おとな薬。(FF12/R18)

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パンネロはゆっくりと足を開く。いちどきちんと膝を揃えて立ててから、まずは足先からひらき、それから膝を開くのだ。その仕草が品が良く、パンネロらしくてバルフレアはたまらなくその瞬間が好きだった。
とろみのある蜜をたっぷりとたたえた狭間に、鎌首をもたげていた自身を押し付け、その先端で秘処を撫でた。さっきまでいじられていた敏感な肉芽にそれが触れると、パンネロはそれだけで腰を跳ねさせた。ぬちゃ、と淫猥な音を立てながらなんどかそこを往復させ、たっぷりと濡らしたそれを、ゆっくりと蜜壺に埋めていく。
「あ……っ……」
押し入ってくるその圧迫感とともに、肌がざわりと泡立つ。
「ひっ……う、ん……ぁあ……」
挿入は丹念で優しい。だが、あまりもの圧迫感に、知らず、身体に力がはいる。最奥を目指す長大なそれに、パンネロは目がくらみそうになる。
「パンネロ……」
バルフレアが苦しげに眉を寄せる。
「あんま……締め付ける、な……」
大きく肩で息をしている。が、パンネロにはその自覚がない。とんだ言いがかりだと抗議をしたいのだが、じわじわと隘路を押し広げられる感覚で頭がいっぱいになって、声すら出ない。バルフレアの陰茎の先端部がようやくパンネロのもっとも奥深くに届いたとき、それだけで2人は、はーはーと、呼吸を荒らげていた。
バルフレアが一度息を深く吐いたかと思うと、ゆっくりと抜き差しを始めた。注意深く腰を引き、再び奥へ押し入ってきた、それだけでパンネロは悲鳴を上げた。
「あ!!だめ!!」
「パンネロ?」
バルフレアは驚いてパンネロを見つめた。
「“だめ”はもうなしじゃないのか?」
「ち、違う……の!」
パンネロは両手でバルフレアの腕をぎゅっと掴んでいる。
「つ…強すぎる……の。」
鳥肌が立ち、歯がガチガチなるほど身体を震わせている。
「強すぎて……怖い、の……」
よほど感じているらしく、パンネロはもう涙を流している。バルフレアはパンネロの首筋をざらり、と舐め上げ、そのまま頬を濡らす涙を舌で掬いとった。
「心配すんな。優しくするんだろ?しっかり抱いていてやる。好きなだけ叫べばいい。」
でも、と言いたげなパンネロの、乱れて汗で頬に張り付いた髪を整えてやり、その額に、口唇を落とす。強烈な刺激に驚いて尻込みしていたパンネロは、バルフレアの優しい仕草に少し落ち着いたようで、バルフレアに頷いてみせた。バルフレアはゆっくりと動きを再開させた。
バルフレアが腰を突き上げると、それはパンネロのいちばん奥深い所にあたり、その振動がパンネロの胎内に響いた。その度に沸き起こる快感は、まるで身体が輪郭をなくすようで、それがパンネロを怯えさせるのだ。
だが、バルフレアはパンネロとの約束どおり、優しくことを進める。髪を撫で、息が苦しくないように触れるだけのキスをする。
「あっ……ぁあ……ん……」
パンネロから甘い声が漏れた。内壁がぞわぞわと蠢き始め、刺された槍に絡みついた。
「最高だ。」
思わずバルフレアが漏らした声に、パンネロはもう恥じらうことなく微笑み返した。
「もう……ね、大丈夫……」
バルフレアは頷くと、奥を抉るように深く突き入れた。パンネロは頭を反らせ、高い声を上げた。それはもう悲鳴ではなく、感じ入った嬌声だった。新しい性感を知り、さらに成熟したパンネロに、バルフレアが煽られないはずがない。激しくパンネロを揺さぶり、思いのまま蹂躙する。視線と想いが交差した。もう言葉はなくとも、互いが悦びの極みに達しようとすることはすぐにわかった。
「バルフレア……ね、一緒に……」
