男にはわからない。(DDFF/R18)

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翌日はライトニングとフリオニールは別行動だった。遅れて聖域に戻ったライトニングは先に戻ったグループの中にフリオニールの姿を見つけ、ホッとしてすぐにその傍に歩み寄った。それに気付いたフリオニールがすぐにその場を離れ、ライトニングに駆け寄る。が、それは失敗だったかとすぐに足を止めた。仲間たちの前でライトニングと親しくすると、いつも困ったような表情で周りをキョロキョロと見たりして、落ち着かない様子だったからだ。

だが今はライトニングの方から近づいて来たので、おや?とフリオニールは不思議に思う。昨日のことがあったので、2人の仲が気まずくなるかと懸念していたのが、ライトニングの方から近づいてくるなんて。

「ライト、無事で良かった。」
「ああ。お前もな。」

ライトニングを見下ろし、うれしそうに笑ってみせるその笑顔が戦いの疲れを忘れさせてくれる。

「フリオニール、今夜、会えるか?」
「え?」

こんな風に会えるかどうかを直接聞いてくるなんて初めてのことなので、フリオニールは思わず聞き返してしまう。だが、フリオニールの驚きを気にもとめず、ライトニングは言葉を続ける。

「昨日の場所に来て欲しい。来られるか?」

最初はぽかんとしていたフリオニールだが、慌てて、

「あ、ああ!大丈夫だ。必ず行くよ。」

ライトニングはそうか、と頷くと、

「私は少し遅れるかもしれない。だが必ず行く。」
「分かった。」

言うだけ言うと、ライトニングはその場から立ち去ってしまった。フリオニールは呆然とその後姿を見送った。ライトニングが何を考えてるか分からず首を傾げていると、目ざとい仲間たちが早速からかいに来たが、

「俺が探してたアイテムのある場所を見つけたって教えてくれたんだ。」

の言い訳に誰もがあっさりと納得をしてくれて、なんだか腑に落ちないフリオニールだった。

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腑に落ちないが、昨日の気まずさをほぐす話のきっかけになるよな、と前向きに捉えてフリオニールは昨日と同じ場所でライトニングを待っていた。

(…遅いな。)

確かに遅れるとは言っていたが、恋しい相手を待つ時間は一秒が一分にも感じられる。その間に昨夜のライトニングのことを思い出してつい口元が緩んでしまう。女性を抱いて愛する、ということを、フリオニールは大人たちが交わしていた言葉の断片でしか知らない。だが、ライトニングを抱いていると、身体が勝手に動くのだ。正に本能の赴くままだった。形の良い耳たぶ、ほっそりとした首筋、惹き寄せられる場所に指を這わせ、口唇を寄せると、ライトニングは艶っぽい吐息を漏らし、身体をわななかせてフリオニールにぎゅっとしがみついてくる。耳や首だけでははない、肩、鎖骨のあたりの白い肌に口づけただけでぴくんと身体を跳ねさせて。その艶かしさを思い出しただけで頭が沸騰しそうになる。もっと彼女の、あの美しい身体の秘密を知りたいと、強く強く思う。

そこで不意に昨夜の拒絶を思い出した。

(…ライトは…何を考えてるんだろう?)

問題を先延ばしにしてしまうライトニングの考え方が、フリオニールには理解出来ないのだ。それでも、どうやらそれはお互いが成長した社会背景によるものだとなんとなくは理解しているので、ちゃんと聞いてみなくてはとライトニングを待つ。すると、漸く控えめな足音が聞こえてきて、ライトニングが姿を見せた。

「ライト!」

ライトニングは廃墟の入り口辺りで何やら戸惑ったように俯いていたが、フリオニールが呼ぶと意を決した様に顔を上げ、いきなりフリオニールの胸に飛び込んできた。

「…ライト?」

今日はきっと話し合いのために自分は呼び出されたのだろうと思っていたフリオニールは驚いてライトニングを抱きしめる。と、ライトニングの髪は濡れていて、身体もひどく冷たい。

