彼ニット。(FF12/R18)

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浴槽の縁に腰掛けたバルフレアの肉棒を、パンネロは口に含み、一心に愛撫している。バルフレアは汗と浴室の湿気で張り付いた髪を耳にかけてやり、そのまま形の良い耳たぶを指に挟んで軽くこすってやると、上気した肩がぴくりと跳ね、バルフレアの雄に絡みついていた舌の動きが一瞬止まった。

素直な反応も、そこから我に返ってまた一生懸命愛撫を再開させるのがかわいらしい。バルフレアは自分の欲望にまた熱が集まったのを感じた。

「パンネロ。」

夢中になって性器の裏側とくびれた部分に舌で擦り上げていたパンネロの前髪に指を差し入れ、くしゃり、と撫でた。パンネロは上目遣いにちらりとバルフレアを見ると、唇と舌の動きを止め、ゆっくりとバルフレアの男根を口の中から引き抜いた。最後に名残惜しげにその先端に、チュッと音を立てて口づけた。

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あの騒動以来、ベッドで過ごす時間が増えた。ベッドだけではない。今だってバルフレアの入浴中に、ローブ姿のパンネロがおずおずと入ってきて、

「一緒に入ってもいい?」

と、小首を傾げて尋ねてきて、バルフレアは二つ返事でパンネロを迎え入れた。

今まではバルフレアから声をかけることはあっても、パンネロから行動することはなかった。だが、あの時から、まるで脱皮でもしたかのように、パンネロが変わったのだ。精神面で成熟したとでも言うのだろうか、恥ずかしがってばかりではなく、バルフレアの意向を汲み取り、振る舞うようになった。そうすると、快楽だけでなく、深い一体感を感じることができると知ってから、物怖じしなくなったのだ。バルフレアを悦ばせるこため、一緒に性的な満足を得るために何かできることはないかと探し、それを試すことに夢中なのだ。

バルフレアにとって、これこそが理想の状態なわけで、うれしくないはずがない。一方的ではなく、お互いに慈しみ、楽しみ、歓びを分かち合う。最愛にして最上のパートナーと、制限もなければゴールもない快楽にふける。バルフレアは我を忘れ、ますますパンネロとのセックスに溺れていった。

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バルフレアは両手でパンネロの二の腕を持って立たせると、開いていた足を閉じ、その上にパンネロを跨らせた。腰を引き寄せ、はー、はー、と息を弾ませている唇を塞いだ。パンネロの薄い恥毛は恥丘にぺたりと張り付いていて、そこからはポタポタを水滴が滴り落ち、固く筋肉が締まったバルフレアの太ももを濡らした。唇が離れても、鼻と鼻がぶつかるくらい顔を近づけたまま、パンネロの太ももの、その奥にそっと指を差し入れた。

「あ……。」

パンネロは小さく声を漏らし、バルフレアの首に腕を回し、今から与えられるであろう快楽に備える。バルフレアはふにふにと柔らかな肉の筋に慎重に指を這わせる。そこは湯ではなく、粘りのある液でしっとりと濡れていた。口でされる前に、パンネロにもたっぷりと愛撫を施していたので、もうバルフレアを受け入れる準備は整っているようだ。

バルフレアの指が花びらをかき分け、そこに猛りきった自身をあてがう。

「このまま、腰を落とすんだ。できるか?」

パンネロは素直に頷くと、ゆっくりと腰を落とす。熟した果実のような甘やかな内壁が、ひくひくと蠢きながら熱い塊を飲み込んでいく。まるで吸い込まれるように、奥へ、奥へと。

「あっ……、ぁあ……っ…!」

根本まで飲み込むと、まるで食いちぎらんばかりにバルフレアの肉棒を締め付け、絞り上げる。互いの体を、ぞくぞくっと快感が駆け抜け、パンネロはバルフレアにしがみつき、バルフレアもパンネロを強く抱きしめた。肌と肌が吸い付くようにぴったりと合わさり、汗が交じる。

