バルフレアの風邪(FF12/R18)

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ここまで煽っておいて「いや」と言われても。
呆然とするバルフレアにパンネロは小さく肩を竦めてみせる。
「あのね…疲れちゃった。」
(もう燃料切れかよ…!)
と、口に出しそうになってバルフレアは慌てて言葉を飲み込んだ。
そう、パンネロはたまに”燃料切れ”を起こすのだ。
パンネロは体力はあるのだが、とても感じやすい体質のためか、行為が盛り上がり過ぎるとショートしてしまったかの様にぐったりとしてしまうのだ。
そうなると無理強いは出来ないバルフレア。
いつもならショート寸前でうまくコントロールするのだが、行為が勢いづいている時にそれを御するのは最速の空賊バルフレアにもとても難しいことなのだ。
しかもショートした状態になっても甘えん坊は収まらず、
「抱っこ(だけ)してて。」
などと可愛い声でおそろしい台詞を言ったりするのだ。
念の為に言わせてもらうと、()の中の言葉はバルフレアが脳内で付け足したものだ。
パンネロには甘いバルフレア、そんな時は心の中で泣く泣く、でも表向けはあくまでも余裕なふりでパンネロを抱きしめてやるのだが。
うまくいくと、パンネロが回復してそのまま続行となる。
そうでない場合はパンネロはコテン、と寝てしまうのだ。
裸のパンネロにしがみつかれているのに何も出来ないで、眼と下半身がギラギラとした状態で一晩中放置されるのは健康な青年男性にとっては拷問に等しい。
それだけはご免だ、という土壇場でバルフレアの頭に悪巧みが一つ浮かんだ。
「疲れたのか?」
優しい言葉でパンネロを優しく抱きしめてやると、パンネロはバルフレアの胸に頬をすり寄せるようにして甘える。
「うん…あのね、ちょっとだけ、ぎゅってしてて。」
”ちょっとだけ”と、パンネロはいつも言うのだ。
その”ちょっとだけ”が天国に繋がるのか、地獄に続くのかは運次第だ。
だが今日は違う。
(いつまでもお嬢ちゃんに振り回されてちゃ、”最速の空賊”の空賊の名が廃るんでね。)
かと言って、力任せはバルフレアの主義ではない。
「なぁ、パンネロ…?」
「う…ん、なぁに?」
やはり眠りに落ちる所だったのだろう、呼ばれて小さく肩が跳ねて、見上げた瞳をパンネロは眠そうにしばたたかせた。
「おまえが色っぽ過ぎて、俺の方が限界だ。」
チュッと音を立てて耳たぶに口付けながらささやいてみる。
「…色っぽい?」
可愛いじゃなくて、色っぽいとか、大人っぽいとか言われたくて仕方のないパンネロがこれに反応する。
「本当?」
「ああ。艶っぽくて…」
「うん。」
「ゾクゾクするな。」
パンネロはうれしいのか、くすぐったそうに笑う。
その笑顔に若干の罪悪感を感じたバルフレアだが、嘘は吐いていない、と自分に言い聞かせて。
「とても我慢できそうにないな。おまえは男をたぶらかす魔女みたいに俺を惹きつける。」
言いながら耳元で熱に浮かされたかの様に囁いてみる。
パンネロが、あ…と小さく声を漏らした。
「な、いいだろ?」
トドメの一言はパンネロの瞳を真っ直ぐ見つめ、柔らかい唇を指でなぞりながら。
パンネロは少し考えて、
「う…ん。じゃあ、あんまり激しくしないで…ね?」
「仰せのままに。」
思惑通りにことが進み、バルフレアはほくそ笑む。
では仕切り直しということで、バルフレアは優しく、あくまでも優しくパンネロにキスをする。
パンネロもバルフレアの逞しい背中に手を這わせる。
バルフレアの指が再び下腹部に伸び、柔らかい陰毛をかき分け、奥の秘裂へとたどり着く。
そこは変わらずぐっしょりと濡れそぼっている。
さっきから何度も達しているそこはバルフレアを受け入れる準備はすっかり整っているようだ。
パンネロの膝の裏に手を入れ、ぐっと腿を持ち上げ、バルフレアは猛りきった自らをじわじわと押し入れた。
「や、ぁんっ……」
甘ったるい喘ぎ声がパンネロの唇から漏れる。
パンネロはすっかり官能を取り戻していて、バルフレアを熱狂的に受け入れている。
「あん……あ、すごいの…」
バルフレアも全てを忘れてパンネロに溺れたくなるが、それをぐっと堪える。
危うくお預けを喰らいかけたのだ、
(少しお仕置きさせてもらわないと、な…)
バルフレアはゆっくりとした抽送を繰り返す。
わざと焦らして、もどかしい時間が長いほうがパンネロがより高く達することができるのを良く知ってるのだ。
自分の名を嬌声と共に叫び、背中と髪をかきむしり、自ら腰を揺らして達するパンネロを何度でも何度でも見たい。
バルフレアの思惑通り、繋がったそこは狂喜して伸縮を繰り返し、温かい蜜がとめどなくあふれている。
バルフレアは突き立てた自身で、ぐいと奥を抉る。
「あぁ……!あぁ……んっ」
じんわりとした快感からいきなり強い刺激を与えられ、パンネロは唇を震わせる。
奥を抉られ、新たに蜜がパンネロの尻の谷間を伝い、シーツの上に垂れている。
「あぁん…、や…ぁん…」
恥じらいから身体をよじり、バルフレアの身体から逃れようとするのをバルフレアは身体ごと押さえつける。
そのまま緩やかな抽送を繰り返す。
ぐちゅぐちゅとした音が響く。
「は……ぁ………っ」
