卑怯者。(FF12/R18)

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※ラブラブではなくて、後味が悪いです。苦手な方はご注意ください。


「酔っ払って部屋を間違えるなんて、飲み過ぎですよ。」
その時は何も疑いを持っていなかった。珍しく個室で休める宿に泊まり、パンネロはすっかりくつろいでいた。が、同時に少しばかり人恋しくて、酔っ払って部屋を間違えて、
「すまないが、水を一杯くれないか。」
というバルフレアを部屋に招き入れてしまったのだ。パンネロの部屋は宿の角にある。隣はアーシェの部屋で、フランはさらにその一つ向こうの部屋だった。それを間違えるなんて、よっぽど飲んだのだな、くらいにしか思っていなかった。バルフレアは飄々として、度胸もあり、パンネロも兄のように慕っていた。時おり、物思いに耽って遠くを見ていたのが心配だったし、発する言葉から焦りや苛立ちも感じていた。だからと言って、これっぽっちも疑ってはいなかった。
水差しからコップに水を注ぎ、自分のベッドに腰掛けているバルフレアに手渡そうとした、その瞬間、バルフレアはコップではなく、自分の手首を掴んでいた。そこから引き寄せられ、男の胸の中にいた。頬にバルフレアが着ている革のベストが当たった。その感覚を確かめる間もなく、あっという間にベットに組み伏せられた。大きな体がのしかかってくる。端正な顔が近づいてくる。
何もかもがあっという間の出来事だった。嵐の海に放り込まれて、一瞬で海底まで沈んでしまったかのようだ。身動きもできない、息もできない。どうして息ができないのだろう?と不思議に思い、口が塞がれているからだと気づいた。酒臭い息がパンネロには気持ちが悪かった。あまりにも乱暴過ぎて、キスをされているという自覚はあまりなくて、アルコールの匂いと、執拗に自分の唇をこじ開けようとする舌に鳥肌が立った。
パンネロは懸命にその体を押しのけようとした。だが、両手首はつかまれてベットに押し付けられ、のしかかる逞しい体はビクともしなかった。パンネロの腕力ではとても押し返すことなどできない。できること言えば、首を必死に捻り、それでも尚も自分の唇を塞ごうとする顔から逃げることだけだった。
「やめてください!」
唇は離れた隙に、必死で叫んだ。
「こんなこと、みんなに知られたら……!」
「俺は一向に構わないさ。」
バルフレアはとうとう、パンネロが頭を動かせないように、両肘をパンネロの頭の横について、まるで万力のように太い腕で挟み込んでしまう。
「俺も、お前も、王女様の家来でもなんでもない。仕事以外で何をしようが、俺の勝手だ。」
バルフレアの腕の強さから、パンネロは彼が本気であることが分かった。きっとふざけてるんだとか、酔ってるんだとか、希望的観測は消し飛んだ。逃げなくては、と、パンネロは体をよじる。だが、
「おとなしくするんだ。」
再び手首をとられた。今度は、両手首を頭上で押さえ込まれた。バルフレアはパンネロの両手首を、軽々と片手で押さえ込んでしまう。顔だけではなく、喉も、胸元までもが無防備に開かれてしまった。パンネロは着替えてしまったことを悔やんだ。下着すらつけていない夜着一枚だ。薄い布越しに、まだ膨らみきっていない、青い果実のような乳房がふる、と揺れ、その上に小さな突起が透けて見える。バルフレアは口を歪め、ニヤリと笑う。
いや、後悔をするなら仲間だと気を許し、部屋に招き入れたことだろう。それに、こんなことがバレたら大変だ。ただでさえ、先が見えない長い旅なのだ。向かう敵はあまりにも巨大だった。そんな中で復讐心に揺れるアーシェを、王女とその民という垣根を越えてパンネロは心配していた。そのアーシェや自分が新たに得た仲間に心配されたり、こんな時に不謹慎だと蔑んだ目で見られたくなかった。
