男にはわからない。(DDFF/R18)

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大きく肩で息をするライトニングをフリオニールは強く抱きしめた。いくら経験がないと言っても、フリオニールは健康な青年なので自分で自分を慰めるのは当たり前のことで、ライトニングの反応を見て彼女が悦びに達したのだとすぐに分かった。恋人の身体に決定的な何かを刻みつけることが出来たようで、うれしく、誇らしい気持ちになる。

同時に極みに達した時の普段から想像もつかないような艶かしい声、悩ましい表情、戦場をかける戦士としてのライトニングとはまるで別人で、その声も、快楽に涙をにじませたその瞳も、普段は血管が透けて見えるほど白い肌が鮮やかに染まるのも、そこから匂い立つような甘やかな香りが立つのも、すべて自分だけしか見ることが出来ないのだと思うと魂が揺さぶられるほど恋人への愛おしさを止めることが出来ない。

「ライト…」

胸がいっぱいで言葉が続かない。フリオニールは夢中になってライトニングの名を何度も呼びかけ、顔中にキスをした。

そんなフリオニールの声を遠くにぼんやりと聴きながら、今、自分の身に起こったことを、ライトニングは頭の中で反芻していた。

「フ…リオ……」

ああ、あれがそうなのか、苦しくてまるで熱病のようにうなされて、身体中にまるで電気でも走ったかのようだった。その後で快感が弾けた。そのあとは言葉にならなかった。まるで思い切り高くまで漕いだブランコから飛び降りたみたいだった。

(あんな風に…触れられただけで…)

ライトニングはうっとりとフリオニールを見つめた。そうだ、自分はフィクションとしての恋愛やセックスは知っていた。でも、いつもそれは自分の身には起こらないことだと思っていた。だが、こうやって抱き合って、口づけを交わし、触れ合うだけでこんな風に悦びが弾けて、うっとりするような幸福感に満たされるなんて。

ライトニングはあんなに怖がっていた自分を思い返して笑った。

「どうしたんだ…?」

ライトニングはなんでもない、と小さく頭を振ると、自らフリオニールに口づけた。甘くて柔らかな舌がフリオニールの口の中に、まるであめ玉の様に転がり込んできた。フリオニールはそれを受け取り、自らの舌で覆うようにし、絡め合う。お互いの舌がお互いの口の中を行き来し、お互いがもっと応えたいと更に奥へ奥へと誘い合う。

「はぁ…ぁ…」

無意識に息を継ぐ合間にもライトニングは魅惑的な吐息を漏らした。酔ったかのように陶然とした表情は官能的で、それはフリオニールの理性の吹き飛ばしてしまうには充分な威力を持っていた。フリオニールはやおらライトニングの太ももを持ち上げ、猛りきった自らのモノを蜜を流すそこにあてがった。

「え…?」

フリオニールの予想外の行為にライトニングが驚きの声を上げたが、フリオニールはもうそれに応える余裕はなかった。先走りの液を零す先端を柔らかな肉で重なり合い未だ閉じられたそこに押し付けた。

「まっ…待て、フリオニール…っ…」

フリオニールの男根の先端は入り口を求めて何度もその渓谷を行き来する。その質量と硬度を持ったものが自分の中に入ってくるのを知って、ライトニングを再び猛獣に捉えられた生き餌のような恐怖と、そこから逃げることで頭がいっぱいになる。

「ぁっ…ふあ……あ、や、や…だ、…」

ライトニングの悲鳴はほとんど声にならなかった。もちろんフリオニールの耳には届かない。それほどか細い声だった。声が出ないほどの恐怖だった。今までどんな敵もどんな戦況も恐れたことはなかったのにそれらとは異なる、比べ物にならないほどの。

「こっ…こわ…い……や、いや…いや……っだっ…」

歯がガチガチ鳴る。逃げることで頭がいっぱいなのに恐怖にすくんで身体が動かない。暖かくて愛おしく感じていたフリオニールの身体が退けがたい大きな岩のように思えた。

大きな塊がぐっと胎内に押し入ってきた。

(う、嘘…、嘘だ…こんなの………)

文字通り生きたまま身体が裂かれるかの様な痛みだった。

「いやああああああああああっ!」

喉から悲鳴がほとばしった。フリオニールはぎょっとして動きを止めた。

「いやっ…いや……っ、だっ…」

フリオニールは腰を引いて呆然と腕の中のライトニングを見下ろした。ライトニングはガチガチと歯を鳴らし、フリオニールの胸にしがみつくようにしてしゃくりを上げている。

「やめて…やめて……」

フリオニールは未だに荒い息をしたまま、何が起こっているのか必死で考えていた。艶やかな媚態から一転して、まるで子供の様に泣きじゃくっているライトニングを見て、これ以上ことを進めるのは無理だ判断した。さっき、ライトニングのことを水を恐れる子供のようだ、と言ったが、

(本当に…怖がっている小さな子どもみたいだ…)

それでもまずは怯えるライトニングを安心させなければと乱れた衣服を直してやり、ついでに自分の衣服も整える。

「ごめん…ライト…急ぎ過ぎた…ごめん。」

まるで追い詰められた小動物のように震えていたライトニングがおずおずと顔を上げた。

(本当に…子どもなんだ…)

「…ライト…大丈夫だから…もうしないから…」

泣きじゃくって腫れた目蓋と紅くなった瞳が本当に?と尋ねている。

「本当だ…ごめん…ライト…」

抱き締め、優しく頭を撫でてやりながら、フリオニールはどうしてライトニングが小さな子どものように振る舞うのかを必死で考えていた。

「こども…」

思わず声に出して呟いた。そして、全てを理解した。元の世界の記憶がない。それは自分もライトニングも、そうして他の仲間達もそうだった。だが、仲間の一人が息子が居たことを覚えていて、その話を皆で聞いたことがあった。だがその話を聞いても、自分の中で何の感情も呼び起こされず、むしろ家族が居る仲間を羨ましいと思う気持ちの方が強かった。ということは、自分には両親が居なかったのだろうとその時フリオニールは結論付けた。

(ライトも…きっと…俺と同じように、両親がいなかったんじゃ…)

きっと早く大人になるために必死で戦って来たのだろう。彼女は本当はもっと怖がりで、繊細な、ごく普通のこども、女の子だったのではと思った。

「ライト……君は…たくさんの物を置いてきたまま大人になったんだな…」

フリオニールの言葉が良く聞こえなくてライトニングは思わず顔を上げた。正面からフリオニールの顔を見て、急に我に返って自分の子どもじみた振る舞いに恥ずかしくいたたまれない気持ちになる。きっと呆れているだろう、嫌われたかもしれない、そう思った。が、フリオニールはライトニングを愛おしげに見つめたままだ。その眼差しは前よりも優しく、穏やかで、全てを受け入れてくれたかのようだ。

「…すまない……私…は……」

謝罪の言葉が口に出たライトニングの手を優しく取って、フリオニールはその手の甲に口づけた。

「さっきよりも、ずっと君が好きだ。」

あんな醜態を晒したというのに、この男は何を言っているのだろうとライトニングは耳を疑った。

「君が怖いって言っていたのを、ちゃんと聞いてなかった…無理強いして、怖がらせた…本当にごめん。」
「だが…!私は…その…まるで…お前が言ったみたいに子どもみたいだ…ちゃんと…ちゃんと、出来なくて…」

しどろもどろに言うライトニングがフリオニールにはとても可愛らしく見えた。結ばれたい、そのことで頭がいっぱいだったのに、それよりも彼女のことをよく知ることが出来た事のほうがうれしい。彼女の弱さすら今は愛おしくてしかたがない程だ。

「いいんだ。」
「お前は…どうしてそう言える?…私は…」
「怖がってたライトは、本当のライトだ…。本当のライトを見ることができるのは俺だけで、それを見せてくれるのがうれしいんだ。」

ライトニングは驚くを通り越して呆れてしまう。情けない気持ちでいっぱいだった。みっともない所を見せた、そんな風に思っていたのに、フリオニールは意にも介さないどころか、それすら受け入れると言っているのだ。

「…おかしいか?」

ライトニングは即座に頭を横に降った。なぜだか細い道をずっと歩き続けたのに、急に視界が開けた所に出てきたような気がした。そうしてその開けた所で思い切り駆けまわりたいような、飛び回りたいような、不思議な力が身体の中から湧き上がってくるような。

「何故だろうな…お前が言うと、暖かい…」
「そうかな…?」
「泣きそうだ。」
「俺もだ。」

そんなことを言い合ったところで、照れくさくなって同時に笑った。どちらからともなく寄り添って、額と額を合わせ、お互いの瞳を覗きこむ。

「…ゆっくりで、いいか?」
「どうかな。さっきのライトはすごく色っぽかったから。我慢できるか自信がない。」

さっき言っていたことと違うのだが、もちろんそれは冗談だとライトニングには分かっていて、どう切り返そうかと考え、ふと思い立ってフリオニールの身体を押し、廃墟の壁に押し付けた。冗談のつもりが怒らせたのかと焦ったフリオニールが慌てて釈明しようとしたところで、いきなり迫ってきたライトニングの顔に驚いて、そうしてすぐに口唇が塞がれてしまった。

ライトニングはつま先立って、背伸びをし、フリオニールの首に優しく腕を絡めた。いきなり積極的になったライトニングに戸惑いはしたものの、うれしくないはずがないフリオニールは大人しくそれを受け入れた。

口づけながら、ライトニングの手は優しくフリオニールの頬を撫で、それは首筋、胸骨、腹の辺りをなぞり、一瞬ためらったものの、フリオニールの下衣の中に潜り込んできた。

「ぅわ、ら、ライト…!」

下着の中ですっかり萎えてしまっていたフリオニール自身を、ライトニングの手が優しく包んだ。もうそれだけでフリオニールのモノはむく、と力を取り戻し始めた。

「…男は、その…出してしまわないと…辛い、だろう?」

その通りだし、実際にどう処理したものかとフリオニールも思ってはいた。だが、突然の献身はうれしいのだが、ライトニングが無理をしているのではないかと心配になる。

「勘違いするなよ。別に無理してるわけじゃない。」

フリオニールに何も言わせまいと先回りをしてそんなことを言うのだが、ライトニングの顔は真っ赤で、まともに目が合わせられないようだ。そうして、すっかり元通り勃ち上がったフリオニール自身を不器用な手つきで愛撫する。指でなぞり、その形を確かめていたのが、だんだんと撫でるよりも手で扱いてやるほうが気持ちが良いらしいと分かってきたようで、ゆっくりと握りしめた手を上下させる。握りしめた手の中でそれはぴくぴくと脈打っている。

「ライト…その、もっと手首を柔らかくしてもらてもいいか?」

どうすればフリオニールが感じるのかよく分からなかったライトニングは大人しくその言葉に従う。すると、フリオニールがふぅ、と大きく息を吐き、徐々に息を弾ませるようになってきた。最初はおっかなびっくりだったのも、少しずつ慣れてきた。

だが、手がだるくなるほどフリオニールのものを愛撫してもなかなか達するまではいかない。フリオニール自身も時折「は…」と息を漏らし、頬を朱に染め、瞳がうるんでいる。確かに感じてくれてはいるようなのだが、ライトニングはフリオニールを受け入れることが出来なかったことも相まって、だんだんと焦り始める。

不意にフリオニールが口づけてきた。不慣れでぎこちないとは言え、やはりライトニングの愛撫に興奮してるのだろう、乱暴に舌をねじ込んでくる。これでは上手く出来ない、ライトニングがそう抗議しようとすると、

「一緒に、したいんだ。」

耳元で囁く声が少し掠れていて、その声だけでぞくりと肌が粟立つ。手が胸元に忍び込んできて、たわわな胸を這う。

「あ、あ…!」

指先が乳首をかすめ、ライトニングはあっけなく声を漏らす。フリオニールは容赦なく更にその先端を転がし、押し込んだかと思うと摘んでみたり。さっき達した腰からも甘やかな感覚がまたこみ上げ、全身を満たし始める。

そんな中でライトニングは必死で手を止めまいとする。さっきと違ってライトニングの身体に触れ、感じ入った声や吐息にフリオニールも興奮し、手の中のものが更に質量を増す。

「ライト…」

熱っぽい声、吐息が耳にかかる。ライトニングもぴくんと肩を跳ねさせた。

「もう少し…早く…」

フリオニールが何を言っているのかすぐに察したライトニングは疲れてはいたが、扱く動きを頑張って早くする。フリオニールの喉仏が大きく動いた。息を弾ませたまま、ライトニングの頭に頬を寄せ、擦り付ける。そうしながらもライトニングの胸への愛撫は止めず、胸全体を強く捏ね、押し上げるようにして揉む。

「ふ…、は…、ライト…」

フリオニールの身体が硬直し、ぶるっと大きく震えた。先端から白いどろりとした液体が勢い良く吹き出し、ライトニングの手とフリオニールの下腹を濡らした。

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