キスが好き。(FF12/R18)

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

バルフレアはパンネロの脇に両肘をつき、ずっしりと質量を増した己自身で柔らかな蜜壺を満たし、深々と突き刺していた。淫らにうねるパンネロの秘部は暖かく、柔らかくその剛直を包み、絞り上げる。
「……ぁっ、……バルフレア……っ」
もう昇りつめようとしているのだろう、押し寄せる絶頂への予兆に甘ったるい声をこぼしていたパンネロがじっとバルフレアを見つめる。何か言おうと唇を動かし、だが息苦しさと、こみ上げる快感に嬌声をあげるのに忙しくて、それができないようだ。
バルフレアも熱っぽい瞳で見つめ返す。その時、パンネロが唇をつん、と尖らせ、キスをねだった。達しようとしているのはパンネロだけではない。根本まで突き入れても、深いところでそれを受け入れ、やわやわと自身を締め付ける快美な感覚に、バルフレアも、もう限界だった。
「……あぁっ、んっ、……ねっ……あ、バルフレアぁ、……っ」
いつもは凛とした瞳が泣きぬれて、懇願するように見つめられると、どうしようもなく愛おしさが増す。健気なおねだりが背中がゾクゾクするほどうれしくてたまらない。バルフレアはパンネロの首筋に顔を埋めて、低くかすれた声で囁く。
「息が止まっちまっても、知らねぇぞ?」
パンネロは目を細め、うれしそうに何度もうなずいた。優しくキスをする余裕などない。バルフレアは噛みつくようにパンネロの唇を塞いだ。
「……ふぅ……んんっ……!」
バルフレアも余裕などまるでなかった。舌をねじこみ、舌と舌とを絡め、表面を重ね、こすり合わせる。合間に唇にわずかな隙間ができると、お互いにそこから息を吸い込もうとして、喉を鳴らす。パンネロは達する瞬間に、こうして乱暴にキスをされるのを好むのだ。強引に唇を塞がれるのが、パンネロの官能を煽るのか、それとも、
(イク瞬間に、首を絞めると、イイとは聞いていたが……)
果たして、パンネロの内壁はバルフレアの熱杭により一層激しく絡みつき、淫らに締め付けるのだ。
「……くっ!」
あっという間にバルフレアの理性も蕩けきって、パンネロの体ごと揺さぶりながら、自らの昂りで容赦なく突き上げる。ドロドロとした快感が下肢から湧きたち、早く解き放てとバルフレアを急かす。
「……んンンンっ……!!」
組み敷かれていたパンネロの華奢な体がバルフレアの逞しい体を押し返さんばかりに激しく跳ね、身悶えた。バルフレアは暴れるパンネロの体をぐっと引き寄せ、腰を突き入れ、その欲望を最奥に叩きつけるようにして、放った。
****************
全力で走り続けたあとのように、パンネロは肩を大きく上下させている。バルフレアが額の汗を手の甲で拭うと、すぐに汗がまた浮き出てくる。胸の辺りが風船を膨らませたかのように膨らんでは縮みを繰り返している。そのくせバルフレアにしがみついて離れようとしない。
「パンネロは、イクときにキスするのが好きだな。」
しがみついてくるのがまた愛くるしい。愛おしくて仕方がないのに、もう少し言い方があるだろうに、どうして自分はこんなからかう風に言ってしまうのだろうと思う。
(ああ、そうか……)
そんな意地悪な問いかけをするのは、幼い恋人は自分の予想もしないような言葉を返してくれるからだ。最初はちょっとからかって、恥ずかしがったり困ったりするところを見たいだった。なのに、最近ではパンネロがどんな風に自分を喜ばせてくれるのかが楽しみになっている。さて、今回はどう答えるのかと、バルフレアは胸に抱えたパンネロの小さな頭のつむじの辺りに唇を寄せる。パンネロの呼吸は徐々に落ち着いてきて、バルフレアの言葉に小さく身じろいて、胸の中から顔を上げて、
「もう、またそんな言い方……」
こんな風に最初はたしなめるようなことを言う。汗で額にはりついた髪をやさしく横にはらい、現れた月のように白くかがやく額に唇を寄せると、うっとりと瞳を閉じるくせに。