諦めてなるものかと、今度は腰と足を必死で動かすのだが、バルフレアはパンネロの腰の上にまたがってしまい、完全に動きを封じられてしまっている。
「やめてください!大声を出しますよ!」
「出すなら出せばいい。」
パンネロは耳を疑った。
「こんなところを、誰かに見られてもいいなら、な。まぁ、心配すんな。お嬢ちゃんが疑われるような事はないさ。だからさっさと人を呼べばいい。」
こんなことをしておきながら、人を呼んでも構わないとは。バルフレアの意図がわからない。思わず動きを止め、訝しげにバルフレアを見上げると、自嘲的な笑みを浮かべ、パンネロをまっすぐに見つめ返す。
「もたもたしていないで、早く誰かを呼べばいい。さっきのだって、お嬢ちゃんには初めてのキスじゃないのか?こんな風に襲われて、無理矢理されたのが、初めてなんて気の毒なことだ。」
当の本人がしたくせに、まるで他人事のような言い方にパンネロはとても腹が立った。
「このままじゃ、キスどころじゃ済まないぜ?早く助けを呼んだらどうだ?」
心を決めて隣の部屋に居るアーシェを呼ぼうと口を開いたところで、バルフレアがからかうように言う。
「誰を呼ぶつもりかな、お嬢ちゃんは。隣の部屋の王女さまかな?それとも、大切な大切な、幼なじみかな?」
「ヴァン……」
パンネロは、一番に助けを求めたい相手の名前を呟いた。そして、その少年のために何がなんでもこの場を切り抜けなければと、ドアのほうに目をやり、大声で叫ぼうとしたところで、
「呼んでも来ないさ。」
どうして、とパンネロはバルフレアを睨みつけた。
「ヴァンなら、王女様と一緒だ。隣の部屋には誰も居ない。」
その言葉で、パンネロの体からふっと力が抜けてしまった。バルフレアは、甘やかな匂いを放つ、ほっそりとした白い首に舌をはわせた。ぞわりと鳥肌がたつ。そのまま、耳元でバルフレアがささやいた。
「お前の幼なじみは、王女様の方がお好きだとさ。」
パンネロがピクリと体を跳ねさせた。まるでカーテンを閉めるかのように、その表情からは生気が消えていった。バルフレアと、ほんの1ミリでも体を離そうと突っ張っていた体から力が抜けた。すっかり抵抗する意欲をなくしたパンネロの寝間着の肩をつかみ、バルフレアは一気に引き下ろした。
思った通り、砂漠育ちとは思えない白い肌だった。濁ったところは何もない、透き通るかのようだ。そして、まるでなめした皮のようなしなやかさだ。抱きしめると、薄絹のようにするりと腕から滑り抜けていくのではないか。そして華奢な体の中心には、決して大きくはないがみずみずしく、きれいに盛り上がった胸と、まるで雪の中で季節を知らずに実った木の実のような、淡い色の乳首が愛らしく、バルフレアは舌なめずりをした。
「思った通り、きれいな体だ。」
その言葉に、今まさに陵辱を受けようとしているパンネロは、とうとうこらえ切れずに、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「泣くな。」
元凶に言われたところで、慰めにもならない。涙ははますます溢れ、次から次へパンネロの頬をつたって首筋に流れた。
「あんなやつ、やめておけ。」
流れた涙を舌先で掬いあげる。少し塩味のあるその液体は、バルフレアにとっては甘露だった。
「俺のものになれ。」
どこか痛々しく響くバルフレアの言葉はパンネロには届かなかった。涙を流しながらも、パンネロは決してバルフレアを見ようとしなかった。
分かりきっていたことだが、パンネロは何もかもが初めてだった。なので、あらん限りの愛情込めて抱いた。優しく、これでもかと言うほど、優しくだ。パンネロは抵抗する気力を失っていたが、それでも恥じらい、胸元や秘所を隠そうとする手を優しく捕らえ、体を少しずつ開かせていった。ちゃんと、悦びの極みまで導いてやった。
