パンネロのお留守番(FF12/R18)

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「……あぁ……はぁっ…………ぁん」
頭が真っ白だ。
バルフレアの体温が恋しくて、縋り付く。
「バルフレア……」
唇が塞がれた。
流し込まれる唾液を、パンネロは躊躇せず飲み込む。
身体が熱くて溜まらない。早く、この熱を鎮めて欲しい。
「………お願い………はやくぅ………」
バルフレアが目を細め、自分の顔を覗き込んでいる。
パンネロも見つめ返す。
バルフレアは細い腰を抱き寄せ、右腿を抱えさせた。
身体の柔らかいパンネロは、上げた太ももをきれいに胴に沿わせ、けぶる様な瞳で早く、とねだる。
淫猥な欲望をけなげに訴えるパンネロにバルフレアは満足げに笑う。
どうしてこの少女は「あなたじゃないとダメなの」と思わせるのがこんなに上手いのだろうかと、ふと、思う。
(いや…)
バルフレアは小さく頭を振る。
(考えてやってるんじゃない…自然に、そうなっちまうんだろうな。)
バルフレアは理想的な恋人の潤みきった秘所に自身をあてがい、腰を進め、その先端をゆっくりと中に沈めた。
「ふわっ……ああああああ…………」
細い腰を抱え、軽く揺すってやると、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「あん……あっ…まだ、動かしちゃ…イヤ…………」
「ダメなのか?」
「あ、だってぇ……」
先ほどの乱暴な挿入と違い、甘く全身を絡め取られる様な快感が身体中を巡り、
「ずっと、ずっと気持ちいいの……あ、すごい……」
バルフレアの身体の下でふるふると身体を震わせ、時折“あっあっ”と小さく叫んでは背中を反らせたり、
大きく頭を振って、バルフレアにぎゅっとしがみつく。
バルフレアも、打ち込んだものが柔らかい襞の熱に包み込まれる感触を楽しんだ。
「すごいのはおまえだよ、パンネロ。」
バルフレアは大きく息を吐き、夢見心地のパンネロの耳元で囁く。
「挿れただけなのに、俺までいっちまいそうだ。」
本人に自覚はないようだが、挿入だけで達してしまったようだ。
だが、それを言うと、恥ずかしがりのパンネロをまた宥めるのに一苦労だ。
(悪いが、俺も限界でね。)
奥へ、奥へと絞り上げる様なパンネロの膣の蠕動に、バルフレアの限界も近い。
「動くぞ。」
ひくひくと快感の余韻に酔うパンネロの最奥からずる、と肉棒を入り口間際まで引き抜き、勢いよく突上げた。
「あんっ!あ———っ!」
荒々しく中を掻き混ぜると、華奢な身体はがくがくと揺さぶられる。
達したばかりの敏感な部分を激しく突かれ、パンネロは髪を振り乱し、嬌声を上げる。
意識ごとかき乱される中、パンネロの手は無意識にバルフレアの頬に触れる。
すると、すぐにその手にバルフレアが手を重ねてくれた。
快楽に彩られた淫らな表情が、途端に子供の様にあどけなくなる。
「あっ…!バルフレア…私……また……」
「知ってる。」
バルフレアは荒い息で、端的に答える。
さっきからパンネロの膣壁の動きが忙しなくなり、バルフレアの熱を早く開放しろと急き立てているのだ。重ねた手をしっかりと繋ぎ直し、シーツに押し付けた。
眉間に皺を寄せ、奥歯を噛み締め、何かを堪えているバルフレアの顔がちらりと見え、パンネロは何故だかうれしくなる。
もっと結合を深くと、細い足をバルフレアの腰に絡ませた。
「ぁっ!あぅっ!……あん!…バルフレア…!」
足の指がきゅうっと丸まり、身体を大きく反り返らせ、
「ぁ、ぁあああっ!!」
激しくうねり、絡み付くパンネロの膣から肉棒を引き抜き、最奥に向かって抉る様に尽き入れた。
華奢な身体にしがみ付く様にして、強く抱きしめた。
「あ——————っ!」
一際大きくのけ反り、パンネロが達すると、バルフレアも堪えきれずパンネロの中で達した。
