髪を耳にかける。※全年齢版(フリオニール×ライトニング)

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お題「フリオニール✕ライトニングで髪を耳にかける。」です。コインLさんのリクエストです。R18版もあります。


それはオニオンナイトが拾ってきたアイテムを、皆で検分している時だった。慎重な少年騎士は、それを幾重にも包んでいた。ライトニングはよく見ようと身体を屈め、それを覗き込んだ。すると、左側に流している前髪が彼女の顔にさらさらと落ちてきて、ライトニングはごく自然な仕草で髪を耳にかけた。
柔らかい、2人の好きなあの花と同じ色をした髪が、わずかな光を反射してきらきらと光り、雲の間から差し込む光みたいだとフリオニールは思った。それを、ライトニングの手がすくいあげ、ふっくらとした耳たぶを持つ形のよい耳のうしろにかけた。
美しい横顔が露わになった。ほっそりとした顎から耳にかけての端麗な鋭角をえがいたラインの先にある、いつも隠れている耳たぶは、顎のラインとはうってかわって複雑な曲線を描いている。さっと微かに風が吹くと、淡い薄紅をした光の線のような髪がその横でふわふわと踊る。
自分の恋人が美しのは、こうしたひとつひとつのパーツがどこもかしこも完璧な造形をしていて、だからなのだとフリオニールは得心した。顎と耳たぶを結んだ線の、その頂点にある澄んだ蒼い瞳は本当に星のようだとも。
「フリオニール!」
ひとつだった瞳がふたつになった。ライトニングはこちらを見ていた。自分を呼ぶ、少しトゲのある、ライトニングの声にフリオニールは我に返った。
「何をニヤニヤしているんだ?」
「え…?あ、いや……」
ついライトニングに見とれていて、どうも顔が緩んでいたらしい。
「真面目に聞く気がないならあっちへ行ってろ。」
「いや…すまない、ぼんやりしていた。」
「ぼんやり?」
「どぉせ、ライトニングに見惚れれてたんだろ?」
仲間たちがはやし立てる。
「そんなことは…ない!」
フリオニールは慌てて否定する。が、誰もそんな言い訳を信じていない。
「……俺はそんなにニヤニヤしていたのか?」
心配になって、こっそりと恋人に聞いてみる。仲間たちにからかわれ、不機嫌になっている恋人は、腕を組んで大きなため息を吐いた。
「目も、口も、三日月みたいだ。」
意味がわからずポカンとしているフリオニールに、仲間たちが吹き出し、ライトニングも釣られて笑う。フリオニールはライトニングに見とれていたこと、どうやら相当、相好を崩していたらしいのが恥ずかしくはあるのだが、
(でも、ライトが笑ってくれたから…)
それならばそれで問題がない。そして、あとで2人きりになったら、あの素敵な仕草をしてもらって、それから耳たぶにキスをしよう、と心に決めたのだった。
おわり