「パンネロ……」

掠れた声でバルフレアが呼びかけると、頭を落とし、頭が焼け付くような快感に耐えていたパンネロがゆっくり顔を上げた。あまりもの快感に瞳は潤み、唇は震えている。

「う…ごけない……の……、いっぱいで……」
「ゆっくりか?」
「うん……」

以前のバルフレアなら、こんなことを聞いたりしない。体を震わせ、あえぐパンネロを見ると、それがかわいくて仕方がなく、思うがままに攻めたてたいという気持ちを抑えることができなかった。が、今は違う。ゆったりとした動きで繋がっている時間を楽しむ。パンネロが大きく息を吐くと、バルフレア自身を包んだ柔らかな壁が一瞬ゆるみ、息を吸うとキュッと締め付ける。締め付けると強く感じるのか、体を震わせ、わなないた愛らしい唇から歯が小さくカチカチを鳴る音まで聴こえてくる。匂い立つような甘やかな体臭、羞恥に伏せられた瞳、触覚のすべてでパンネロを感じるのだ。

バルフレアはパンネロの腰に手を添え、軽くゆすってやる。

「あ…ん………!」

甘い痺れが背中を駆け上がり、パンネロが背中をきれいに反らせた。

「あ…っ…、あ、…バルフレア……!」

パンネロが胸に崩れ落ちてくるのを、バルフレアは優しく抱きとめてやる。パンネロも自ら腰を揺らめかせ始めたので、添えていた手を離し、パンネロの背中を撫で、頭のてっぺんに口づけた。

「こうやって…動くのが、気持ちいいの……」

吐息の合間にパンネロがうっとりと漏らす。顔を赤らめながらも、バルフレアの瞳をまっすぐ見つめて。バルフレアは感動を禁じ得ない。恥ずかしがりのパンネロが上になり、自ら腰を動かし、あまつさえ、“気持ちいいの…”と感想まで伝えるのだ。

「こっちはどうだ?」

バルフレアが試しに下から突き上げるように動かすと、パンネロはきゃっ!と叫んで体を強張らた。

「強すぎるか?」
「ん…、ん……っ……平気……、ゆっくりなら……」
「あと、少し緩めてくれると助かるんだが?」
「えっ……?」

バルフレアの申し出に、パンネロは驚いた声を上げた。どう対処すればいいのか考えた末、何度か深呼吸して、体の力を抜いた。バルフレアがゆっくりとした抽送を始めると、パンネロはすぐに声を上げ、身悶え、バルフレアの肩にすがりついた。繋がった感覚をもっと味わいたいのに、一方では早く極みが訪れてほしくって、体が火照る。バルフレアの熱がもっともっと欲しいと、肉棒をみっちりと包み込んだ膣壁が淫らにひくついて、自分ではどうしようもないのだ。

「……ダ…メ……、無理……」
「……だろうな。」
「…もう!またからかったのね…!」

バルフレアはとんでもない、とパンネロの耳たぶに唇を押し付け、

「嘘なもんか。気持ちよすぎて、頭がイカれちまいそうなのさ。このままだと、初めてのガキみたいに、1人でさっさと終わっちまう。」

囁く声がうれしくて、またゾクゾクと背筋にまで痺れが駆け巡る。バルフレアの言葉が偽りでないのは、声と一緒にせっぱ詰まった息が耳に流れこんできたのと、飲み込んだ熱杭がびくびくと跳ね、脈打っているのを感じるからだ。

「…俺の方が限界だ……早くしてもいいか?」
「……うん……でも……」

でも、という言葉にバルフレアは思わずパンネロの顔を覗き込んだ。パンネロは困ったようにパチパチとまばたきをし、

「きっと────、私の方が────……」

そう言いかけて、顔を伏せてしまった。バルフレアはパンネロの鼻先にチュッと音を立ててキスをした。

かわいい、他に言葉を思いつかない。そして、それこそ頭がイカれてしまうのではないかと思えるくらい幸せだ。こんな風に繋がったまま、ただ話しているだけなのに。自分は変わったのだろうか。だとしたら、足を開いて自分の上に跨がり、自身を咥えこんだいやらしい姿なのに、それでも可憐で愛らしいこの少女のおかげなのだろうと思う。