「でも、そうだろ?」
汗の味のする額に何度も唇を押し付けながら言うと、パンネロはくすぐったげに目を閉じる。
「その時だけじゃないよ……あのね、キスが大好きなの。」
小さな声はナイショ話を打ち明けるようだ。誰にも言っちゃだめだよ、そう言ってるようで。
「ああ、知ってる。」
バルフレアは首を深く折り、額をパンネロのに合わせ、その顔を覗き込む。
「一番好きなのは、唇へのキスだ。そうだろ?」
そう言って、恥ずかしがって伏せようとする顔の下にさらに顔を潜りこませ、唇に触れるだけのキスをする。おずおずと顔を上げ、はにかんで微笑むその顔の中心にある、思わず指で摘んでしまいたくなる小さな鼻の頭にもキスをする。
「ここはどうだ?」
「……好き。」
「あとは?」
パンネロは首を傾げ、少し考えると、
「……まぶた、かな?」
バルフレアは、まぶたの薄い皮膚の上に口付けた。唇にまつげの先が触れる。
「バルフレアは、他に何を知ってるの?」
今度は恋人が甘えてくる。とりとめもない言葉遊びが気に入ったようだ。尋ねられて、バルフレアも考える。恋人が自分を喜ばせてくれたように、自分も彼女を喜ばせなくてはならない。
「そうだな……」
そう言えば、さっき、キスが好きだと打ち明けられたのが、ナイショ話のようだったことを思い出した。
「パンネロはナイショのキスが好きだ。」
「ナイショのキス……?」
バルフレアが言わんとすることがわからず、パンネロは何度か瞬きをし、バルフレアを見つめる。
「隠れて、こっそりするキスだ。」
そう言われて、ようやく納得したのか、パンネロが顔をほころばせた。
「だって、バルフレアったら、人前でも平気なんだもの。私は…ちょっと、恥ずかしいな。」
「あれは必要なんだぜ?」
「どうして?」
「お前を見てる男が居たからな。この可愛い女の子は俺の連れだって、ちゃんと教えてやるのが親切ってもんだろ?」
さっきキスした口唇がやさしい微笑みの形を作る。
「バルフレア、オーバーだよ。私を見てる人なんか、居るのかな?」
「街中の男が、みんなさ。」
パンネロは本気にしていないようだが、それでもうれしそうにクスクスと笑っている。
「パンネロはその逆だ。周りに誰もいなくなってからキスのおねだりだ。」
オペラを観に行ったら、照明が消えて暗くなってから演目が始まる短い時間とか、レストランで注文を取りに来たウエイターが立ち去ったその隙に、とか。
「だって、誰かに見られたら…恥ずかしいよ。」
「でも、キスは好きなんだな。」
「うん。大好き。」
見られるのはイヤ、だけどキスはしたい。だから、ナイショのキスになるらしい。
「女の子は、ナイショが好き、秘密が好き、か。」
理解に苦しむが、なんともかわいらしい。
「素敵なことはね、秘密にするんだよ。」
「俺とのキスが?」
「知ってるくせに。」
パンネロがまとう甘く、いかにも女の子な雰囲気は、どうしてこんなにもバルフレアは心地よくさせるのか。
「ね、バルフレア。」
言ったそばから、パンネロは腕をバルフレアの首にまわし、ハチミチを固めて出来ているのではないかと思うような、甘やかな唇をうっすらと開いてバルフレアを誘う。
「“女の子”には、敵わないな。」
パンネロがどこか得意げに微笑む。
「かわいいよ、パンネロ。」
今度は小首を傾げてポット頬を赤らめ、微笑む。そうして、うれしそうに目を輝かせ、早くキスをして、と言わんばかりに目を閉じた。
バルフレアは薄暗がりの中で淡い桃色に光る、柔らかい唇にキスをした。バルフレアの厚ぼったい唇を、パンネロは舌先でくすぐったり、口に優しくふくんだりして味わう。ああ、本当にかわいいなとバルフレアは思う。
(唇だけでじゃなく、体中にキスしてやりたくなる。)
そんな愛らしい仕草が不埒な考えを引き起こしてると知っているのかいないのか、パンネロは自分のキスの出来不出来を尋ねるように、バルフレアの瞳を覗き込み、また目を細め、花が開くような微笑みを見せるのだった。
おわり。


    よろしければ一言。: