ライトニングさんに踊りを教えるバッツとパンネロ(FFRK)

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フォロワーさんのフリオニールはきっと踊りが上手というつぶやきで、一緒に踊るライトニングさんはどうだろう、と妄想して書きました。フリオニール✕ライトニングで、パンネロとバッツです。仲間がわいわいやってるところが書きたかった。


「…その情報は確かなんだろうな。」
ライトニングは不機嫌そうに踊りを教える2人、バッツとパンネロをにらむ。
「なんだよ、ライト、信用しないのか?」
なんでも、バッツによると、新しいダンジョンで協力なボスを倒すには「踊り」のアビリティが必要なのだが、踊り子でもなんでもない自分もそれを覚えろと2人がうるさいのだ。
「たまたまヴァンとパンネロが居るパーティだったお陰で、息の合った踊りを見せたらモンスターの防御が一気に下がったんだ。」
「私達の世界…いえ、故郷の踊りだったんですけど、踊りの内容はなんでもいいみたいです。息が合っているかどうかが問題みたいで。」
2人が言うには、敵の防御力を一気に下げたはいいが、遠距離攻撃と雷属性の攻撃がどうしても必要ということで、フリオニールとライトニングに白羽の矢が当たったのだ。
「だいたい、どうして私なんだ…別にパンネロでも、ユフィでも、他に誰でも…」
「雷の属性攻撃が要るんだって。」
「それに、私は回復と防御で手一杯で…」
このやりとりを何度繰り返したかわからないが、踊りを覚えるのにライトニングは乗り気ではないようだ。
「ライトさん、恥ずかしがっちゃダメですよ。」
「そうそう!フリオニールも楽しみにしてるって!」
「アイツに言ったのか!?」
「当然ですよ。だって、一緒に踊らないといけないんですよ?」
ライトニングは手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまう。
「ライト、記憶を集め、解放するためだ。つまりは世界を救うためだ。」
「そうですよ。恥ずかしがっちゃダメです。」
「お前たち、絶対おもしろがってるだろう?」
ライトニングは絶句してしまう。まず、踊る、という行為自体がハズカシイ。音楽に合わせて身体を動かす、それのナニが楽しいのだと思う。そして、そんなワケのわからい行為を人に見せる、しかもフリオニールの前で!さらに一緒に踊るなんて!
「…無理だ……バッツ、お前、頼む、私の代わりに…」
バッツはやれやれ、と肩をすくめた。どんな苦境にも立ち向かうライトニングがここまで言うのだ。よほど恥ずかしのだろう。
「…そこまで言うなら……なあ……」
「ダメです!」
珍しくパンネロがきっぱりと言う。
「だって、ライトさん、フリオニールさんと踊るバッツさんが見たいですか!?」
「………は?」
そう言われてライトニングは顔を上げ、あらためてバッツを見つめる。
「……うん……まぁ、俺も男同士で踊りたくないな。」
ライトニングはライトニングで、バッツと踊るフリオニールを想像し、しかもけっこうその姿がありありと脳裏に浮かんだものだから、思わず吹いてしまう。
「失礼だな、ライト……」
「いや…っ、すまん……だが……」
ライトニングはわざとらしい咳をして、必死で笑いを堪える。
「それにね、ライトさんとフリオニールが一緒に踊ったらきっと素敵だと思うな〜…」
パンネロは胸の前で手を組み、うっとり乙女モードだ。
「フリオニールさんはね、故郷で一番の踊り手だったそうですよ!」
「あいつが…?」
あの朴念仁が、と言葉にしかけてライトニングは口を噤む。乙女モードに入った女の子が扱いにくいのは妹のセラで体験済みだ。
「マリアさんに聞いたんですけど、フリオニールさんの故郷の女の子はみんなフリオニールさんと踊りたがってたんですって!でも女の子たちの気持ちに全然気がついてなかったそうですよ。とってもフリオニールさんらしいですよね。」
ライトニングの眉がぴん、と跳ねた。
(あいつが……女の子と……)
きっと、みんなかわいい娘だったんだろうな、とぼんやり思う。フリオニールと踊りたがる普通の女の子たち。
(私とは……違う……)
物思いにふけるライトニングにパンネロの叱責が飛ぶ。
「ライトニングさん!フリオニールさんが他の女の人と踊ってもいいんですか?」
「はっ…?」
そこまで気にしないけど、やっぱり嫌だけど、でも、自分が踊るのも…そんな複雑な気持ちがぐるぐると頭の中を回る。
「私…ヴァンが他の女の子と踊ったとき、やっぱり寂しかったんです……だから!」
パンネロは何を感極まったのか、ライトニングの手をぎゅっと握る。
「頑張りましょうね!」
「え、いや、ちょっと……待て……パンネロ……」
「最初からいきますよ!ライトさん、表情が固いから笑って!」
「表情が……固い……」
暴走モードに入ってヴァンに負けない失言をするパンネロと、横でバッツがニヤニヤと笑っているのが腹が立つ。
「背筋をもっと伸ばして!指先までもっと優雅に!」
妹属性には強く言えないライトニング、しぶしぶパンネロの言葉に従う。
「私、踊り子の衣装を持って来てるんです。ライトさんに合うように仕立て直したんですよ!それをお貸ししますね!あ〜楽しみだな…フリオニールさんとライトさんのダンス……!!」
うっとり夢見るパンネロと、むすっと不機嫌なライトニング。バッツはその様子がおかしくて、ニヤニヤ笑いながら見守っている。ライトニングは知らないだろうが、パンネロの踊り子の衣装は超がつくほどのローライズだ。それを着せるとなると、また大騒ぎだろう。
「ま、そんときゃ、セラに来てもらえばいいさ。」
バッツは大きく伸びをすると、
「お〜い、ライト、カカトからつま先じゃなくて、つま先からカカトだ!」
「バッツ!お前!さっき、もういいとか言ってただろう?」
「よそ見をしないで!集中して!」
ライトニングはうんざりしてしまう。だが、目をキラキラさせて自分たちが踊る様子を夢見がちに語る少女と、時おり間延びした声でアドバイスをくれる仲間と。ふと、戦いの合間にこんなのもいいかもしれない、そんな風に思えて。
言われたとおりにつま先で地面をトン、とたたき、そのあとでかかとをつけ、それを軸にしてくるりと回ると、同時に心がふわりと舞い上がるようで。
「お!ライト、リラックスしてきたな。」
「本当に!」
そんな風に言われるとまんざらでもなくて、ライトニングは洒落っ気たっぷりに2人に礼をしてみる。
「ライトさん…素敵…!」
「よし!じゃあ、そろそろフリオニールを読んでランスルーといくか!」
「あ!じゃあ、私、呼んで来ますね!」
かけ出したパンネロを、ライトニングが慌てて追いかける。
「ま、待て…!まだ心の準備が…!」
慌てるライトニングがおかしいのか、パンネロはきゃっきゃと楽しそうに逃げる。
「ライトらしくなくていいじゃないか。」
慌てふためいたり、照れたり、困り顔を見せたり。
「いつも口を一文字に結んでいる顔とはずいぶん違うな。」
恋人であるフリオニールがやってきて、いざ一緒に踊るとなると、今度はどんな顔を見せるのだろう。バッツはそれを想像すると、思わず口元が緩んでしまうのだった。
おわり。


スマホアプリのファイナルファンタジー・レコードキーパーで遊んでいるのですが、色んなメンバーでパーティが組めて楽しいです。私のパーティでは、パンネロは白魔道士、ライトニングさんはアタッカーでレギュラーで、フォロワーさんのツイートからこんな話を思いつきました。FFRK、色んな組み合わせが楽しめるのが良いですね。