「……まいったな、このまま、この格好で動けない。」
「うん。」
「朝までこうしてるか?」
「素敵!」

額を合わせ、クスクスと笑い合う。鼻をこすり合わせ、唇を重ね、そのまま舌を交わす。泣きたくなるほどバルフレアが愛おしい。バルフレアはパンネロに対して保護者のように振る舞い、パンネロをお嬢ちゃん扱いしてきた。ベッドでは“男”というパンネロがよくわからない生理をもつ生き物に変貌し、今までのセックスは、まるで飛空艇を扱うような愛し方だったと思う。手綱はバルフレアが握り、思うがままに操られる。

(今は…違うの……)

強すぎるかと聞いてくれたり、もう限界と素直に伝えてくれたり。パンネロにはいつも余裕たっぷりに思えていたバルフレアの態度が、今は2人とも同じように求め合って、同じように与え合っていると感じる。一つしかない快楽の実を仲良く分け合っているように思えて、いっそう愛おしさがつのるのだ。

バルフレアの舌が穏やかにパンネロの口腔をなぞる。パンネロはそれを追いかけ、捕らえ、舌を絡めた。ねっとりと絡み合う舌の感触が気持ちよくてしかたがない。下半身にまた熱がたまり、凪いでいた欲望がまたグツグツの煮え始めた。

バルフレアがゆっくり抽送を始めた。限界、と言ったのは本当のようで、喉を見せて喘ぎ、大きく息を吐いた。パンネロの動きもシンクロする。バルフレアが腰を引くと少し腰を浮かせ、突き上げると腰を落とす。パンパンに膨れ上がった亀頭がパンネロの気持ちの良いところを優しくノックし、パンネロは暖かな液で満たされた蜜壺でバルフレア自身をしっとりと包み、ぎゅっと絞り上げる。

浴室に、ふたりの吐息が響く。先に音を上げたのはパンネロだった。バルフレアを迎え入れる度に、膝がびくびくと震え、掴むもの欲しさに肩に爪を立てる。細かな痙攣を何度も繰り返し、その度につま先がキュッと丸まる。

「あぁ……、あ、う……ん、もう……っ、だめ…ぇ…!」

もどかしげに体を揺らし、腰をこれでもかと上下にさせている。パンネロの柔らかな腿がバルフレアの下半身に打ち付けられ、肌と肌がぶつかる音と、穿たれた楔が出入りするたび、恥部からは愛液が溢れる音がぐちゅぐちゅとやかましい。だが、自分が動くだけではなかなか達することができず、貪欲に快楽を追い求めようと、バルフレアの陰毛にクリトリスを押し付け擦り、唇を貪り始めた。

「ね……ね……、バルフレア……っ…、もっと……!」

煽られるように、バルフレアの動きも速くなる。右手でパンネロの胸を鷲づかみにし、細い腰を引き寄せた。膨れ上がった肉棒で狭い洞を押し開き、しなやかな先端でパンネロの最奥を繰り返し抉る。

「あ…っ……!あぁっ!バルフレア……!」
「……っ、パンネロ……、最高だ……」

こらえきれず、パンネロはバルフレアの逞しい胸に崩れ落ち、それでも腰の動きを止めることができない。

「あっ!あっ!バルフレア…バルフレア…」

うわ言のようにバルフレアの名を呼び、夢中で腰を振り、バルフレアのモノを絞り上げる。バルフレアの律動もますます激しくなる。パンネロはこらえきれず、がっしりとした胸板に顔を押し付け、嬌声を上げる。

「あぁっ!あ、…大…好き、バルフレア…、あ、あっ…ん、もっと…!」

大好き、というパンネロの素直な言葉にバルフレアは弱い。

「パンネロ……」

呼ばれて、パンネロは顔を上げる。

「かわいい顔を、見せてくれ……でないと……」

また意地悪を言われるのだろうか?一点に向かって上り詰めている混乱した頭の中で、パンネロはそんなことをぼんやりと考えた。

「俺がイケない。」

その言葉は、パンネロの残った理性を吹き飛ばすには十分な威力を持っていた。体に与えられた刺激ではなく、心が舞い上がる。達するなら一緒にとこらえていたのに、バルフレアの睦言は、あっけないほど簡単にパンネロのたがを外してしまった。

