側位。(FF12/R18)

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背後から貫かれ、息苦しさに縋るものが欲しくて、パンネロは目の前の枕を引き寄せ、それにしがみついた。
「……ぁ、……バルフレア、……あぁ……っ」
繋がったそこから溢れる愛液で、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音がやかましい。激しい抜き差しのせいで、ふっくらと柔らかいパンネロの尻おも濡らしている。
パンネロの頭越しに長い腕が伸びてきて、抱え込んでいた枕を引っ張った。何をしているのだろう?と、強い快感でまともに働かない頭の片隅でちらりとそう思った時にはもう、それはパンネロの腕から引き抜かれ、ベッドから放り投げられていた。枕ですら自分がしがみつくのを許さない、そんな大人げない独占欲だが、パンネロがそれに気付く余裕はなかった。
バルフレアは伸ばした左腕でパンネロの左腕を掬いあげるようにして腰に固定し、さらに伸ばした手で右腕を掴んだ。片腕で軽々と拘束され、顔と肩をシーツに押し付けるような息苦しい体勢を取らされ、パンネロは小さく叫んだ。だが、その分腰を高々と掲げるようになり、挿入はますます深くなった。
「あぁんっ……!バルフレア……、いやぁっ、……ぁぁんっ、……」
こんな格好、恥ずかしくて苦しいのに、自分の中からドロリとおびただしい愛液があふれたのを感じた。自分は祭壇に捧げられ、荒ぶる獣に今から喰われる、いやもう大きな口に放り込まれ、思うがままに咀嚼されている生け贄なのだとパンネロは思う。なのに、自分はそこに幸福感を見出し、与えられる官能を心待ちにしているのだろうか。
「はぁっ、……あぁんっ、……あぁっ、……いい……っ」
ずんずんと最奥を突かれるごとに、重いが鋭い快感にあっという間に意識は空に飛んだ。気持ちがよくて、気持ちが良すぎて、貪るようにバルフレアの熱塊を貪る。
荒々しいようで、バルフレアはちゃんとパンネロがいいと感じる所を外さない。全ての動きがパンネロを知り尽くし、感じさせ、軽々と高みに放り上げる。今も、もう達しようとしていて、身体も、どろどろに蕩けきったそこも、ひくひくと痙攣を繰り返している。じれったさにパンネロが自ら腰をバルフレアに押し付けると、バルフレアは心得ているのか、身体を倒して空いたほうの腕を伸ばし、下肢にあるパンネロの柔らかい茂みに指を差し入れた。
「……ぁっ、……はや…く…っ……触って…ぇ……!イカせてっ!お願い……!」
その言葉に満足したのか、バルフレアはその奥にある、何度も訪れた絶頂のせいでぷくりと勃ち上がった花芯をきゅっとつまんだ。
「――きゃぁあ!ああああぁぁ……っ!」
ぴりっとした強い快感がそこで弾け、その刺激を反射して、パンネロは無意識に蜜壺を絞り上げた。バルフレアが息を詰めて、呻いたのが聞こえた。我を忘れ、絡みつく蜜路を振りほどくように引き抜いては、男根を鋭く突き刺し始めた。
「あぁぁぁっ、やぁんっ…!…ぁあぁっ、……あ、……だめぇ……っ、あ、ぁぁぁ……!」
背中で腕を括られているのに、信じられない身体の柔らかさでパンネロはきれいに背を反らし、身体を浮かせた。息ができないほどの快楽の中でも自らも快楽を与えたいと、一心に突き刺さった槍を締めるけた。
「……っ、く、パンネロ……」
熱い奔流を放ち、バルフレアも身体を震わせ、パンネロの身体に崩れ落ちてきた。2人が繋がったそこからはバルフレアが放った物が溢れてきていた。それでもバルフレアは腰を押し付けるのを止めない。その時のバルフレアにいつもの取り澄ました、パンネロをお嬢ちゃん扱いするバルフレアではない。精を放ったあとでも尚もこれは俺の獲物だと牙を立て印をつける、一匹の獣だ。もっとも、当のパンネロはそんなことに気づきもしない。ただ、自分は愛されているのだと、絶頂の朦朧とした意識の中で恍惚とした気持ちになるのだ。
「ぁっ、あ、バルフレア……っ」
未だに続く絶頂の余韻に身体を震わせ、舌っ足らずな甘い声で自分を呼ぶパンネロがかわいい。辛いのだろうかと、バルフレアは繋がった所から腰を引こうとすると、
「やだ…!」
思わず叫んだパンネロに、バルフレアは動きを止めた。
「このままが…いいの……」
愛らしいおねだりが嫌なはずがない。
「“抱っこ”がいいのか?」
「うん……抱っこがいいの。このまま、ぎゅってしてて……」
