ウェディング・ビスチェ。(FF12/R18)

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[前提]バルフレアとパンネロは新婚さん。結婚してバルフレアは空賊を引退して帝都に工房を構えている。パンネロは新妻。家でバルフレアの帰りを待っている。
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寝室のとなりに、ドレッシングルームがある。
奥に細い小部屋で、入り口の両側には扉が鏡になったクロゼットが奥までずらりと並んでいて、その真中辺りには向かって右の壁には三面鏡がついたドレッサー、左側の壁には下着やアクセサリーを入れるチェストがしつらえてある。調度は全て白で統一されていて、花の彫刻がされている。引き手は金と、豪華ではあるが、上品だ。一番奥には出窓があり、外からの光がふんだんに入るようになっていて、パンネロのお気に入りの場所だ。
ふかふかの白い絨毯の上にぺたん、と座り込んで、パンネロは白いビスチェを身に着けてその姿を鏡に映していた。ビスチェは白いシルクタフタをキルティングにしたもので、フロントがレースアップになっている。胸を覆う部分はギャザーがたっぷりと入ってる。その縁にははしごレースに薄いブルーのリボンが刺し子になったものが縫い付けられていてかわいらしいデザインだ。胸の下から裾と、背中にそれぞれボーンが入っていて、ウエストにくびれを作り、パンネロのバストをふっくらと見せてくれる。裾は腰骨の下のあたりまであり、ふわふわとしたフリルが広がり、可憐だ。
本当のことを言うと、これはとても窮屈なのであまり好きではない。でも、これを着けると、胸が持ち上がるため、位置が高くなり、その分ボリュームが増す。それがうれしくて、時々こっそり取り出しては着けたりしているのだ。
「あ〜ん、胸が大きいと、大変!」
一度言ってみたかった台詞をつぶやき、前かがみになって、胸の谷間を強調してみたり、自分の胸の上に手を置いてみたり。
「いつもだと、胸がちっちゃいから乗らないんの。」
だが、ビスチェがぐっと胸を持ち上げてくれるので、あまり大きくないパンネロの胸でも、胸が大きな女性と同じことができるのだ。
(やっぱり毎日、こういうの着けたほうがいいのかなあ…)
パンネロは真剣な顔で鏡に映る自分の胸を検分する。と、人の気配がしたのでふと入り口の方に目をやると、
「……バルフレア!」
出かけていたはずのバルフレアが入り口のところで、笑いをこらえている表情で自分を見ていたのだ。パンネロは慌ててそばにあった薄いガウンを羽織り、キッとにらみつける。
「……いつから、そこに居たの?」
「“胸が大きくて大変”ってところからかな?」
パンネロは顔を真っ赤にして立ち上がると、バルフレアに駆け寄って、その胸をポカポカと拳で叩く。
「ひどい!ずっと見てたの!?」
「ああ。」
「ひどいひどい!もう…秘密なのに……」
「どうして?」
「どうして……って……」
パンネロは頬を膨らませ、バルフレアの身体を扉の外に追いやろうと必死で背中を押してくる。
「いいから!もう、着替えるから出ていって!」
「もう着替えちまうのか?」
すると、パンネロは大きくため息をつき、バルフレアの背から手を離すと、きゅっと唇を噛んでうつむいてしまう。
「だって……恥ずかしいよ……私、おっぱい…ちっちゃいもん。大きく見えないかなあって、それでちょっと遊んでただけなの。知ってるよ!わかってるの!バルフレアはそれでいいって言ってくれるてるの……でも、やっぱり憧れちゃうの。フランみたいなおっきな胸……」
しゅん、としてしまったパンネロのを、バルフレアはそっと引き寄せる。
「ごめんな。」
「どうして謝るの?」
「いや、かわいかったから。それで見とれてた。」
「笑ってたよ?」
「うれしくて笑いたくなるほど、かわいかったからさ。」