「……ぁっ、……バルフレア……っ……!」

絶頂はせきを切ったように、奔流となってパンネロを飲み込み、押し流した。そんな中でも顔を見ていたいと言ったバルフレアのために、崩れ落ちてしまいそうになるのを、腕を突っ張ってこらえる。

「あ……っ――あ、ぁぁぁ……!」

突き抜けるような快感は繋がったところからとめどなくこみ上げ、その波に体を震わせる度に胎内のバルフレアを狂おしいほど締め上げた。バルフレアは今までしていた手加減をすべてかなぐり捨て、欲望をパンネロの胎内に叩きつけ、吐き出した。

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そんな調子の毎日が続いていた。満ち足りた日々だ。出かける前にパンネロがいってらっしゃいのキスをする。そのあと、はにかんでバルフレアのシャツの袖をキュッとつまんで、

「……早く帰ってきてね。」

なんてかわいらしいことを言うのだ。今までなら「気をつけてね」とか「がんばってね」とか、出かけているバルフレアをいたわり、留守番をする自分のことを気にしないようにという気遣いが見てとれた。なのに今では、

「あなたが居ないと寂しいの。」

と、遠回しではあるが、それを伝えてくれることがうれしい。片時も離れていたくないのはバルフレアも同じだ。互いに同じ気持ちでいることを伝えたくて、唇にふれるだけのキスをしてやる。触れただけで、パンネロが胸をときめかせていることまで感じ取れた。

「最速で帰るさ。」
「シュトラールで?」
「ああ。パンネロが瞬きするより早くだ。」

するとパンネロは、優しい桃色の唇をきれいにカーブさせて極上の笑顔を見せてくれるのだ。そのまま抱きしめたくなるほどかわいい。もう二度と泊まりの仕事なんか受けない、バルフレアは強く思う。たかが数日離れていただけのことだと我に返ることもある。だが、遠慮がちだったパンネロが心を開いてくれていること、そして自分の存在を必要としてくれていること、それも飛空艇が必要だとか、道案内が必要だとか、そんな理由ではない。ただ一人のただの男として求められていることが、こんなにも心を満たすのか。

そんな時に一通の手紙がバルフレアの工房に舞い込んだ。

仕事の依頼かと、封を切り、依頼書に目を走らせる。最初に目に飛び込んできたのは、何ヶ月か前に墜落事故を起こした飛空艇定期便の名前だった。どれだけ調査しても事故原因がわからず、バルフレアも気になっていたのだ。だが、よりによってこのタイミングでと、バルフレアは頭を抱えたくなった。たった今、“早く帰ってきてね”と微笑んだパンネロの顔が浮かんだ。そうだ、もう泊まりの仕事なんて絶対に受けない、そう思ったところではないか。しかし、世の中を斜に見るこの男でも、この依頼がどれだけの重みを持っているのかはわかっていた。飛空艇定期便イヴァリースの人々には欠かせない重要な足だ。多くの人命を一度に運ぶ。パンネロだって、ラバナスタに里帰りするときは利用するのだ。

“度重なる調査でも原因は判明せず”
“貴公の知識と経験が必要”
“ぜひともお力添えを”

そんな文字を目で追う。決して派手ではないが、機工士として興味深い依頼だった。事故には事件性もなく、厳密なチェックと整備をされた飛空艇が墜落したのだ。不謹慎ではあるが、その謎を追求してみたいと思うのは技術者として、また空を愛する者として当然の気持ちだった。

だが、仕事の内容が調査となるといつ帰れるかわかったものではない。いつ咲くのかと心待ちにしていた花が美しく開いたその瞬間のようなパンネロを置いていくのか。そしてパンネロも同じ気持ちでいるのだ。どれだけ寂しがるだろうかと思うと、バルフレアは途方に暮れる。

(連れて行くか……)

だが仕事の合間、パンネロはどうするのだ。ホテルの部屋でポツンと留守番をするパンネロを思い浮かべるだけで胸が痛い。そんなとき、なぜか前に作った“試作品”が入った引き出しが目に入った。

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