目隠し。(FF7/R18)

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恥ずかしさのせいと緊張で体を硬く強ばらせたティファが身に着けていたキャミソールと下着をゆっくりと脱がせる。
ショーツを脱がせる時に足を少し上げた時に、ティファが顔を手で覆ってしまうのを、目隠しをしているのにどうしてそんな事をするのかクラウドは不思議に思いつつ、全てを剥ぎ取ってしまう。
強く願った甲斐があってティファに目隠しをさせるのに成功したが、この先どうして良いのかが分からず、クラウドも黙り込んでしまう。
とりあえず膝立ちになると、自らも着ている物を脱ぎ捨て、羞恥に震えているティファを抱きしめた。
唇を寄せ、そっと合わせると、ティファの身体から少し緊張が解けたのが分かった。
ティファが目隠しを外してと言い出せない様に舌を口内に潜らせ弄ぶ。
二人とも一言も話さない。
ただ、唾液の混じり合う音と、吐息の音だけが響く。
行為の最中に元々言葉数の少ないクラウドが黙り込んでしまう事はよくある事だし、口づけはいつもの様に優しい。
目隠しこそされているものの、いつも通りのセックスだとティファは少し安心する。
しかし、言葉が少ないからこそ、クラウドの吸い込まれる様な蒼い瞳を見つめ、クラウドが眼を細めて見つめ返してくれて。
そうやって見つめ合うだけで、お互いを想う気持ちで身体だけでなく心まで溶けていくのに。
しっかりと抱きしめられているのに寂しい気持ちになって、ティファは目隠しの下で涙目になる。
背中に回っていたクラウドの手がティファの頭を撫でる。その優しい、慈しむような愛撫は、
(いつもと同じなのに…)
クラウドはティファの首筋に唇を当てた。
目隠しをされていたティファには予測のつかない行動だったようで、身体がいつもより大きく跳ねた。
クラウドはそれを「いつもより感じている」と解釈して、そこに軽く歯を立てて食むように口を動かした。
「んっ……」
ティファは切ない吐息をクラウドの首にふぅと吹きかけた。
さっきの反応に気を良くしたクラウドは今度はティファの背中を撫でる。
「きゃっ……」
背骨をつ、となぞられ、ティファが小さく悲鳴を上げた。
きゅっと首を縮こませて、小さく首を振る。その反応が可愛らしい。
どうやら不意をつくような愛撫をするとその反応が見られる事が分かり、今度は肩甲骨から脇の辺りをなぞりながら舌で首筋を舐めた。
「あ…やだ…」
ティファは思わず声を上げた。
首筋から耳たぶ、うなじから肩へとクラウドの口が思いがけない所に落ちて来て、もどかしい様な感覚に早くも下半身に熱を感じる。
早く胸に触れて欲しいのに、なかなか触ってもらえなくて知らず腰が揺らめく。
豊かな胸を軽く押されただけで、ティファは甲高い声を上げた。
「…あ……あんっ!」
クラウドは唇を乳房に移した。
「ああぁっ……!だ、だめ!」
乳房の先端の淡い色をした場所を唇にふくんで軽く歯を立てて刻むようにすると、ティファが身体を反らせて甘い声を漏らす。
「いやっ…!あっ……クラウド…!」
そこを優しく、刻むように噛んでやると“あっあっ”と小さく声を上げてくしゃくしゃとクラウドの髪をかき乱す。
いつもよりティファが可愛らしく感じる。
視界が塞がれるのがそんなに不安なのだろうか、クラウドに必死でしがみついている。
もっと背徳的な毒々しいセックスを想像していたクラウドは拍子抜けしてしまうが、別の楽しみを見つけてしまった。
ティファがいつもより子供っぽいのだ。
脅えてしがみついてくる様や、いやいやと首を横に振ったり、不意な愛撫に漏れる驚きの声とか。
その声にしても、いつもより“いや”とか“だめ”が多くて、それが聞き分けがない小さな子供の様で。
目隠しのせいでもちろん表情は分からないが、眉尻が下がり、唇が微かに震えている。
いつものティファと違って、脆く儚げに見える。
不意をつくと驚いて大声を出して、そして恥じらう。
そんな様子にクラウドは子供の様に無邪気でサディスティックな気持ちになる。
きれいな羽根の鳥を見つけて喜び、その鳥の自由を奪って羽根を毟り取る様な。
(もっとだ…)
どうすれば驚く?どうすれば嫌がって恥ずかしがる?
