男にはわからない。(DDFF/R18)

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それ以来、2人の仲は目に見えて変わってきた。
何よりも変わったのは2人で過ごす時間だ。今までのぎこちない空気は一掃され、ライトニングはそんな変化に自分でも驚いていた。仲間の前でフリオニールと親しく話すのをためらわなくなったし、今まではまるで姉のようにフリオニールに接していたのが、ふざけたり、甘えるたりするようになったのだ。
2人同時に、全く同じタイミングで同じことを口にして、それがおかしくて笑い合ったり、そんなことですら2人の想いは同じなのだと思えて。毎日がふわふわとした感じだった。戦いや自分の運命を疎かにしているわけではなく、愛する者を守りたい、共に生き残りたいという想いが活力となり、獅子奮迅の活躍ぶりだった。
ライトニングはフリオニールに抱かれ、愛されることに溺れていった。初めて胸に触れられた時はあんなに動揺し、自制せねばなどと思っていたのが嘘のようだった。そんな自分を時折思い出して、ライトニングは気まずいような、その時の自分をお子さまだと鼻で笑ってしまうような、そうしてそんなに頑なになる必要はないのだと教えてやりたい、そんな複雑な気持ちになる。今ではその時間をそわそわと心待ちにしているほどなのに。
本来セックスとは閉じられた空間で、くつろいだ状態で行うものだが、それが許されない恋人たちは岩陰や廃墟、時には洞窟の中で衣服をくつろげ、その隙間から指や口唇を差し入れ、身体を探り合う。お互いがお互いの身体の秘密を知ることに夢中になっていた。そんな限られた状態でいかにして相手を悦ばせるかに全身全霊を注ぐ。それは目先の快楽や肉欲のためではなく、愛する気持ちをそうやって伝えたいと、素直にそう思えるからだった。
今の自分は変わったと思う。以前の自分はそんな感情をどこか否定していたような気がする。そんな頑なだった自分の心を開いてくれた恋人が愛おしくて仕方がない。わずかな時間をも惜しんで、2人は密会を続け、飽くこともなく愛しあった。
そうだ今だって、フリオニールはライトニングの腰を惹き寄せ、その秘裂に猛り狂った己自身を押し付け、激しく抜き差しをしている。フリオニールの苦しげな息が耳元で響く。
「はっ……、ライト…」
せっぱつまった声が、フリオニールが今にも達してしまいそうなのをライトニングに教えてくれる。
だが2人は未だに結ばれていない。
2人は何度も何度もそれを試みたのだが、どうしてもライトニングはフリオニールを受け入れることが出来ないのだ。敵から受ける傷とは違い、身体の奥深いその秘められた場所をあの質量で貫かれるのかと思うとどうしても身体がすくんでしまう。いや、すくむどころではない。フリオニールの男根の、その先端がほんの少し挿入されただけでライトニングは全身を硬くし、恐怖に身体を震わせ、目をぎゅっと閉じ、奥歯を血がにじむほど噛み締め、冷や汗を流してフリオニールにしがみつくのだ。そんな状態なのに平気だと言いはるライトニングを見て、気の優しいフリオニールはとても事を進めることが出来ない。
そういう理由で、今もフリオニールは雄々しくもいきり立ったそれを、ライトニングのあたたかく湿った秘裂と、ぴったりと閉じられた太ももに差し込んで抜き差しをしているのだ。それは縦に割れた裂に添って前後に動き、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てている。
「ん…んっ、あっ…!」
ライトニングの柔らかな秘所は愛液でぐっしょりと濡れそぼっていて、そのおかげでフリオニールの男根も滑らかに行き来を繰り返す。それだけでなく、その側面のくびれた部分は同時にライトニングの花芯をも刺激する。
「フリオっ、あぁっ…フリオニール…っ!」
「ライト…っ…」
苦しげな声と荒い息の下で自分を呼ぶ声に胸がかきむしられるほどうれしいような、切ないような気持ちになる。フリオニールが腰を押し付け、それが奥まで突き入れられる毎に、凹凸のある陰茎に陰核をぐいっと擦られ、そのせいでそこは焼けるように熱を持ち、ライトニングの思考を奪う。もうその熱と自分を呼ぶフリオニールしか見えない、聞こえない、感じない。それが極まると、まるで空に放り投げられるような突然の浮遊感と共に快感が破裂する。
「んっ、あっ…ん、あぁっ…フリオ…っ!」
ライトニングは抱きしめられたまま身体をなんどもびくんびくん、と跳ねさせた。同時にフリオニールも低いうめき声を上げ、ライトニングを抱きしめた身体が何度も痙攣し、ライトニングの太ももの隙間にどろりとした精液を吐き出した。