バルフレアは目を細めてパンネロの頬にキスをし、唇に何度か優しく口付けた。身体を横にし、そのまま華奢な身体を背後からそっと抱きしめた。パンネロは回された腕に頬を埋め、うっとりと目を閉じる。その仕草は、固く分厚い胸骨をいとも簡単に貫き、バルフレアの胸に突き刺さり、愛おしいさが血管を通って身体のすみずみまで行き渡るのだ。
「あのね、これ、好きなの……」
この体勢のことか、それとも頬を埋めている自分の腕なのかバルフレアにはわからない。
「体がぴったりくっついて、安心するの。暖かくて、優しくて……大好き。」
きゅん、とした甘いうずきがまた全身に広がる。そしてパンネロが言っているのは、この体勢のことだと理解した。
「俺も、好きだな。」
ぽつりと呟かれた言葉に、嬉しげにパンネロが振り返ってバルフレアを仰ぎ見る。この小さな体を自分の体で全て包んでしまえる。いつだって、ひとつになりたい、いっそ融け合ってしまえたらという飢餓にも似た焦がれる気持ちを、埋めることができそうな気がすると言ったら、無垢な恋人は怖がるだろうか。
そんな思考を遮るように、パンネロが柔らかい唇を押し付けてきた。
「キスをするのも簡単だし。」
そう言って、自分で言ったことがおかしいかったのか、一人でクスクスと笑う。小さな笑い声は振動となってバルフレアに伝わる。心臓が重なり、鼓動を伝え、伝わる、なんの隔たりもないこの体勢はバルフレアだって心から好きだと言える。
バルフレアは手の甲でパンネロの頬をくすぐり、そのまま上を向かせると、唇を合わせた。体を伸び上がらせ、首を伸ばし、パンネロは懸命にそれに応える。こんな時、バルフレアはパンネロの体の柔らかさや、身体力の高さに驚く。無理な体勢でも身体は少しもブレずにきれいな姿勢を保ち、バルフレアの身体の中でも絹の布のようにするするとその形を変える。
舌を舐めあい、吸い上げる。パンネロはもう目尻に涙をにじませ、きゅっと瞳を閉じている。パンネロの身体の下にくぐらせて身体を支えていた腕を胸のほうに移動させた。そのまま、小ぶりだが、横向きになっても形がほとんど崩れない、張りのある胸を手で覆った。
「……んっ……」
「こういうことも、簡単だな。」
甘い声が漏れる。バルフレアは鼻のてっぺんをパンネロのにすり寄せると、パンネロは今度はそれに応えるように、鼻先をバルフレアの鼻にこすりつけてくる。口ではダメと言いながら、甘える仕草をする恋人がかわいい。
腕を下肢まで伸ばし、自らが放った精液やパンネロは愛液で湿る柔らかい陰毛を指でかきわける。胸をいじられただけで、もう息を弾ませているパンネロは、くったりと身体の力を抜いて、なすがままになっている。
「ここを弄るのも、簡単だ。」
「あ……もう、さっき……したばっかり……、ぁ、あん!」
先端にある、花びらのような柔らかい肉に覆われたそこを、バルフレアは指の腹でやさしく、かき混ぜるように撫でてやる。
「…ん、あぁっ、や、んっ……!」
ほんのついさっき、同時に果てたはずのバルフレア自身が、パンネロの中でぐっと質量を増したのを感じた。
「あ……、バルフレア…また、おっきく……」
「このまま、いいか?」
恥ずかしいのか、パンネロはポッと頬を染めて目を伏せてしまう。そこで、バルフレアは全ての愛撫を中断してしまう。パンネロは伏せた目をぎゅっと閉じてしまう。
「もっとか?」
耳元でもう一度囁かれ、おずおずと上目遣いにバルフレアを見つめる、
「……もっと。」
バルフレアはよく言えばご褒美とばかりに、乱暴に唇を塞ぐと、すっかりと勢いを取り戻した自身をパンネロの奥深くに押入れ、ゆっくりと動きを再開させたのだった。
だがこの体勢だと、パンネロが一番感じる所まで届きにくいのだ。バルフレアはパンネロの腿の下に手を入れ、ぐっと持ち上げた。パンネロがまた悲鳴を上げた。パンネロは身体を密着させる体位が好きなのだ。しっかりと抱き合いながら愛しあうのを好む。恥ずかしい所を晒されるのも苦手なのだ。
たが、バルフレア自身を締め付ける柔肉がパンネロの恥らいとは裏腹に、暖かい液を溢れさしバルフレアの性器にまぶし、より深くへと誘うように煽動し始めた。バルフレアは満足気に息を吐いて呼吸を整えると、滲む涙を舌で舐め取り、ゆっくりと動きを再開させたのだった。
おわり。


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