意味がわからない、とパンネロはしかめっ面になる。が、
「モーグリがかわいくって、踊ってたら思わず笑顔になっちゃう、みたいな感じ?」
「そんなもんとは、比べ物にならないな。」
バルフレアは目を細め、パンネロをじっと見つめる。四本の指の背で、柔らかい頬を撫でる。パンネロにしては、一人遊びが恥ずかしいのだが、そんなふうに優しく頬をなでられると、腹立たしかったり、恥ずかしかった気持ちが自然とおさまってくるようで。
気が付くと、すぐ傍にバルフレアの顔があった。身体を折るようにしてパンネロの顔を覗き込み、優しく唇を塞ぐ。そして、淡いピンクのサテンのガウンの肩をはだけた。唇はすぐに首筋に下りてきて、パンネロは思わず身をすくませた。
「きゃっ……バルフレア……!」
パンネロが驚いて思わず目を閉じた隙に、バルフレアはパンネロを軽々と抱き上げると、寝室のドアを開ける。
「もう!ダメ!まだお昼だよ?」
「カーテンを閉めればいい。」
「お仕事は?」
「部品の取り寄せが遅れてる。それで帰ってきた。」
そんな会話の頃にはもうパンネロはベッドに横たえられていて、ガウンはとっくに剥ぎ取られていた。バルフレアはパンネロの身体の横に手をつき、真上からその姿を、頭のてっぺんから足元までじっくりと眺める。パンネロは恥ずかしさにもじもじと身体をよじる。
「それに、花嫁はこうやってベッドに連れて行くもんだろ?」
「……覚えて……たんだ。」
パンネロが着けたビスチェはウェディングドレスのファンデーションとして着たものだ。バルフレアはパンネロの手を取り、甲にくちづけた。
「当たり前だ。感動したからな。」
「感動?」
バルフレアは両肘をパンネロの顔の横辺りについて、腕でその小さな頭を抱えるようにして、そうして顔を近づけて、鼻と鼻をこすり合わせる。
「結婚なんかしなくったって、お前の全部を知ってたさ。何百回ヤッたと思ってんだ?それでも…」
バルフレアはにやりと笑うと片目をつぶって見せる。
「初夜ってのは格別だったな。」
「なにそれ。」
「それを思い出した。だからベッドに連れてきた。」
「もう……!」
パンネロの腕が伸びて、バルフレアの後頭部をそっと引き寄せた。そのまま唇が重なった。あんな乱暴な言い方なのに、
(それがうれしいなんて……)
唇が離れ、目と目が合って笑い合う。
「大好き。」
「俺もだ。」
「でも、これ、大事だから汚しちゃダメだよ。」
バルフレアは心得た、と言わんばかりにパンネロに再びくちづけた。その唇は、最初のキスの時よりも熱いとパンネロには感じられた。ついばむようなキスは徐々に深いものへと変わっていく。最初はパンネロの柔らかい唇の感触を己の唇で確かめていたかのようだが、もっと味わいたいと、その隙間からぬるりと舌がすべりこんできた。
「……んっ……」
ぶ厚い舌は、簡単にパンネロの性感を昂らせてしまう。唾液ごとたっぷりとからめられ、舌先で口の中を舐めまわされる。
「………ふ…ぅん……っ」
鼻にかかった声がかわいらしい。夢中で応え、まだシャツを着たままのバルフレアの袖をきゅっと握りしめる様が可憐だ。いったい幾夜、何百回、この少女を抱いたのだろうと思う。どんなに愛しても、どんなに辱めても、パンネロはパンネロのままだ。バルフレアの愛撫に慣れ、愛欲と快感に溺れても、朝になると枕元に置いてある、きれいに洗ってアイロンをかけたシャツみたいにまっ白で皺ひとつない。
今だって、思い出の花嫁衣装(の下着)で抱かれているというのに、優しく背中を撫でてくれる。そんな油をはじく水のような清廉さに焦れて嗜虐心をむき出しで一晩中攻め立てたこともあったが。
「……バルフレア?」
物思いに耽るバルフレアを、パンネロが伺うように見つめている。
「なにかな、奥様?」
ふざけて、ごまかすために、ビスチェのカップの部分を人差し指で、くい、と下げる。途端に形の良い胸がぷるん、と顔を出した。
「やっ…!もう!」