おねだりをするとバルフレアが喜んでくれると知っているパンネロは、敢えてそれを言葉にする。バルフレアが口の端を歪め、にやりと笑ったあとで、その攻めはますます激しくなった。繋がっている性器ははしたなく濡れ、水音を響かせた。
「あぁ、ん!……バルフレア、バルフレア……」
激しい行為の中で、パンネロに名前を呼ばれると心が満たされていくのはなぜだろうとバルフレアはふと思う。パンネロはそのむっちりとした太ももをバルフレアの腰にしっかりと絡め、快楽にとろけきった表情でぎゅっと目を閉じている。
「パンネロ。」
呼ばれて、パンネロが気だるげにまぶたを開いた。
「…ね、来て……」
かすれた、甘ったるい声に誘われ、バルフレアは腹のあたりに渦を巻いてそのときを待っていた欲望のすべてをパンネロの中に放った。甘美な快感の極みに2人して達し、そのままぐったりと崩れ落ちた。
*************
バルフレアはふっと目を覚ました。抱いていたはずのパンネロの体温を感じなかったせいかもしれない。目を開けると、夜は明けているようだがまだ早い時間なのか、室内は薄暗い。パンネロを探すと、バルフレアの傍らに座っており、部屋のどこかをぼんやりと眺めていた。いつもなら恥じらいからしっかりとシーツを身体に巻き付けている。そんな風に隠そうとすればするほどバルフレアのいたずら心を刺激するのに、だ。
だが、今はどこも隠そうとはせず、まるで成熟しきった女のようにどこかしどけなく、怠慢に、シーツの上に手をついて視線は一点を見つめて動かない。その視線の先には壁しかないのに。
まるでチーズのようにみっしりときめが細かな肌と、柔らかな線でできた身体はどこか一箇所をつつくと、たちまち消えてしまうのではないかと思わせる儚さがあった。腰のあたりは柔らかな脂肪に包まれてふっくらとしているが、膨らみが未熟な乳房は、大きく育ち、熟れていく運命に抗おうともせず、静かにそのときを待っているように思えた。
バルフレアはいつまでもパンネロの裸体を見つめていたいと強く思った。昨夜の乱れた様がうそのように清純で、男のわがままな欲に染めたいとどれだけの精を注いでも、水を弾く油のようにそれを拒むのだ。頼りなげな細い肩に腕、控えめな乳房からは想像もつかないほどの傲慢なそれがパンネロの「今」なのだと思うと、狂おしいほどの愛おしさと、蹂躙して何がなんでも自分の身体の下に組み敷いていたいという重い感情が同時に湧き上がる。
ふとバルフレアの視線に気づいたのか、パンネロはゆっくりと視線とともに顔をバルフレアの方に向けた。ああ、やっぱりだ、と確信めいた予感が的中した。あの夜出会った美しい女の、自分を見て欲しいと、全身でうったえかけていたあの女と表情が重なったのだ。
「パンネロ。」
本当にこれは自分が愛している少女なのだろうか。急に大人びた表情を見せたパンネロに、バルフレアはその名を呼んで確かめようとした。
「バルフレア。」
パンネロは少女の声で返事をした。バルフレアは息を詰めて傍らの幼く儚げで、それでいて世界の憂いの全てを知ったかのような表情の恋人を見守る。
「しあわせで、泣きたくなっちゃったの。」
バルフレアは言葉を挟まない。パンネロの口唇が、まだ何かを言おうと不器用に動いていたからだ。
「いっぱい好きで、怖くなるの。」
幼い言葉づかいが胸を打った。瞳をうっすらと覆う涙が少しだけ波打って、それが薄暗い部屋の中できらりと光った。バルフレアはこの風景を一生忘れないだろうな、と思った。少女が大人になる、そのときの心の不安定さというのは、なぜこんなにも胸をかきむしられるほど切なく、美しいのだろうかと思う。
バルフレアがあの旅と戦いで学んだことがあるとすれば、人は人らしくそのままであること、そして、時の変遷とともに姿が変わっていき、消えていく全てのものを愛おしいと思う気持ちを持ったことだった。パンネロの少女から大人へのうつろいは、まさしくそれだ。