クラウドの頭の中はそれでいっぱいになる。
太腿をそっと撫でると、緊張して筋肉がぴく、と強ばる。
そのまま膝の裏を持ち上げられ、恥ずかしい所が晒されるのかとティファは必死で顔を伏せる。
しかし、暴れようとはせず、ぐっと唇を噛み締めている。
その仕草は羞恥に耐えているようで健気にも映るし、そこへの愛撫を待ちわびている様にも見える。
クラウドはそこに触れようとせず、ふくらはぎに唇を寄せた
「ん……やぁっ!」
いつも撫でて愛でる箇所と比べてそこは張りと堅さを感じた。その感触をもっと知りたくてそっと歯を立ててみる。
「あっ…!」
今度は舌の先でくすぐってみる。
「う…うんっ…」
くすぐったいのか、足が跳ね上がる。
予想通りの反応と、普段あまり触れた事のない足でも感じてくれる事が、新しいいたずらを見つけた様な気持ちになって、子供っぽい征服感に浸る。
そう言えば、故郷で再会した時も星を救うあの旅をしていた時もティファは露出の高い服を着ていたが、唯一足首と足の甲は靴に覆われていた。
クラウドは足の甲と爪先に視線を移す。
いつもは豊かな胸や細い首や肩やウエストと主に上半身に目を奪われていたのだが、ティファの足はゆるやかな傾斜のふくらはぎにきゅっと細い足首、足の甲はすっきりとした流線型で構成されていて、肌は白く透き通っていて薄暗がりの下でも血管が透けて見える程だ。
足の指は一本一本がひとまとめになっていて可愛らしい。
そうして今はきゅっと折り曲げられていて、覆われている瞳の代わりにティファの恥じらいをクラウドに伝えている。
張り、丸み、硬さが見事に繋がり完璧な造形を成しているのにクラウドは新鮮な驚きと、新しい獲物を見つけたようで。
暴れて蹴られたりすると命に関わるので、足首を動かない様にしっかりと掴み、まずは足の裏に舌を這わせてみる。
「やだ!クラウド…!」
くすぐったいのか、身体を捩って逃れようとするのを、クラウドはティファの足の間に身体を割り込ませて押さえる。
そうして、未だ折り曲げられた足の指に唇を移した。
「きゃっ…!」
驚いて、今度は体を反らせるのに構わず、足の指の間を舐めたり、指を一本一本口に含むと、
「あっ!…う、んっ!ふぁ…あっ…」
甘い声が漏れ、頬が朱に染まっていく事でティファが高ぶっていくのが分かる。
クラウドは口の中でぴくぴくと跳ねる足の指を舌で優しく責める。
ぴちゃといやらしい水音の露骨さが恥ずかしいのに、ティファは蕩ける声を押さえる事が出来ない。
(今まで…こんな所…)
きっと今の自分は足をばたつかせているのだろう。
そんなあられもない格好は嫌だとなんとか足を閉じようとするのだが、頭から一番遠い所にある場所なのに、クラウドがそこをしゃぶる様にして愛撫すると、頭まで突き抜ける様な快感が走るのだ。
それは胸や性器に触れられるのとはまた違った感覚だった。
「ん……ん、クラウドっ…!……あぁ!」
さんざんなぶった爪先を解放してやると、ティファはぐったりとベッドに沈み込んだ。呼吸が浅くて早い。
つい夢中になってしまったが、その様はクラウドを慌てさせるには充分だった。
「ティファ…?」
おそるおそる話かけてきたクラウドに、ティファがゆっくりと顔を上げた。
こういう時に目隠しは邪魔だった。
表情が見えない事がクラウドのマイナス思考に拍車をかける。
「その………嫌…か?」
声に出さず、ティファは何度も頷いた。
言葉まで封じられたかの様でクラウドは驚き、また否定された事に少なからず動揺したが、