慌てて胸を隠そうと交差させた腕をシーツに押し付け、横になっても形の崩れない、こんもりとした愛らしい乳房を存分に眺める。肌とさほど変わらない淡紅の胸の突起は、その頂上から転がり落ちるのではないかと思うほど、固くしこっている。バルフレアは卵白だけて作った菓子のように繊細なそれを、優しく口にふくんだ。
「あっ……」
肩をすくめ、身体を縮めようとするのを身体で押さえ、口の中の弾力のある極上の菓子を思う存分舌でねぶってやると、パンネロはすぐに腰を跳ね上げ、切なげに息を吐き、弾ませた。
「バルフレア……!あ…ん………っ!」
舌がしなり、控えめで愛らしい乳首をかすめる度に、パンネロはびくびくと身体を跳ねさせる。どうしてこんなに繊細できれいで感じやすい胸なのに、パンネロが自信がないのかバルフレアにはわからない。女性特有の普遍的なコンプレックスと理解はしているが、時々それがじれったい。
舌でなぶっても押し込んでも、乳首はすぐに元の位置に戻ってしまう。バルフレアはそっと歯で挟んで、動かないように固定する。
「…や、ん…っ!歯、……ダメ…!」
パンネロは頭を振り、強い快感をのがそうとする。
「ああっ!や、ぁあっあっ!」
そうやって噛み付いて動けなくした乳首を、そのままちゅく、と音を立てて吸い上げると、ずきん、としびれるような甘い痺れが湧いてきて、それは下肢にも伝わった。パンネロは身悶え、太ももを擦り合わせた。バルフレアは押さえていたパンネロの手首から手を離すと、大きな手でもう片方の胸を揉みしだく。
「……あぁっ、んっ、……バルフレア……!」
口ではねっとりと乳首を嬲り、手のひらにすっぽりと覆われた乳房をまさぐり、時には円を描くように揉みしだいた。
「さっき、からずっと、……胸、ばっか…り…っ…」
バルフレアは返事をする余裕はなかった。サイズなど関係なく、自分はこんなにもパンネロの胸を愛していると伝えるのに忙しいからだ。指を乳房に食い込ませると、大きな胸とはまた違った弾力が返ってくる。脂肪が流れて形が崩れてしまうより、この方がどんなにか愛らしいか、どうしてパンネロは気づかないのだろう。
白い乳房が朱に染まるのは得も言われぬ美しさだ。口にふくんでいない方の乳首を人差し指と中指の間にはさんでこすりあげる。
「……んっ……ああっ……!」
パンネロは喉を反らせて喘ぐ。両の乳首を同時になぶられ、いじられているのは胸なのに、それは何故か下肢に響き、とろとろとした蜜を溢れさせた。乳首に爪を立て、引っかき、時には胸に押し込む。
「……ふ、あ……っ!……もっ……やぁ……!」
胸への愛撫だけで達してしまいそうだとバルフレアはほくそ笑む。何度も身体を痙攣させ、くたりとベッドに沈んだかと思うと、次の愛撫にまた反応し、身体を捻り、快楽におぼれている。
「バルフレア……ね、…ぇ、早、く……ぅ…っ…」
涙目でお願いされると、愛おしさがこみ上げる。同時に、この身体を貪ることしか考えられなくなってくる。何度抱いても白いままのパンネロに、もう焦る気持ちはない。ビスチェのレースアップのリボンをほどくと、ぽん、と身体から浮き上がるようにビスチェが緩んだ。
バルフレアはそれを取り去り、パンネロの願い通り、汚さないようにベッドサイドテーブルに置いてやると、シャツを脱いだ。パンネロが腕を伸ばす。誘われるまま、その腕の中に沈み、良い香りのする柔肌を強く抱きしめた。パンネロがすぐに頬をすり寄せてきた。
結婚したところで、パンネロへの気持ちが変わるわけでもない、そう思っていたが、恋人を誰にも見せたくないと思うほどの、あの何かに追い立てられるような独占欲は鳴りを潜めた。
穏やかな日は退屈かもしれない、そんな風に思っていたが、一緒になって日が浅いというのに、バルフレアにとってこの日常が何にも代えがたいほど大切なものになっていた。
「愛してるよ、奥さん。」
そんな風に耳元に囁くと、新妻はうれしそうに微笑み、そうしてキスをねだるのだった。
おわり。