地悪を返すパンネロに、バルフレア は唇を噛む。パンネロはうれし くてうれしくて仕方がないのだろう。なにしろ、
「バルフレア が恥ずかしがって、お願いしてくれるなんて!」
そうして、ぎゅっ握り締めてるパンネロの手をドロドロに濡らすほど先走りを零している赤黒い それを、一気に飲み込んだ。
「くっ……、は…ぁ…っ…….!」
顎を大きくそらし、声を漏らすバルフレア をパンネロは満足そうに見ると、腕を伸ばし、硬い胸 板の上でぷつんと立ち上がった乳首を指の腹でそっと押し込んだ。バルフレア が歯を食いしば り、シーツに顔を押し付けるようにして悶える。そうだ、いつだってバルフレア は気持ちいいと ころを一度にいじってパンネロを鳴かせてたのをパンネロは思い出す。
自分のものより小さい、だが、同じように敏感なそこを指先で転がした。つまみ上げ、時おり爪で 引っかくようにしてやると、たまりかねてバルフレア は腕に顔を伏せてしまった。
パンネロは肉棒から唇を離し、体を起こし、バルフレア の顔を上げさせた。目は潤み、頬は紅潮 し…それでもギュッと眉を寄せ、パンネロを睨みつけている。背筋がゾクゾクした。
(もっといじめてあげないと！)
こんなとき、バルフレアは言葉でも自分を嬲ったではないか。
「ね、バルフレア 、イキたい?」
バルフレア は大きく息を吐き、パンネロを見つめ返した。してやったりという顔を見ると、ここで負けてなるものかと思う。やれやれと首を振り、できるだけいつもの調子で、
「………..どうだろうな。」
声が震えていなかったか心配だったが、パンネロがぷぅと頬を膨らませたところを見ると強がりは成功したようだ。
「もう…他人ごとみたいに。」
こんな時でも意地っぱりなんだから、と言いながら握り締める力を強くして、どろどろと先走りの液を垂れ流 す小さな洞を親指でこねる。下腹はヒクヒクと引きつり、自身が流しただらしのない液でべとべとだ。そんな状態でも、バルフレア はなかなかパンネロの望む台詞 を言ってくれないのだ。
バルフレアは今の台詞でパンネロが諦めてくれるのをひたすら願った。弾丸が発射されずに火薬だけが何度も何度も腹の奥で爆発を繰り返し、キツ過ぎる快感で頭のヒューズが飛んでしまいそうだった。バルフレアは弾詰まりを起こし、銃身が破裂してしまったライフルを何故か思い出し、背筋が寒くなった。だが、ここで負けるわけにはいかない。
(次はどうすればいいのかしら…)
せっかくここまで感じさせたのだ、まだ諦めたくない。でも、思いつくことは全て試した。
「あ、そっか……」
パンネロは少し背を反らせ、右手ではしっかりと陰茎を握ったまま、左手の人差し指をつう…っと股間に這わせた。
「………っ！」
肌が泡立った。パンネロの意図を察し、バルフレアは青くなる。目と目が合う。とどめを刺すかのように意味ありげな笑みを浮かべ、どう？とでも言いたげにパンネロが首を傾げた。
バルフレアは猛烈な勢いで考えた。今すぐにでもパンネロの戒めから抜け出し、忌むべき攻めを防ぐ方法を。が、それよりも早くパンネロの指がつぷり、とバルフレアの菊座に沈み込んだ。
「………はっ……あ、パンネロ……！」
パンネロは慈母の眼差しでバルフレアを見つめる。指は1ミリ、１ミリと沈んでいく。ものすごい絶望感と共に、今までで最凶の射精感が襲ってきた。体の中でくすぶり続けていたものが、一斉にせき止められた出口を目指し、我先にと押しかける。バルフレアは声も出せず、体を震わせた。と、その時、フッとパンネロの手が緩んだ。
何が起こったかわからなかった。ただ、目がくらむような快感に脳髄が焼き付いた。バルフレアは精嚢が空になるのではないかという勢いで精液を吐き出した。それは凄まじい勢いで吹き出し、まだ性器握ったままのパンネロの手を瞬く間に白濁した液まみれにした。
バルフレアはしばらく言葉が出なかった。こんなにも苦しくて力強い吐精は経験がなかった。息が落ち着いて、真っ白になった頭に酸素が行き渡ったところでパンネロの様子を伺う。
「……パンネロ……？」
どうして急に手を緩めたのか……バルフレアはわけがわからず、半身を起こし、訝しげにパンネロを見つめた。
つづきます。
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