指を噛む。(FF12/R18)

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フォロワーさまと、酔って大胆・淫らになるパンネロという妄想が滾ったので。ついでにアンケートで指を噛む、というのがあったのでミックスしてみました。


その日贈った乳白色の、まるでクリスタルの花のようなボトルのトワレがよっぽどうれしかったのか、パンネロは食前酒だけでなく食後のワインもバルフレアと一緒に飲んで、どうしてずっと欲しかったのを知っているのか、しかもなかなか手に入りにくいこれを、バルフレアがどうやって手に入れたのかしきりに尋ねてきていた。
部屋に戻るときだって、ボトルの入った箱を、しかも一度ほどいたリボンをきちんと結び直したそれを大切そうに胸に抱いて、ときおり跳ねるようにしてはしゃいでいて、その様子はバルフレアを大いに喜ばせた。
部屋に戻っても、パンネロはそれを抱いたまま、ときおり捧げるように高く掲げてくるくるとステップを踏む。それをソファに腰掛けて眺めていたバルフレアのもとに駆けてくると、とん、と膝の上に座ってバルフレアの首に腕を回してきゅっとしがみついてきた。
「バルフレア、ね、ありがとう!これね、本当に欲しかったの!」
そして、このボトルは大きいサイズと小さいサイズがあって、自分は小さいサイズが欲しかったこと、大きいのも悪くはないのだが、
「小さいほうが、ね?素敵でしょ?ちっちゃいのに!」
と、ごきげんで喋り続けている。脈絡のない喋り方、いつもならいきなり膝にのったりせず、バルフレアの隣にきちんと膝を揃えて座り、その腕に身体をもたれかけるところから入るパンネロにしては大胆な行動、バルフレアここでようやくパンネロが酔っているのだと気がついた。
「パンネロ。」
呼ばれて、パンネロはボトルをテーブルの上に置き、バルフレアの膝の上で、手を膝の上に置いてきちんと座り直した。ワインのあとに飲んだ甘いカクテルの香りがバルフレアの鼻をくすぐった。
「ごきげんなのはいいが、大丈夫か?」
「平気よ。どうして?」
「少し、飲み過ぎたか?」
「ねぇ、バルフレア、ちゅーして?」
お説教を遮られ、バルフレアが驚いたのが面白かったのか、パンネロはクスクス笑いながらゆっくりと顔を近づけてくる。バルフレアは口唇に触れるだけのキスを返した。
「やぁだ!もっと!ちゃんとしたキスがいいの!」
最初は戸惑ったバルフレアだが、酔って蠱惑的になったパンネロがかわいくないはずがない。
「ちゃんとしたキスか…難しいな、どんなキスか教えてくれたらわかるんだが。」
すると、パンネロはぱちぱちと何度かまばたきをし、どうやって説明したものかと何度か首を傾げ、やがて妙案が浮かんだのか、うれしそうに微笑んだ。
「あのね……」
そうしてバルフレアの右手を取ると、愛おしげに手の甲に頬ずりをした。正直、この仕草だけで下半身に来た。そこから手の甲に口づけ、口唇を指先へと移したかと思うと、不意に中指の指先を、そっとその愛らしい口唇で挟んだ。パンネロはベッドの中では恥ずかしがりで、行為もどちらかと言うと受け身がちだ。それを不満に思ったことは一度たりとない。断言できる。だが、めったにないパンネロからの積極的なはたらきかけは、バルフレアの胸を跳ねさせ、言葉を封じるには十分すぎるほどの威力をもっていた。
口唇と指のわずかな隙間に柔らかい舌先が潜り込んできた。そのままバルフレアの指の腹を舌先で優しく舐める。小さな領域を小さな舌が何度か往復し、舌の表面を使って、くるり、と円を描くように指の腹の全体を舐める。ぞく、と身震いがした。
パンネロはバルフレアの指の、第一関節のあたりまで口にふくむと、今度は舌先で爪の形をなぞったり、口をすぼめて吸い上げたりする。普段の清楚さからは想像もつかない、甘ったるくなまめかしい雰囲気をまとっている幼い恋人を、バルフレアは息を詰めて眺めていた。
不意にパンネロが指に歯を立てた。それはごく弱い力ではあるが、パンネロの魔性にすっかり魅入られていたバルフレアの肩を跳ねさせるには十分だった。驚いたバルフレアに、パンネロはちゅぽん、と小さな水音を立てて口唇から指を引き抜いた。いつもは頼りなげで、まるで赤ん坊の口唇のようだと思っていたそれは、唾液に濡れて光っている。
「ね、こんな感じ。そうでしょ?」
パンネロはバルフレアの肩に手を置き、ゆっくりと顔を近づけてくる。バルフレアはその腰と背中に手を回し、引き寄せると目を細めてパンネロの瞳をのぞきこんだ。
「驚いたな。どこで覚えた?」
とりようによっては失礼な言葉だが、パンネロは気に留めるようすもない。口の端を少し上げ、誘う瞳で見つめ返す。そんな挑発的な表情を見せるくせに、クスクスと笑う声は少女のままだ。
「おかしなバルフレア。だって、バルフレアが教えてくれたんでしょう?」
もう口唇と口唇が触れ合いそうなくらい、顔が近い。
「キスだけじゃないよ…全部、全部ね、バルフレアが教えてくれたの…。」
「優秀な弟子だ。」
バルフレアはニヤリと笑うと、淡い珊瑚の色のようなパンネロの口唇に、己のを重ねた。


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