パンネロのお留守番(FF12/R18)

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パンネロは身体を預ける。もう次に何が起こるか分かっていた。
(だって、ずっと待ってたんだもん…)
ベッドに降ろされ、顔中に唇が降って来る。
その合間に片手は慣れた手つきで衣服を剥ぎ取って行く。
首筋を唇が這い、パンネロはうっとりと逞しい背中に腕を回し、その肩越しに天井を見た。
ふと違和感を覚える。
見慣れた宿の天井だが、どこかがおかしい。
部屋が薄暗いのだ。
確かにうたた寝をしていたが、そんなに時間が経っているとは思えない。
身体を重ねているのは確かに愛しい恋人のはずなのに、パンネロがそれに気付いてからはどんどん実体がなくなっていく。
「……いや…。」
固く目を閉じて、再び眠ろうとしたが遅かった。
目が覚めて真っ先に飛び込んで来たのは明るい天井。
パンネロは一瞬何が起こったか分からず、跳ね起きて周りを見回す。
窓からは街の喧噪が聞こえてくる。
「……夢……?」
パンネロはがっくりと項垂れた。
夢の中で流した涙だけは本物で、頬が乾いた涙で少し引きつっている。
(ひどいわ…なんて夢なの…)
泣く気力もなく、パンネロは呆然とベッドの上にへたり込んでしまう。
「やだな。なんて夢を見てるのかしら。」
だが、さすがにいつまでもこうしていても仕方が無いと気持ちを切り替える。
きっといつもなら「帰る早々」と、バルフレア嗜めたはずなのに。
「やっぱり…閉じこもってるのがいけないのね!」
自分に言い聞かせるように明るく言うと、着替えようと床に足を降ろした。
「…あ…」
パンネロは立ち上がれずに、もじもじと太ももを擦り合わせる。
「やだ…私ったら…」
下着がぐっしょりと濡れているのだ。
実際にバルフレアに抱かれたわけでもないのに、こんな状態になってしまった事がひどく恥ずかしい。
自分がとてもいやらしい様に思えて、パンネロはきゅっと唇を噛んだ。
それはパンネロを再び落ち込ませ、一方でじくじくとした痺れで自己主張をしてくる。
(どうしたらいいの…?)
放っておけば治まるのだろうか?
途方に暮れたパンネロだが、ふと好奇心を覚え、ためらいながらも寝間着の長い裾を膝までまくり上げた。
が、ふと立ち上がり、ドアに鍵がかかっているか確認し、カーテンをしっかり閉めた。
そうしてから改めてベッドの端に腰掛けると、ゆっくりと度寝間着の裾を、今度は太ももが露になるまで巻き上げた。
真っ白で張りのある太ももに目を落とし、後ろめたさでためらいながらも、パンネロはそのむっちりとした腿の間に手を潜らせた。
(ちょっとだけ…なら大丈夫。)
恥ずかしくてとても直視出来ないので瞼をぎゅっと閉じ、奥歯を強く噛み締めてから湿った部分を下着の上からなぞる。
「ぁ…」
あんなに固く閉じていたはずの唇からあっけなく吐息が漏れる。
パンネロはイタズラが見つかった子供の様に慌てて周りを見渡す。
胸がドキドキする。
誰もいない、誰も見ていないと自分に言い聞かせ、今度は指を何度も往復させる。
パンネロは、声の代わりに悩ましい息を吐く。
「…………はぁ…………ぁ…………」
吐息は指のスピードが早まるにつれて、はっはっと、短いものに変わっていく。
指と、下着と、秘所が擦れる度に粘液でぬちゃぬちゃと湿り、その音がパンネロの羞恥心を苛むのだが、
(手が…指が…止まらない…)
次第に指と秘裂の間にある薄布の存在すら邪魔に思えてくる。
(だめ…いけない…)
そんな気持ちをあっさりと裏切り、するりと指が忍び込んで来る。
「……あっ!」
感じると言うより、驚きの声だった。
生まれて始めて自身の恥ずかしい部分に触れたパンネロの最初の感想は嫌悪だった。
(…ぬるぬるして…気持ち悪い……)
自分の身体にこんな器官が付いているなんて…
だが、バルフレアはいつもそこに触れて来るし、時には“かわいい”とか“きれいだ”とも言う。
(本当かしら????)
パンネロはその部分を探ってみることにした。
割れ目に指を滑らせ、ほんの少しだけ指を入れてみたり。
「ぁぁ…」
知らず、声が漏れる。
探検する度に、気持ちのいい場所に何度も指先が触れ…
(やっぱり…だめ…気持ちいいのが…どんどん広がって…)
無意識に、いつもバルフレアがする動きを真似てクリトリスの周りの表皮を人差し指と薬指で剥く。
中指の腹で、そっと充血して膨らんだ芯に触れてみる。
「………ぁぁ…」
背をしならせ、白く細い喉をのけ反らせ、パンネロは甘い悲鳴を上げる。
そのまま、とさり、とベッドに横向きに倒れた。
ゆるゆると指を動かし、一定のリズムで刺激を与え続ける。
(あ…こうするより…こっちの方が…いい…)
快感を得るためについ強く擦ってしまうと痛みが走る。
出来るだけ優しく…それこそ触れるか、触れないかくらいで。
「……ぃ…」
指先で触れている肉芽がコリっと固くなって来て、全身がふるふると震え出した。
(あ…イキそう…)
声を噛むので息苦しい。
「ん……も…ぉ…っ…」
目の前が霞んで頭が真っ白になっていく。
(早く…イカせて…ぇ…っ…)
パンネロは無意識に主導権を見えない相手にすり替え、その相手に懇願する。
絶頂がなかなかやって来なくて堪えきれなくなり、左手で薄布を押し上げている乳首に触れる。
(あ…一度に…すると…もっと……)
夢中になってそのまま人差し指で擦ったり、押し込んだり。
「ふっ…っ…ぁ……あ……ん…っ!」
パンネロは悲鳴を上げて、小さな体を仰け反らせた。
声を噛み殺していたので、息が苦しくて目が回る。
絶頂の余波をやり過ごし、おそるおそる自分の手の平を見た。
「………いやっ!」
慌てて起き上がると、白い粘液にまみれた自分の手を洗い、下着を脱ぎ捨てる。
洗濯する気にもなれなくて、パンネロはそれをくしゃくしゃと丸めてゴミ箱に放り込んだ。
終わってみると、生まれて初めての自慰がひどくいやらしく思えてパンネロはベッドに戻ると頭からシーツを被ってしまう。
こんな事がバルフレアに知れてしまったら…と途方に暮れるが、いつの間にか気怠い眠気がやって来て、
そのままぐっすりと眠ってしまった。

誤った認識でパンネロは自慰行為をとても悪い、恥ずかしい事だと思い込んでいた。
だが、眠れない夜は長過ぎてパンネロを再び疑心暗鬼に陥れる。
それ故にパンネロは“それ”を止める事が出来なかった。
(だって、アレをしないと眠れないんだもの…)
パンネロは日に日に口数が少なくなり、沈んでいった。
あんなに待ちわびたバルフレアの帰還が今は怖い。
“お痛”が知られる事を想像したただけで消えてしまいたくなる程恥ずかしい。
「どうしよう………。」
パンネロはぽつりと呟く。
一人きりの部屋で、答える者は誰も居なかった。

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