フリオニールはライトニングの内ももを濡らす白い粘液をマントの裾に拭い、お互いの衣服を整えると、改めてライトニングを抱きしめた。お互い息が上がっていて、身体が熱くて仕方ないのに、そんなことはお構いなしで頬を寄せ合い、その余韻にうっとりと浸る。
それでも、今日もダメだったという思いは小さなトゲとなってライトニングの胸をチクチクと刺す。少しずつ指で慣らしたりして徐々に慣れてはきているのだが、そこから快感を得るには程遠く、ましてや勃起したフリオニール自身を受け入れるとなると、
(一体…いつのことになるやら…)
こればかりはどんなに気持ちが焦っても本能的な恐れを感じているのでなかなか克服できない。しかも、フリオニールはその大柄な体躯でライトニングをすっぽりと包み、ライトニングはその体温だけで恍惚とした幸福感を感じてしまう。そこから器用な指先でライトニングから快感を引き出す。時にそれは中途半端に脱がされた服に拒まれてしまうことがあるのだが、フリオニールはすぐに別の場所に口唇を這わせてと、まるで彼が使う武器を扱うように巧みにライトニングの性感を刺激する。
一方ライトニングはフリオニールの様に上手に出来ない、と自分ではそう思っている。なぜなら、ライトニングはフリオニールの愛撫で何度も達してしまうのに、結局はフリオニールを受け入れられず、ではせめてもとフリオニールの性器を手で扱き、吐き出すことの出来なかった欲望を放ってやろうとするのだが、
(私が…すると、すごく時間がかかる…)
手でしたり、口にふくんで愛撫したりと試行錯誤を繰り返した末に、この方法に落ち着いたのだ。なんとなく、本当に「している」ような感じがするのが良い。
「ライト…また考えてる…」
フリオニールはそう言って笑う。
「でも、謝ったりしないでくれ。」
その笑顔に救われた気持ちになる。だが、やはり申し訳ないと思ってしまって。どうして自分はセックスに関しては痛がりで怖がりになってしまうのだろうか。こんなにもこんなにもフリオニールのことを愛おしく思っているのに、と情けない気持ちになってしまう。
「本当のことを言うと、その、早くしてみたい。」
心苦しく思い、落ち込むライトニングを気遣うように、フリオニールは少し照れた口調で打ち明ける。そして声を潜めて、
「ライトの中に指を入れたら、とても柔らかくて、それだけで気持ちいい。だからライトの中に…えっと…一つになれたらどんなに気持ちいいだろうと思う。」
あからさまな言い方にライトニングが照れて、キッとフリオニールをにらむ。が、すぐにその表情はふっと緩んで、
「謝らない代わりに、言いたいことがある。」
フリオニールは身体を屈め、ライトニングの口元に耳を寄せる。彼女がそういう風に気持ちを打ち明けるときは、ひどく照れてしまってなかなか言い出せないのを知っているからだ。
「私も…同じだ。お前と。」
それ以上言えなくなってしまったライトニングに、フリオニールは汗で貼りついた前髪をかきあげ、そこに現れたまるで陶器のような額に、わかってるという言葉の代わりに口唇を落とした。
****************
その翌日からフリオニールが捕まらなくなってしまった。もちろん出撃や帰還のタイミングや、見張りもある。だが、ここのところはほんのわずかな時間をも惜しんで仲間の目を忍んで会っていたのに。
ライトニングはフリオニールの性格を良くわかっていたので、何か考えなり思惑なりがあるのだろうと察しはついていた。むしろ戦況は悪くなる一方で、のんびり逢引などしている余裕がなくなりつつあった。それだけにライトニングは焦ってしまう。
「俺達に時間なんて残されてないのに?」
真剣な表情でそう言っていたフリオニールを思い出したからだ。それなのに未だためらっている自分の煮え切らなさにライトニングはため息を吐いてしまう。それと同時にフリオニールの顔を見たくなってその姿を探す。仲間の何人かに聞いてみると、野営場から出て行ったのを見かけたという。ついでに、最近いつも同じ方向へ歩いていくのを何度か見かけたとのことだった。
やはりどこかへ目的をもって一人で出かけているようだ。ライトニングは気になって、フリオニールが歩いて行った方向へ探しに行くことにした。
いくら仲間が哨戒してくれてるとはいえ、フリオニールは慎重に行動しているようで後を追うのはなかなか骨が折れた。足あとは時折消されているし、蛇行しながら進んでいるようだ。だが、なんとなくだがフリオニールの行動の癖は把握しているし、あとは勘と、フリオニールに会いたい一心だ。
ライトニングはこの世界では比較的緑が多くテーブルのような岩棚がいくつも並んでいるエリアでフリオニールの姿を遠くに見つけた。岩棚が裂け、急な上り坂になっていて、フリオニールがそこに入っていくのが見えた。声をかけようと思ったが、距離が離れすぎているのと、敵に気取られてはいけないと、そのまま走って後を追うことにした。