収縮を繰り返すパンネロ膣内に大量の精液を放ちながら、バルフレアは多幸感に酔いしれた。
そう、肝心な事を忘れて。
********
事後の気怠い身体で抱き合っていると、パンネロが言い辛そうに口を開いた。
「あのね…どうして、私…お留守番だったの?」
聞き分けが良い様で、やはり寂しがらせていたのかとバルフレアはいじらしく思い、細い肩を引き寄せた。
「世話になった艇(ふね)ってのは、大所帯だ。悪いヤツらじゃないが、気の荒い連中ばかりだ。そんな中にお前を連れて行くのは、どうかと思ってな。」
パンネロはそうだったの、と小さく呟く。
本当は、そんな荒くれ男達にパンネロがちょっかいでもかけられようものなら、バルフレア自身が冷静で居られる自信がなく、何をしでかすか分からないから、とは言わず。
「ちゃんと言ってやればよかったな…悪かった。それに…」
なに?とパンネロが瞳で尋ねる。
「ヒドい事をしちまった…すまん、どうかしていた…」
「そんな…」
「上手く言えんが…その……」
セックスの際、元々そういう傾向はあった。
が、パンネロを抱いていると、どうしてだか、からかったり、いじめてみたくなる事があるのだと、バルフレアは正直に吐露した。
パンネロはそんな事考えてもみなかった…と目を丸くする。
そして、悪意は感じていないし、気にする必要はないと少々落ち込み気味のバルフレアの背を優しく撫でた。
「それにね…私……意地悪なバルフレア…………嫌じゃないの……」
内緒話を打ち明けるかの様に、そっと耳元で囁かれたこの言葉を聞いた時、バルフレアの脳裏に浮かんだのは、“割れ鍋に綴じ蓋”とか、“類は友を呼ぶ”とか、“バカップル”とか、そんな無粋な言葉ではなくて。
勝手な思い込みに拍車をかけて、感極まってパンネロを抱きしめようとして——————不意に身体を押し返された。
「もう一つ……聞きたい事があるの。」
空賊の勘が警報を鳴らした。
バルフレアは漸く“忘れていた肝心なこと”を思い出す。
「男の人って……するよね…?その………一人で。」
バルフレア、答える事が出来ない。
甘い雰囲気は最早そこにはなく、空気すら針の様に鋭い。
「よ…よく知ってるな。」
平静を装うがうまくいったとは自分でも思えない。
「私、……お兄ちゃん居たし……ヴァンも。」
(ヴァンの大バカ野郎…!バレるようにするんじゃねぇ!)
八つ当たりである。
「バルフレアは……………しないの?」
いや、そんなことは。
「私…バルフレアが居なくて寂しくてしちゃったけど、バルフレアはそうじゃないの…?」
(頼むから、そんな悲しそうな声で言わないてくれ。)
どんどん沈んで行くパンネロの声に、バルフレアはなんとか取り繕おうと必死だ。
パンネロは沈んでいるようでいて、バルフレアの矛盾を的確に指摘していく。
甘くはない。
薄皮を一枚ずつ剥ぐ様に、バルフレアの企みは露見していき、その度にパンネロはどんどん無表情になっていく。
終いにはやおら起き上がると、バルフレアからシーツを剥ぎ取り、
「バルフレアのばかばかばかっ!大嫌い!最低!」
と、叫び、シーツを頭から被ってしまい、頑として出て来ない。
素っ裸のまま、呆然とするバルフレア。
「……冗談キツいぜ。 」
冗談もなにも、自業自得なのだが。
(この前は“ばか”で、今回は“最低”まで付きやがった…)
しかも、“最低”と罵られて、
(………………………………………勃っちまった………)
バルフレアは自分の隠された性癖を情けなく思いつつ、毎晩パンネロに似合いの耳飾りを探しまわって足を棒にしたこと、ついでに毎晩パンネロを思って一人で致しておりましたと白状させられ、
漸く許してもらったのだった。
おわり。

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