恥じらう気持ちとは裏腹に、挿入されたバルフレア自身を捕らえるように、その部位がきゅうっと締まっていく。
パンネロはすぐにでも達っしてしまいそうだったが、バルフレアはもっとパンネロを苛めながら上りつめていく様が見たい。
それは、どれほど淫らで愛らしいのだろう。
「きゃあ!」
バルフレアがパンネロのぴん、と尖った胸の先端に口付けたのだ。
そのまま舌を鞭の様にしならせてそこを舐る。
パンネロはビクビクと身体を跳ねさせ、身悶える。
「やぁ……んっ!」
身体中に逃げ場のない疼きぐるぐると駆け巡り、体温は上げる一方だ。
「バルフレア…っ、あぁ、もう……っ!」
ポロポロと愉悦の涙をこぼし、パンネロは自らの腰を揺すり、擦りつける。
「欲しい…の!ね、……あっ…、あぁ…!」
「まだだ。」
パンネロの様子をじっと見守っていたバルフレアは思惑通りの成り行きにほくそ笑む。
背中に爪を立てられたくらいで、性感に翻弄されて我を忘れているパンネロの愛らしさを愛でずにはいられない。
「堪らないな…」
呟いた声はパンネロに届いたのだろうか。
バルフレアは噛み付くようにパンネロの唇をぎ、柔らかい口内を舌先でかき回す。
漸く唇が離れると、パンネロは苦しげに息を切らせる。
「ん…、あ…バルフレア…っ…!」
「パンネロ…」
名前を呼ばれ、パンネロは朦朧としながらも、バルフレアを見つめ返す。
「もっと…しがみつけ。声を出せ。俺の名を呼べ。」
バルフレアの腰の動きが激しくなった。
「あ…んっ、あ、バルフレア…!」
言葉通り、手がバルフレアの背中をかきむしり、腰が大きく宙に浮いた。
「バルフレアも…ね、呼ん…で。もっと…もっと、ぎゅって、…して…」
「可愛いな、パンネロは…」
パンネロのありとあらゆるおねだりに応えてきたバルフレア、今回もきっちりとその願いを叶えてやる。
パンネロも可愛い、と言われてますます身体が熱くなり、心が震えた。
可愛いと言われると、なんだか自分がひどく幼く思えて、手のひらの上で転がされてるような、そんな気持ちになったのだが、
(本当は大人っぽいと言われるより、その方がうれしいんだ…)
もっともっと甘えても良いのだ、声を上げて良いのだと、かき乱された意識の中で気付く。
ひくひくと内ももが痙攣するのがバルフレアの身体にも伝わってきた。
「あぁ……っ、もう、…だめ…!」
バルフレアも、とうに限界を迎えている。
よく濡れ、緩急のある締め付けに蕩けてしまいそうだ。
熱い息を切らし、自らも絶頂に向けて腰を打ち付ける。
「あ、…イク…の、いっちゃう…!」
パンネロは容赦のない攻めと、押し寄せる絶頂に眉根を寄せ、ふるふると頭を振る。
「ひぃん…っ…く……、んっ……バル…フレア…っ…!」
バルフレアがパンネロの最も敏感な部分を貫くと、そこからパンネロの身体全体に絶頂が駆け抜けた。
パンネロの細い喉が反り返り、びくびくと身体を大きく跳ねる。
バルフレアはそんなパンネロをしっかりと抱きしめた。
****************
いつもなら眠りを覚ますのはパンネロが自分を呼ぶ控えめな声。
眠ったふりをすると軽く身体を揺すったり、鼻をつまんで来たり。
そんな他愛もないいたずらがバルフレアにはうれしくて、パンネロに起こされる朝はバルフレアをとてもリラックスさせるのだが。
なのに今朝、バルフレアの耳に入って来たのはこんこん、と小さな咳だ。
事態を把握すると、バルフレアは跳ね起きた。
「パンネロ?」
見ると、パンネロは真っ赤な顔を手のひらで覆うようにして咳き込んでいる。
バルフレアは青ざめる。
(ってことは、つまり…)
見る見る情けない顔になるバルフレアに、パンネロはふふっと笑って見せる。
「ね、バルフレア。風邪ってね、誰かにうつすと早く治るんだって。」
パンネロが何を言いたいのか分からずにいると、パンネロが再び咳き込んだ。
慌ててその背中を撫でてやる。
咳が止むと、パンネロは再びバルフレアに微笑んで見せ、
「ね、だからバルフレアが看病して、お世話してね。そうしたら私、すぐ治っちゃうから。」
パンネロに風邪をうつしてしまった自分を心の中で罵り倒していたバルフレア、パンネロの言葉に我に返ると、そっとパンネロを抱き寄せた。
「…まずは、何からすればいいかな?」
「う〜んとね、シャワーが浴びたいな。ダメって言っちゃダメ。ね、バスルームに連れてって。」
大の男を寝込ませた程の風邪だ、パンネロだって相当辛いはずなのに、バルフレアを心配させまいとする気遣いがいじらしい。
バルフレアはパンネロをシーツに包んで抱き上げる。
「…ごめんな、うつしちまったな。」
「ううん、いいの。」
腕の中のパンネロは、確かにぐったりとしているのだが、顔はどこかうれしそうだ。
「あのね、私、もっと甘えん坊になろうって決めたの。だから、いっぱいお世話してね。」
「仰せのままに、お姫様。」
「シャワーの後は冷たくて甘いフルーツが食べたいな。」
「ああ、苦い薬と一緒にな。」
こういう物言いのあと、いつもならぷぅと頬をふくらませるパンネロだが、今日はくすぐったそうに微笑むだけだ。
バルフレアはそんなパンネロの鼻先にちゅっと口づけて、望み通りにパンネロをバスルームに運んでやったのだった。
おわり。


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