「おいで。」
半身を起こし、バルフレアが腕を差し出すと、パンネロはすぐに胸に飛び込んできた。バルフレア差し出した腕を背中に回し、華奢なその身体を抱きとめた。
「大好き。」
「うん。」
「バルフレアがね、おじいちゃんになっても大好き。」
だから、ずっと私を好きでいてね、と少女の声が聞こえたような気がした。
「光栄の至り、だな。」
「ねぇ、バルフレア。私……」
言いかけて、パンネロは黙りこんでしまった。昨日、バルフレアがどれほどパンネロを愛おしく思ってくれているかを知ったのに、それでも朝が来ると、心が揺れてしまう自分に困惑しているのだろう。バルフレアはそれをよく理解していた。責めるつもりは毛頭ない。そんな心の揺らぎすらも、頭がおかしくなるほど愛おしいからだ。
「パンネロが切なくなっているのは、腹が減っているからだな。前にパンケーキが泳げるほどシロップをかけていた、あの店で朝飯はどうだ?」
「バルフレアのいじわる。あれは、あの辛いソーセージのせいなの!」
バルフレアが言っているのは、以前に2人で朝食をとったレストランで、パンネロが頼んだパンケーキのセットのことだ。とても辛い香辛料が入ったソーセージが添えられていて、知らずにそれを食べたパンネロは水を何杯も飲んで、辛さのあまり目の周りを真っ赤にしていたのだ。
「ねぇ、夜は踊りに行きたいの。一緒に。」
「外門広場を入ったところに、新しいホールが出来ていたな。」
「一晩中よ?」
「お安いご用だ。」
「そのあと、お酒が飲みたいの。甘くないの。」
「一口だけだぞ。」
「踊りに行くなら靴がいるわ!」
「おまえの親父さんの道具屋の向かいの店に、いいのがあったな。」
パンネロが、くすくすと笑い出した。
「バルフレア、前に小さなヨットに乗せてくれたでしょ?あのとき、帆に受けていた風がとても気持ちよかったの。あれが欲しいわ。」
声に明るさが戻った。
「踊りに行く前に行ってもいいな。お前が入るくらいの、大きな皮袋でも持っていくか?」
バルフレアは調子を合わせてやる。
「イヴァリースで降る雨の、地面に一番最初に落ちるしずくが欲しいの。」
「シュトラールで行けばすぐさ。」
「小さい時のお話をして。」
「七つの時のでいいか?とっておきのがある。」
「一晩中好きって言って!」
「楽勝だ。」
ボールが弾むたびに違う面を見せるように、パンネロの表情はくるくると変わる。試すようないたずらっぽい表情見せたかと思うと、バルフレアの返事に喜んで、まるで頬をくすぐる優しい春風のように笑う。
「空賊バルフレアに、盗めないものはないのね。」
「今日はおねだりが多いな。」
パンネロはまた表情を変える。港町の路地裏で会った、あの女の顔だ。イヴァリース中の空の天気も風の動きも読めるバルフレアだが、パンネロの気持ちの移り変わりだけは予測できない。
「本当はね、なにも要らないの。」
バルフレアは、知っているさ、と、パンネロの額に優しくキスしてやる。
「でも、踊りには行きたいんだろ?」
そう返すとパンネロは、好きな菓子をお腹いっぱい食べてごきげん!といった少女の顔になり、うれしそうに頷いたのだった。
おわり。


    よろしければ一言。:


    しりお様が作中のバルフレアとパンネロを描いて下さいました!(クリックでイラストのページへ R18

    <p>


    大人になったパンネロが路地裏でバルフレアに捕まるところや、怒ったパンネロに構わず、ずかずかと歩み寄るところ、そしてラストシーンのパンネロです!しりお様、ありがとうございました!バルフラや、魔法にかけられたみたいにドレスアップするパンネロなど16ページ分の大作です!


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