「…どうして……?」
尋ねる声も震えている。
クラウドは途端に精彩をなくしてしまう。
「ごめん…その…っ…ちょっと…試してみたかったんだ…」
どうしてと問われると、何故こんな事を始めたのが自分でも分からなくなってしまう。
なんとか説明しようとするのだが、目隠しをしていてもティファが打ちひしがれているのが分かり、言葉が浮かばない。
「そしたら…ティファが…その…いつもより…可愛くて。」
驚いたのか、目隠しの上の眉がぴん、と跳ね上がる。
ティファは言葉を失う。
もちろん、可愛いと言われた事はうれしいのだが、
(…この状況でそんな事を言われても…)
しかもなんだか腹が立ってきた。
(じゃあいつもは可愛くないのかしら。)
ティファの思考に被せる様にして、クラウドは慌てて言い訳をする。
「いつもが可愛くないって事じゃなくて!」
ティファはじっとクラウドの次の言葉を待っている。
「ちょっとした…仕草とか…すごく…その、すごく可愛かった…それで…困って…」
「…困るの?」
「うん。」
一言尋ねて、ティファは口を閉ざしてしまった。
目隠しは無言のプレッシャーとなり、クラウドは震え上がった。
しかも今の言い訳だと、ティファがクラウドを困らせているような口ぶりではないか。
どうすれば良いのか必死で考え、そうして目隠しを外せば良いのだと漸く気付き、あんなに必死になって着けてもらった目隠しを慌てて取り去った。
ティファは怒っているだろうか、泣いているだろうか。
目隠しを取り去ると、ぱっちりと見開かれた褐色の瞳が瞬きもせずクラウドを見つめていた。
「…ティファ?」
ティファは表情を変えず、じっとクラウドを見つめていたが、不意に頬がぽっと赤く染まった。かと思うと、瞬く間に顔が赤らみ、はにかんで顔を覆ってしまい、何が起こったか分からずオロオロするばかりのクラウドの胸に飛び込んだ。
「……………」
「え?」
小さく何か呟いた声が聞こえず、クラウドは思わず聞き返した。
「そんなに…言わないで…」
「す…すまない…」
やっぱり怒らせたのだとクラウドは逃げ腰になるが、ティファの態度は怒っているというよりも、
「…照れてる…のか?」
クラウドがしがみついて来るティファの頬を両手で覆って顔を上げさせると、ティファは顔を真っ赤にして、潤んだ瞳をパチパチとさせて上目遣いにクラウドを見つめ返す。
「もう、知らない。」
そう言って、頬を赤らめたまま俯いてしまう。
なんて愛々しいのだろうと、クラウドもその仕草と表情に見とれる。
「…クラウドが……可愛いなんて……めったに言わないから……」
小さな小さな声だった。
その声に胸が震えた。
クラウドは自分の行動を悔やんだ。
どうして自分はこんなに可憐な瞳を覆ってしまうようなバカな真似をしたのかと思う。
「俺…どうかしてた…」
「…え?」
「目隠ししているティファより目隠ししていないティファの方が…」
続きが言えなくて、ごまかすようにティファを強く抱きしめる。
ティファは何を今更と呆れつつも、しがみついてくるクラウドを愛おしく感じてしまう自分も自分なわけで。
「…ねぇ、続きは?」
クラウドは驚いて顔を上げる。
「…さっきの?」
行為の続きなのか、言葉の続きなのか。
クラウドは出来れば前者であることを祈りつつ。
しかし、ティファはクラウドに微笑んで見せると、
「目隠しをしている私より、していない私がどうなの?」
瞳をくるくるとさせて尋ねるティファの顔がまともに見られない。
「言えないなら、これ、もう一度着けた方がいい?」
ティファの手にはさっきの目隠しが握られている。
「…いや…」
クラウドはティファの手から目隠しを取ると、床に放り投げると、ティファの手を取って、手の甲に口づけた。
「目隠しをしているティファより、していないティファの方がずっと色っぽくて、きれいだ。」
ティファはうれしそうに微笑むと、クラウドの首に両腕を回し、キスをする。
こんな風な仲直りのキスの味は極上だ。
クラウドもすぐに口付けを返す。
普段はきゅっと結ばれている唇が、本当は柔らかい事を知っているのはティファだけだ。
まるで口の中で鬼ごっこでもしているかの様にお互いの舌を追い、捕まっては逃れる。
どちらともなく唇が離れると、二人は顔を見合わせて笑い、もつれ合ったままベッドに倒れ込んだ。
************
しがみついている腕も、触れ合う胸と胸も全て汗ばんでしっとりと濡れている。
ティファの爪がクラウドの逞しい肩に食い込んだが、痛みは感じない。
二人が繋がっている所にだけ感覚の全てが集結しているからだ。
「ああ……んっ、クラウド…」
甘ったるい声に、背筋を走る快感に息が詰まった。
大きく仰け反ったティファの体に、ぐいと腰を擦りつけると、ティファは身体をふる、と大きく震わせた。
「あ……っ、クラウド、クラウド…!」
歓びの声を抑えきれず呼吸がどんどん早くなること、そうして何度も名前を呼ぶ事でティファはクラウドに絶頂が近いことを知らせる。
濡れた柔肉が大きくうねり、クラウドを飲み込む。
背筋をゾクゾクとした物が駆け上り、クラウドの息も荒い。
お互いの呼吸が重なり、動きがシンクロする。
「あ……っ!クラウド…!ああ、ああ……っ!」
本当に、この瞬間に乱れたティファは色っぽくて、きれいだとクラウドは心の底から思う。
クラウドの背後ですらりとした足がぴん、と跳ね、爪先がきゅっと縮み、クラウドの身体の下で身体がしなやかに大きく反って。
やがて、ぐったりと力が抜けたティファをクラウドは優しく抱きしめ、
「ティファ…」
「…んん?」
「…ごめん。」
ティファは小さく笑うと、逞しい胸に顔を埋めて、
「いいんだよ。」
そうして、どちらともなくアクビをすると、そのまま眠りに落ちていった。
************
翌朝。
案の定二人は寝坊し、クラウドは朝食も取らずに慌ただしく出かけて行った。
ティファが店の準備を、子供達は店や部屋の掃除を手伝う。
「ティファー!」
料理の下ごしらえをしているティファをマリンが呼ぶ。
顔を上げると、マリンが昨夜、目隠しに使ったテーブルナプキンを持っている。
「マ…!マリン!それ、どこから…!?」
マリンは不思議そうに首を傾げ、
「クロゼットよ?もうランチタイムのカトラリーセット、していってもいい?」
ティファはしばらくぽかん、とマリンを見つめていたが、
「あ…!うん、そうね!お願い!」
マリンは頷くと、フォークとナイフをテーブルナプキンできれいに包んでテーブルに並べていく。
ティファは手を洗うと、こっそりクラウドの部屋に行き、ベッドの傍らに落ちていたナプキンを拾う。
そうして、昨日の夜のクラウドのテンパり具合と、めったに聞けない「きれい」「可愛い」がたくさん聞けた事を思い出し、顔をほころばせたのだった。
おわり。

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