「ライト!どうしたんだ?敵に襲われたのか?」
「…大声を出すな。」

思わず叫んでしまったフリオニールをライトニングが諌めた。

「でも…こんなに濡れて…髪も…寒くないのか?」
「…お前がこうしてくれれば暖かい。」

心配しつつも、そう言われてうれしくないはずもなく、フリオニールはライトニングをしっかりと抱きしめた。

「…考えたんだ。」

抱き締められているので、ライトニングの声がくぐもって聞こえてくる。

「昨日、お前が言ったこと…」
「俺が?」
「私達に…時間がないと…」

フリオニールは漸く理解した。ライトニングが推察したように、お互いが居た世界の男女観が違うのはもちろんなのだ。だがそれは死生観に大きく起因していたのだ。フリオニールの世界はライトニングの居た世界よりも医療が遅れているし、また大きな戦乱もあった。死はフリオニールにとってとても身近なものだった。それは召喚された異世界に来ても変わることはない。それは自然と行動にも反映される。だから明日だの次に会った時だの、そんな発想はフリオニールにはなかった。相手が好きならそこにためらう理由は何もないのだ。

だが、その考えがライトニングを不安にさせていたのなら話は別だ。

「ライト…ごめん。君を不安にさせた。」
「…いや、お前の言うとおりだ。」
「違う。昨日まで隣で笑っていた仲間が次の日には居なくなっている…俺の世界ではそれが当たり前だった…と思う。だから…」
「いいんだ。」

ライトニングは顔を上げてフリオニールを見つめる。瞳の澄んだ、きれいな笑顔だ。

「お前の言葉で…正直、最初は落ち込んだ…でも、なんだか吹っ切れたんだ。私なんかが恋をしたらみんな笑うだろうかとか、非常時に呆れられたりするんじゃないかとか、この世界で、こんなおかしな世界で、そんなこと小さなことだ。気にするようなことではない、とな。」
「ライト…」
「戸惑ってただけだ…でも、お前の言葉で気付いたんだ。それに、思い出したんだ。」

そんな風に不安に思っていたのに、自分は恋人の何を見ていたのだろうとフリオニールは情けない気持ちになる。

「何を?」
「お前がいれば…何も、怖くない。」

2人は見つめ合い、同時に笑う。

「だが、な、フリオニール。それでも私達は明日の約束をしよう。明日もまた2人で会おう、と。」
「…うん。ライトの言う通りだ。」

フリオニールはライトニングの濡れた前髪をかき上げる。その下から顕れた形の良い額に口付けようとしてフリオニールはもう一つの心配事を思い出した。フリオニールの大きな身体に包まれていたお陰で身体は漸く体温を取り戻しつつあるが、髪はまだ濡れたままだ。

「…!それよりライト!一体どうしてこんなに濡れて…」

すると、ライトニングの頬にさっと朱が走り、再びフリオニールの胸にぱふん、と顔をうずめてしまった。

「???ライト???」

ライトニングが小さな声で答えたがよく聞き取れない。なんだか照れてるようにも見える。

「…どこか、泉か、水たまりにでも落ちたのか?」
「バカか、お前は!」
「そっか…そうだよな。だったら服も濡れてるし…」

ライトニングが何故怒るのか分からず、フリオニールはオロオロしながら見当違いな返事をする。ライトニングはまだ顔を赤らめたままで、

「…すまん、バカは言い過ぎた…」
「???…いや…気にしないでくれ…」

フリオニールはますます訳が分からない。さっき2人で良い感じにこれからのことを話せたのに、髪が濡れていることを聞いただけでライトニングが怒ったり照れたりと、コロコロと感情が入れ替わるのがどうしてなのかさっぱり分からない。フリオニールはライトニングの肩に手を置いて、

「でも、気になるし、心配だ。ちゃんと話してくれないか?」

心底心配していて、同時に困っているのだろう。ライトニングはぎゅっと口唇を噛み締め、

「…やっぱり、お前はバカだ。」
「え?」
「…なんでもない。」
「ライト?」

ライトニングはフリオニールの視線から逃れるように俯いてしまい、そこから長い時間黙ったままだった。フリオニールも無理に聞き出すことも出来ず、同じ姿勢のまま辛抱強くライトニングの言葉を待ち続ける。

「………………………てきた。」

漸く発せられた言葉はそれこそ吐息のような、とても小さな今にも消えてしまいそうな声で。

「え?」
「……水浴び、……してきた。」

どうして水浴びしてきたことでライトニングは顔を赤らめているのだろう?フリオニールは素直に疑問に思って、

「どうしてわざわざ水浴び……なんか……」

と、言いかけてフリオニールはあっ、と小さく声を上げた。するとライトニングがびくっと肩を跳ねさせ、耳まで真っ赤になっている。鈍いフリオニールにも漸くライトニングの言わんとすることが分かって。

「え…っと…、うれしいよ。…その…」

フリオニールはライトニングの頬を両手で包み、そっと上を向かせ、優しく口唇を合わせた。

「俺も水浴びしてくれば良かったかな?」
「そんな…別に、いい。」
「じゃあ一緒には?」
「調子に乗るな!」

フリオニールがとうとう声を上げて笑い出したのに釣られ、ライトニングにも笑顔が戻る。リラックスしたのか、フリオニールの身体をもたれかかる。自然と視線が絡みあい、引き寄せられるように口唇が重なった。

これで良かったのだとライトニングはうっとりと口づけを受け入れながらそう思った。このまますべてをフリオニールにゆだねれば。しかし、意外なところに落とし穴があるという事を、その時の2人は知る由もなかった。

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フリオニールは柔らかな唇を存分に味わう。心が通じあったせいか昨日のような切羽詰まった感はなく、優しく唇を舐め、ぽってりとしたライトニングの口唇をふくみ、その感触を味わう。目を閉じ、うっとりと身を委ねているライトニングが胸を締め付けられる程愛おしい。

「ふ……」

抱きしめたライトニングが小さく鼻を鳴らし、自分のシャツをきゅっと掴んでいるのがまた可愛らしい。戦場での彼女と全く違う様にフリオニールも気持ちが高ぶるのを抑えきれず、口の中に舌をさし入れる。ライトニングもすぐにそれに応えて互いの舌を絡め合い、強く吸い上げる。

「んっ……」

口唇を塞がれて息が苦しいのか、ライトニングが小さく声を漏らした。一旦口唇を離し、額と額を合わせ、見つめ合う。が、すぐに再び口唇が吸い寄せられるように合わさり、存分に互いの口腔を探り合う。

長い口づけのあと、フリオニールが耳たぶや首筋に唇を這わせながら、そっと胸元のファスナーを下ろした。昨日の服が擦れて痛い、というライトニングの言葉を覚えていたのだろう。そのまま襟元から手を滑り込ませ、優しく胸をまさぐってくる。

「……ぁ、あ……」

触れられた所から甘く疼くような感覚がじわじわと湧き上がり、フリオニールの腕が背中を支えてくれないと身体が崩れ落ちてしまいそうだ。昨日は気付かなかったがそうやって触れられると乳首がぴんと勃ちあがり、太ももの付け根の辺りがいつの間にかぬるついていて。

「……ぁ、…んん、んっ」

厚い胸板に身体を預け、衣越しに伝わってくる弾力のある肌と温もりが心地いい。心を開いて受け入れた恋人からの愛撫は、ずっとそれに浸っていたいと思うせるほど、幸福感を満たしてくれる。

「——あっ、ん、……っ、フリオ…、フリオニール…!」
「ライト…」

熱に浮かされたように互いの名を呼び合う。そんな中でライトニングはフリオニールの上達ぶりとでも言うのだろうか、それには驚かせれていた。胸を揉みしだくにしても、最初はおずおずと心もとない手つきだったのが、下からすくい上げるようにして揉まれ、それが気持ちよくて思わず声を漏らした時の反応をちゃんと見ていたのだ。即座に口唇を塞がれて貪られ、そのまま胸を緩急や強弱ををつけながら揉みしだく。瞬く間にライトニングの肌が粟立った。

時折指が白いまろみの頂にある淡い色の突起をかすめると、ライトニングはふる、と身体を震わせる。

「あぁ……ん……ぁあ……」

突然フリオニールが、ライトニングの薄桃色い乳首を口に含んだ。啄むようにそこを吸われ、ゾクゾクとした甘い痺れが、全身に走った。

「あっ!あっ!」
「…ライトの…ここは、本当にきれいだ……」

フリオニールがうっとりと囁くと、それだけで身体が熱く火照った。フリオニールの器用さは乳首への愛撫にも遺憾なく発揮された。最初はいたずらに舌先で舐めるだけだったのが、フリオニールの歯がそこに当たった途端にライトニングが喉を仰け反らせたのだ。

試しに、ぴん、と張り詰めたそこにそっと歯を立ててみる。

「やっ…!…フリオっ……ダメ……」

一見拒絶のようだが痛がってる様子もないし、声がただ舐めていた時よりも甲高い。もう少し試してみようと、ごくごく軽い力でそっと噛んでみる。

「ぁああ……っ!」

甘噛みされるたびに、ライトニングは切ない喘ぎ声を漏らし、フリオニールにしがみついてくる。お互いの身体が熱くて、その熱に翻弄され2人して我を忘れていった。互いに奪いたい、奪われたい、そう気持ちが昂ったところで、フリオニールの手がライトニングの太ももに伸びた。

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