パンネロの体はどこもかしこもが可憐だった。淡い砂糖菓子のような乳首を指先で転がすと、こみ上げる感覚に目をぎゅっと閉じ、唇がわななき、体全体を小刻みに震わせた。声を上げない強情さがかわいくて仕方がない。試しにそこに口づけ、ちゅっと音を立てて吸い上げたら、顔をそむけ、シーツに押し付けるようにして唇を噛み締める。
「そんなに噛みしめると、血がでちまうだろ?」
ほっそりとした顎を指先で捕らえ、優しく唇を塞ぐ。何度キスをしても、その都度唇をぎゅっと噛みしめて舌の侵入をこばむのが少しだけ悲しい。理不尽だが、彼女が意地悪をしているように思え、意地になって強引に唇を開いて口内を犯し、愛らしい突起を爪の先で軽く引っ掻いて刺激を与えると、腰を跳ねさせ、また涙をこぼすのだ。
唇が離れる頃にはくったりと力が抜けてしまっていて、涙を流し肩で息をしているパンネロを、もっと感じさせて自分のものにしなくてはと気持ちが逸る。弄りすぎて赤くなった木の実のような乳首を口に含み、舌でなぶり、転がすと、またぴくぴくと体を跳ねさせた。感じているんだ、そう思うと、それだけで射精してしまいそうなほど興奮した。
(泣き顔もかわいい……)
まるで、ガキが好きな女の子をいじめているみたいじゃないかと思う。だが、その顔がもうどうしようもないほどの征服欲をかきたてるのだ。まるで今から大海原に漕ぎだすかのようなワクワクした気持ちにさせる。
下腹部にある淡い茂みはパンネロの髪と同じ色をしていた。柔らかい毛並みを指先でたっぷり楽しんでから、秘裂にそっと手を這わせた。流石に抵抗してもじもじと腿をすり合わせるのを、キスで大人しくさせた。
手に触れた温かくて柔らかいそこは、たっぷりとした蜜で濡れそぼっていた。バルフレアもう、有頂天だった。パンネロは気づいていたのだろう。そのことを知られて恥じらいと、悔しさで目をぎゅっと閉じている。まるで目を閉じることで体をも消してしまえないかと思っていそうなほどだ。
「お嬢ちゃんの体はいやらしいな。もうびしょびしょだ。」
何度も指を往復させるだけで、雫は手のひらまでしとどに濡らす。バルフレアは、先端にある柔肉で覆われた肉芽をむき出しにすると、愛液を塗り込めるように、中指の腹でくるり、とひと撫でした。
「……あッ!」
パンネロを抱いてから、初めて上げた声だった。その声だけで下半身どくんと音を立てて大量の血液が集まったのを感じた。うれしさのあまり、バルフレアはそこを執拗になぶった。まだ快楽を知らない少女を少しずつ花開かせるように、じわじわと、優しく、生殺しにするようにだ。今すぐにでも、温かくて柔らかい少女の中に押し入りたい気持ちを押さえ、バルフレアはそこへ根気強く愛撫をほどこした。
やがてパンネロの体が小さく痙攣を繰り返すようになった。ぎゅっと閉じられていた瞳はとろけたように空を見て、肩で小刻みに息を吐く。
「もう、イキそうなんだろ?気持ちよくて、仕方ないんだろう?」
パンネロは必死で首を横に振った。
「パンネロは、意地っ張りだな。」
ちょっとした冗談のつもりだったが、パンネロがキツイ瞳で自分をにらみつけたのにがっかりして、バルフレアは真珠のように愛らしいそこを、少しきつめにつまみ上げた。
「きゃあ!…あ……あぁっ!」
達したのだ。ショックで大きく跳ねるパンネロの体を、バルフレアは強く抱きしめた。暴れるパンネロの体がいきり立ったバルフレアの男根に触れ、それだけで射精してしまいそうだ。
「かわいい声だ。」
彼女の初めての絶頂も、その絶頂の声も、自分のものだ。少しずつ、生皮をはぐようにパンネロに快楽を刻みつけることの幸福感にバルフレアは酔った。だが、心の片隅で、こんな哀しい声は聞いたことがない、とごちる。そして、自分は最低の男だと思い知る。だが、もう止めることなど出来なかった。もっと証を刻まなくてはならない。まるで背中と背中がくっついた異形の双子のような、彼女の幼なじみと引き離すためにはこれしかないのだ。

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