岩棚の上へと続く道は急な傾斜に岩がゴロゴロと転がっていた。ライトニングは岩を足場にして登り、フリオニールの後を追う。頂上の開けた所に着くと、フリオニールが屈んで何かをしているのが目に入った。フリオニール、と呼ぼうとすると、フリオニールは立ち上がり、腕を腹の前で交差させ、おもむろにシャツをまくり上げ、脱ぎ捨てた。一体こんな所で何故、と慌てて止めようとしてライトニングはハッと息をとめて、その後ろ姿を見た。
がっちりとした肩幅を底辺にその背中は見事な逆三角を型どっていた。広い背中は背骨を中心に分厚い筋肉の層が薄い皮膚に下でくっきりと浮かび上がり、盛り上がっている。戦いの経験が作った逞しい背中だった。褐色の肌は陰鬱な空の下で光を反射せず、それがくっきり影を際立たせ、フリオニールの背中のでっぱた所とへこだ所をより際立たせていた。その後ろ姿はライトニングをどうしようもなく惹きつける男性としての色香を放っていた。いつも抱き締められ、しがみついていた衣服に隠されていたその身体は身震いするほど魅力的と知って、胸が早鐘を打ち、息もできないほどだ。
ふと、フリオニールが腕を上げた。その動きに合わせて筋肉の皮膚の下で動くのがはっきりと見てとれた。首の後ろでまとめていた髪を解き、その逞しい身体に不釣合いは細い銀の毛束が褐色の背中にかかり、ぞくりとするほど艶めかしい。抱きしめて欲しい、その硬くてしなやかな身体に今すぐ包まれたい、そんな激しい気持ちがまるでマグマの様に理性を突き破り、噴き上げた。
「ライト!」
不意に呼ばれ、ライトニングは我に返った。見つかってしまって仕方がないとライトニングはおずおずとフリオニールの傍に歩み寄った。
「…ここで…何をしている…」
見ると、フリオニールの足元からは湯気が立っていた。
フリオニールは足元に目をやり、
「ああ、水場を探していたら偶然ここを見つけたんだ。ほら、あそこに火山が見えるだろ?そのせいでここの地下水はとても暖かいんだ。」
フリオニールは屈んで、小さなバスタブくらいのサイズの湯場に手を浸した。屈んで曲げられたフリオニールの背中はまるで岩山のようにゴツゴツとしていて、その側面の腰の辺りは無駄な肉は一切ついておらず、陰に見えた腹筋は硬い6枚の板が腹の下に仕込まれているのではないかと思うくらい見事に割れている。ライトニングはフリオニールに気取られないように慌ててそこから視線を反らす。
「あそこだ。」
フリオニールが指さした先から温泉がぽこぽこと心地良い水音をさせて湧きだしていた。
「でも、本当に小さな源泉だから岩を少し掘って、もっとたくさん湯が流れ出るようにしてたんだ。それで、ここのくぼみまで湯が流れてきたらちょうど良いだろう?」
「ちょうど良い…って、風呂にか?」
「うん。少しずつ源泉を掘り広げて、ここに湯が貯まるののを見に来てたんだ。今日来てみたら漸く浸かれそうになってたからライトに知らせる前に、どんな感じかちょっと浸かってみようと思ってたところだ。」
「私に…?どうしてわざわざ風呂なんか…?」
そう尋ねられ、フリオニールはうれしそうにライトニングの顔を覗き込む。
「ライトは”今日こそは!”って意気込んでくるときは必ず水浴びをしてくるだろ?」
フリオニールが何を言っているのかよく分からず、ライトニングはきょとんとした表情でフリオニールを見上げていた。が、フリオニールがまるでいたずらをしようとする子どもみたいに目をキラキラさせているのを見て、漸く言わんとすることがわかり、顔を真っ赤にしてフリオニールに詰め寄った。
「お前…!知っていて!」
フリオニールは今度は声を上げて笑い、
「わかるさ。ライトのことだからな。」
そう言うと、ライトニングに背を向け、今度は下衣も脱いでしまう。ライトニングは慌ててフリオニールに背を向けた。背中越しにライトニングの動作を見ていたフリオニールだが、身体を許し合いお互い恥ずかしい所にキスをし、口唇で愛撫もし合っている、そんな仲でに今さらライトニングが照れるなどと思いもよらない。
天然のバスタブは滑らかな砂岩で出来ており、座っても痛くない。源泉は少し熱いと思っていたのだが、ここに流れ込んでくる頃には程よい温度まで下がっていた。
「でも、俺には少し小さいな。」
湯の深さは座ったフリオニールの腰の下の方までしかない。もう少しここが深ければ良いのだが、などとライトニングに聞かせるわけでもなく、独り言を言っている。だが、ライトニングの反応が思ったほどないので、喜んでもらえなかったのだろうかと振り返ると、すぐ後ろにライトニングが立っていて、フリオニールの傍にかがむと、その背後から腕を伸ばし、きゅっとその首にしがみついてきた。

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